スーパー耐久シリーズ2012第5戦(10/19-21)が、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)にて、開催された。先般の岡山ラウンドで、スーパー耐久シリーズにデビューしてから、我々にとって2度目の挑戦となる。
今回、86号車GAZOO Racing TOYOTA86を駆るのは、アニィこと影山正彦選手と、今年ニュルブルクリンク24時間耐久レースにTOYOTA86で参戦したGAZOO Racingのドライバー佐藤久実選手の2人。ベテランにクルマを託して戦うことになる。
今般、日曜日行われる決勝レースは、1時間のレースを2回行う2ヒート形式。給油無しのピットインを1回義務付けという規定となっており、スプリント性の高いものとなった。
レースウィークは、木曜日からスタート。チームはピットの設営に忙しい。今回は、WTCCとの併催ということで、ピットの数に限りがあるため、各ピット共、シェアをして使用することとなった。われわれのチームは、2台の車両とシェアしてレースを戦う。
翌金曜日は、専有走行が3回の設けられ、精力的に走行を重ねる GAZOO Racing TOYOTA86 。今回のレースが今季初のS耐となる佐藤を中心に、完熟走行に多くの時間を費やした。
土曜日は、公式予選が行われた。Aドライバー影山、Bドライバー佐藤、それぞれ別れてのアタックにより、AドライバーとBドライバーのタイム合計によりグリッドが決定される。
残念ながら、時折見舞われるマシントラブルに苦しめられる。参戦2戦目のGAZOO Racing TOYOTA86にとり、大事なときにトラブルに見舞われると戦いの舞台に立つことができない。
予選本番の影山の15分間のアタック中に、そのトラブルが出てしまい、思うようにタイムが伸びないまま終了となった。佐藤のタイムアタックでは、トラブルは出ることがなかった。2人とも予選を通過したものの、合計タイムはクラス最下位という、不本意なものとなった。
今回は、サポートレースのため、ピットも他のチームとシェアして戦った。そのため、S耐村は、にぎやか!ピットの前も、各チームの様子を伺いながらメンテナンスやドライバー交代を行う。
若干、雰囲気はニュルブルクリンク?と思いきや、三塚監督によれば、ニュルはもっとピットが狭く、6台でピットをシェアして使用しているとの事だった。メカニックたちも、いつもより混み合った状況に、周囲の安全をいつも以上に確かめつつ作業していた。クルマの方は、今回は、ミッションクーラー、デフクーラー、リアウィングを新たに搭載するなど、少し変化が見られた。
ピットをともにする浅野レーシングが、TOYOTA86を金曜日に走らせていたが、参戦は来季とのことだった。話題のクルマだけに、目を引いていた。
○公式予選
40位 A ドライバー 2'31.893 Bドライバー 2'30.763 合計 5'02.656
セカンドタイム
39位 Aドライバー 2'36.235 Bドライバー 2'30.940 合計 5'07.175
-予選を終えましたが、昨日、今日とクルマの調子はどうですか?
影山:昨日の3時間の走行は、走り出しから順調でした。今回大きく変わった点として、リアウィングを付けました。鈴鹿サーキットでは、外したセッティングでも行けるかなと思うこともありましたが、試してみました。付けた状態のセットアップを行いました。走り始めは、後ろの沈み込みが大きく、トラクションで押し出す傾向があったので、スプリングを調整しました。今の状態は、前後のバランスが取れた最適なセッティングとなっています。また、ブレーキに関しては、新しいアイテムを持ち込んでいるので、比較テストをしながら、結果も良かったので、ニューパーツを採用していいます。
-予選の走りは、どんな感じでしたか?
影山:コーナリングスピードはとても速くてS字は特に速く感じます。ただ、エンジン出力が絶対的に遅れを取っているので、レギュレーションの中で、もっと開発していかないと、この遅れはそう簡単に取り戻す事はできないと感じています。タラレバで言わせていただければ、中古タイヤでガソリンを乗せて、まずまずのタイムを記録していたので、エンジンが本来の調子であれば、ST-4クラスでも中段くらいのもっと速いタイムが出たのではと思っています。
-予選を終了して、感想をお聞かせください。
佐藤:日本のレースでTOYOTA86を駆るのは初めてですが、基本的にニュルブルクリンクを走る時と印象は変わらず、コーナーは本当に速いと思います。ST-4クラス、1つ上のクラスとも遜色のないくらい、東コースのS字などは、誰にも負けないくらい気持ち良く走っています。予選アタックもいつ以来?という感じでしたが、その予選のプレッシャーの心地よい緊張感の中、クリアラップ取れてもうまく行かなかったり、自分的に情けない部分もあったりと、頑張ったんですけどね…。それと、どうしても、このクルマの馬力が足りない分、ストレートで置いていかれてしまうなど、これからもっと開発してもらって今後につなげて行って欲しいと思いますね。
なかなか辛い状況ですが、さて、ちょっと質問を変えましょう。
教えて久実さん!
-GAZOO Racing ドライバーになったきっかけってなんですか?
佐藤:わたしもなぜと聞かれるとなぜ?と思ってしまうのですが、成瀬さん(故成瀬弘氏)に声をかけていだだきました。18年も前から、わたしがニュルブルクリンクでレースをやっている事を存知あげていて、やはりニュルブルクリンクは特殊なコースであったことが、声をかけていただくきっかけとなったと思います。1994、1995、2003、2004、2005年と参戦して、2008年にVLNの4時間耐久レースで、GAZOO Racingのメンバーとして走りました。24時間耐久レースの経験は、6回目で今年久しぶりに出場させていただきました。上のクラスのクルマとの速度差や自分の体力の事など、不安を抱えながらの出場でしたが、走ることはとても楽しく、良い経験をさせていただきました。
まだまだ聞きたいことは山ほどありますが、レースウィークは続く…。
○第1レース 33位 (ST-4クラス9位)
最終日にふさわしい秋晴れのもと、フルグリッドで、最終コーナーまでクルマが埋め尽くすグリッド。GAZOO Racing TOYOTA86のグリッドには、場内放送のカメラが訪れ、佐藤選手がインタビューを受ける映像が流れた。また、フォーメーションラップに向かうGAZOO Racing TOYOTA86も場内のスクリーンに大映しになるなど、注目のクルマであることは間違いなし。そんな中、第1レースは午前10時に、影山選手からスタートした。
オープニングから荒れたレース展開。スピンなどが相次ぐ。バトルがいたるところで繰り広げられる中、9周目セーフティーカーが導入された。その後すぐコースアウトするクルマも続出、残り36分の所で赤旗が提示された。グリッドに隊列を整え再開を待つも、クルマの回収やけが人も伴う大クラッシュだったため、10時50分15秒、中止が告げられ、そのまま第1レースは成立となった。
○第2レース 34位 (ST-4クラス14位)
午後12時35分フォーメーションラップが開始され、同40分レースはスタートした。大きな混乱はなく進んだ第2レース。スタートドライバーを務めた佐藤選手は、9周の走行を終え、ピットイン。影山選手にスイッチ、38番手でコース復帰した。影山は、毎ラップごとに、じわじわポジションをあげ、34位でチェッカーを受けた
影山選手
第1レースは、朝のフリー走行が結果がまずまずでしたので、ライバルとの距離感がしっかり読めたと思う。レース中、まだ4~5秒弱の差はあるが、現状のクルマのパフォーマンスを考えると、できることはすべてやった結果ですね。 第2レースは、久実ちゃんからスタートし、自分と交代した時点ではクルマ本来のパフォーマンスができていて良かった。その後、気温があがり始め、クルマがパワーダウンした。これは前戦の岡山でもそのような傾向が見られた。エンジンパフォーマンスについては、良くない方向に進んでいて、ドライバーではどうしようもない。自分でも最善を尽くしているが、どうにかいろいろな方のお力を借りて、足りない点を埋めて行きたいですね。
佐藤選手
決勝を走って周回遅れになりましたが、S字って本当に速いなと改めて実感しました。クルマは細かいトラブルに見舞われましたが、コーナリングスピードがとても速いだけに、まだレースを走るということに、開発が追いついていないのかもしれないですね。足まわりもまだまだ決まってないし、パワーが出たら出たでバランスが崩れるのかもしれないけど、それでも光るものがあるのがこのクルマです。このスーパー耐久はスポットで参戦させていただきましたが、今後に期待して欲しいですね。
次のオートポリスが最終戦!オートポリスで、GAZOO Racing TOYOTA86に会いに来てね!
今大会のメインイベントは、WTCC(世界ツーリングカー選手権)世界のハコレースである。チャンピオンのかかった今大会には、シボレー軍団は、必勝だるまも持ち込んで3連覇にかけた。メニュ・ミューラー、ハフの3選手がRace1でポディウムを独占。マニュファクチュアラー・チャンピオンシップ3連覇を鈴鹿で決めた。なお、シボレーの3選手は、ミューラー、ハフが同ポイント345ポイントと並び、メニュも307ポイント、と全員がドライバーズ・チャンピオンの可能性を残しているとのことだ。
鈴鹿では、この世界のハコレースWTCCに、HONDAが来期よりワークスでフル参戦を再開するという、モータースポーツにとって明るい話題もあった。今回のデビュー戦は22台中、両レースともにどちらも10位と善戦していた。
今回、ST3クラスに参戦されていたレイジュンZ33リールのOSAMU選手(中島修氏)が、第1レース中にクラッシュし、搬送先の病院でお亡くなりになりました。
OSAMU選手は、ご家族の名前を冠したレイジュンというチームを設立して、JGTC(スーパーGTの前身)やフォーミュラ・ニッポンで長く活躍され、また多くのドライバーを育てたことでも有名です。
偶然にもGAZOO Racing SPIRITとピットが隣でした。言葉を交わすことはありませんでしたが、訃報に驚くばかりです。ご冥福をお祈りいたします。
スーパー耐久シリーズ第5戦は、48台ものエントリーがあった。第1レースは、セーフティーカーが導入される波乱のレースとなり、赤旗の提示により終了、レースが成立した。第2レースは、王者PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 が、前戦はセパンラウンドに参戦し不在だったが、ふたたび参戦し、28号車 片岡龍也/Jono Lester/MelvinMoh組が優勝した。
順位 | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
1位 | 1 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | 谷口信輝/Dominic Ang/Fariqe Hairuman組 |
2位 | 24 | スリーボンド日産自動車大学校GT-R | 藤井誠暢/GAMISAN組 |
3位 | 28 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | 片岡龍也/Jono Lester/MelvinMoh組 |
クラス | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
GT3 | 1 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | 谷口信輝/Dominic Ang/Fariqe Hairuman組 |
ST-1 | 51 | DIAMANGO BMW Z4 | 余郷敦/石原将光組 |
ST-2 | 20 | RSオガワADVANランサー | 大橋正澄/阪口良平/花岡翔太 |
ST-3 | 34 | asset テクノ Z34 | 佐々木雅弘/前嶋秀司組 |
ST-4 | 95 | リジカラS2000 | 松井猛敏/中島保典組 |
ST-5 | 26 | エンドレスアドバンCyber Formula SIN ヴイッツ | 山本幸彦/いとうりな組 |
86号車 GAZOO Racing TOYOTA86
第1レース 33位 (ST-4クラス9位)
順位 | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
1位 | 28 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | 片岡龍也/Jono Lester/MelvinMoh組 |
2位 | 1 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | 谷口信輝/Dominic Ang/Fariqe Hairuman組 |
3位 | 24 | スリーボンド日産自動車大学校GT-R | 藤井誠暢/GAMISAN組 |
クラス | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
GT3 | 28 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | 片岡龍也/Jono Lester/MelvinMoh組 |
ST-1 | 51 | ENDLESS ADVAN 380RS-C Z33 | 峯尾恭輔/谷口行規/高木真一組 |
ST-2 | 20 | RSオガワADVANランサー | 大橋正澄/阪口良平/花岡翔太 |
ST-3 | 34 | PETRONAS TWS GS350 | 吉本大樹/佐藤晋也/小林敬一組 |
ST-4 | 95 | GPO+KOTA Racing | 北野浩正/佐々木孝太/橋本達也組 |
ST-5 | 26 | エンドレス アドバン トラスト ヴィッツ | 添田正/岩谷昇/井尻薫組 |
86号車 GAZOO Racing TOYOTA86
第2レース 34位 (ST-4クラス14位)