約3か月のインターバルをおいて、スーパー耐久シリーズ2012 第4戦が、岡山国際サーキット(岡山県美作市)にて開催された。今回の第4戦は、ポイントリーダーのPETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3が、セパン大会を選択し不在のため、GT3クラスで戦う2台は共に、初優勝の機会が訪れた。他のクラスでも、初参戦のクルマがあるなど、西へと舞台を移し、顔ぶれは若干変わっているものの、このカテゴリーへの参加者は熱い。
今年話題のTOYOTA86が、満を持してST-4クラスに参戦することも、注目の的となった。
公式予選、ポールポジションを飾った24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rには、決勝日心強い味方がサーキットを訪れた。日産京都自動車大学校の学生約700名が、バス13台で岡山まで来てくれたのである。日帰りのスケジュールで訪れた学生たちは、ピットウォークの時間に、バスでサーキットサファリを体験するなどした。また、全校の広報担当の学生がサーキットで取材を敢行、持ち帰ってそれぞれが伝えるらしい。このプロジェクトを全校が存分に楽しみ、さまざまな体験や経験する機会を増やすことに、熱心であるのがうかがえる。コンドーレーシングを率いる監督の近藤真彦氏も、メインステージでのトークショーや、学生向けのインナーイベントにひっぱりだこで忙しくしていた。スタンドでは、応援旗が振られ、日産コールが飛び交う中、見事スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは、参戦3戦目にして、初優勝を遂げた。
GAZOO Racing SPIRITから、ついにTOYOTA86が、ここ岡山にて念願の国内レースデビューを果たした。
実質シェイクダウンに近い状態で臨んだ岡山だったが、走行初日の金曜日から、クルマの不具合に悩まされる。セッション中、修復作業に多くの時間を割き、満足に走ることはできなかった。
土曜日午後の予選では、影山、蒲生両選手は、基準タイムをクリア。それ以上は、クルマのコンディションとの相談という状況。決勝日の朝を迎え、不具合の原因は概ね解決し、これまでのタイムよりも速く走る事が出来、少々安堵…。
決勝は、スタート直後からセーフティーカーが入る波乱のレースであったが、オープニングラップの混乱に乗じ、ベテラン影山は、大幅にポジションアップを図った。その後も、順調に周回を重ねていく。30周で蒲生選手にスイッチ。蒲生が14周を走り終えた時点で、トラブルが発生。ピットに戻ったが、修復が不可能であったため、残念ながらリタイアとなった。合計約1時間半走行し、これまでで一番長く走ることができたが、クルマの戦闘力はまだまだといったところで、ほろ苦いデビュー戦となってしまった。
これからのレースで実戦で人とクルマを鍛え、進化をして行くとのことだった。チームも新たな課題がしっかり見え、1つ1つクリアして行くことだろう。
ニュルブルクリンク24時間耐久レースのあの感動から、早3ヶ月。兄ぃ~こと、影山正彦選手が、またGAZOO Racing TOYOTA86を駆ることとなった。
昨秋、プロトタイプのFT86でVLN9に出場し、今年のレースも含めると、兄ぃ~は、86のレース経験を積んでいる。これまでのレースキャリアは、大ベテランで言及するまでもない。しかし、そんな彼が、このTOYOTA86と言うクルマは、ドライバーを育ててくれるクルマだと言う。スタンダードなクルマで、手を加えることによって、すぐクルマが反応する。触れば触るほど、反応があると…。スポーツカーとして、難しいとかシビアなことはなく、女性でも楽なクルマだとのこと。悪い反応があれば、それが自分のドライビングのスタイルなんだと受け止めることができるそうだ。そんな事が語られたメインステージでのトークショーは、彼の話に聞き入る観客がとても多かった。残り2戦も兄ぃ~がステアリングを握るので、ドライビングと、トークも楽しみにして欲しい!
GAZOO Racing SPIRITから、今回スポット参戦を果たした蒲生尚弥選手。岡山県倉敷市出身、まだ22歳と若い。スーパーGT GT300 クラスにスポット参戦をした経験はあるが、カートやフォーミュラーカーの経験が長く、実質走り込むのは、今回が初めて!彼もデビュー戦と言っても過言ではない。そんな彼は、“ハコ”の真夏の暑さを知らなかったため、クールスーツは必要ないと思っていたとのこと。高温注意報が出るほどの猛暑で、それは自殺行為…。実際走ってみて、あまりの暑さに驚いたそうだ。86を駆るのも当然初めて。上のクラスのクルマにも劣らないコーナリング性能の良さを絶賛していた。金曜日は、トラブルにより満足に走ることができなかったが、予選から決勝と、影山選手を上回るラップタイムを刻むなど、若さ溢れる走りを披露してくれた。スポット参戦ではあるが、またいつかGAZOO Familyとして仲間に加わって欲しい。
イベント広場には、GAZOO Racing ワクドキ6(シックス)ブースが、日本でお披露目されてから間もないニュルブルクリンク24時間耐久レース、VLNで大活躍したGAZOO Racing TOYOTA86と共に設けられた。GAZOO Racingの活動を紹介すると共に、ドライバートークショーや、また監督も交えてのトークショーが、土日2日間に渡り開催された。とりわけ、GAZOO Racing TOYOTA86は大人気で、2日間共に朝から沢山の方が、ブースを訪れていた。
大阪トヨペットグループで参戦しているST-3クラス80号車 PETRONAS TWS GS 350!今回は、とうとう初のクラス優勝を遂げた!今回は、岡山まで応援団がかけつけるという、チームにとってとても心強い大会となった。そんな中でのクラス優勝は、感慨もひとしおに違いない。優勝会見では、使用しているレクサスGS350 が、モデルチェンジしたことで、新車の投入も視野にいれていることも発表された。併催されたネッツカップヴィッツレース関西シリーズにも、2台のクルマ(126号車OTG MotorSports Vitz 浦川毅郎選手、127号車ネッツトヨタ中央大阪Vitz山口慎一朗選手)をエントリー。こちらのドライバーも、内製!社員の方だそうだ。ますます盛り上がる大阪トヨペットグループ!今後が、ますます楽しみである。
以前のインタビューは、こちらに掲載
http://toyotagazooracing.com/archive/gr/motorsports/supertaikyu/rd02/report.html
スーパー耐久シリーズでも、今年参戦台数をさらに増やしているのが、ST5クラスだ。今回は、昨年9月発売の2台の新型ヴィッツが新たに参戦した。4号車、アイクレオ&ジーンズ&ビーラインTSKVitz 河野利尚/植島禎一/伊藤俊哉組と、29号車 ウエストリバー&SRF WMヴィッツ 三木孝浩/中村将之/林富一組だ。それぞれ、G'sヴィッツでの参戦である。ドライバーの中には、ニュルブルクリンクで毎月走り込んでいる方もおり、2台とも見事完走を果たした。4号車は、表彰台まであと一歩の4位であった。このクラスは、今季飛躍的に台数を伸ばしているが、今後も更に楽しみである。
キュートな女性が、レーシングスーツを着ているのが目に留まる。お話を伺うと、なんと現役レースクイーン!そういえば、前の週のスーパーGTの現場で見た!と、思い出しながらお話を伺う。かわいらしい笑顔からは、全く想像できないのだが、彼女はドライバーとして参戦している。なぜこんなにキュートなドライバーが誕生したかと言うと、レースクイーンとしてサーキットで見ているうちに、“走る方が楽しそう!”と思ったそうで、カートからキャリアをスタートさせたそうだ。ラリーにも参戦し、ジョイ耐の経験もありとドライバー歴は5年。今般、参加GT300クラスで大活躍している番場琢選手を先生としてスーパー耐久への参戦となった。番場選手は、今回の仕事は、いとうりな選手を速くすること!と、使命に燃えていた。将来の夢は、“速くなりたい!運転が上手くなりたい!”と、“女子的”な“夢”の回答を待っていたが、今は走ることが本当に楽しいらしく、ドライバー的夢を語ってくれた。
愛知県を中心に活動している黒ちゃんこと、タレントの黒岩唯一さん。ネッツカップヴィッツレース関西シリーズに参戦されていて、今回その雄姿を拝むことができた。GAZOOファミリーとしてもおなじみの彼は、今年ダイエットに成功し、とてもスリムになった。ウェイトをおろしたという事は、レースにもかな~り有効であるに違いない!彼のモットーは、NOクラッシュ NO板金で楽しく完走!手軽に参加できるヴィッツレースの詳細は、こちらを参照のこと。
http://netz.jp/netzcup/
気温34度、路面温度50度の酷暑に見舞われた第4戦は、44台がエントリー。スタート直後で、3台がからみ、オープニングラップから、セーフティーカーが導入される波乱の幕開けとなった。ポイントリーダー不在の過酷な3時間耐久レースは、24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが、盤石なレース運びでポールトゥウィン!参戦3戦目の初優勝で幕を閉じた。
最終的に12台がリタイアする過酷なレースとなった。
順位 | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
1位 | 24 | スリーボンド日産自動車大学校GT-R | 藤井誠暢/GAMISAN/千代勝正 |
2位 | 16 | ケーズフロンティア BMW Z4 GT3 | 阿部翼/西田裕正/飯田太陽 |
3位 | 9 | Faust Racing Team BMW Z4 E86 | 堀主知ロバート/佐藤茂/岡本武之 |
クラス | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
GT3 | 24 | スリーボンド日産自動車大学校GT-R | 藤井誠暢/GAMISAN/千代勝正 |
ST-1 | 9 | Faust Racing Team BMW Z4 | 堀主知ロバート/佐藤茂/岡本武之 |
ST-2 | 20 | RSオガワADVANランサー | 大橋正澄 /阪口良平/花岡翔太 |
ST-3 | 80 | PETRONAS TWS GS350 | 吉本大樹/佐藤晋也/脇阪薫一 |
ST-4 | 62 | ホンダカーズ東京 SUNOCO インテグラ | 塩谷烈州/太田侑弥 |
ST-5 | 36 | エンドレスアドバントラストヴィッツ | 添田正/岩谷昇/井尻薫 |