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2013年のキーパーソンに聞く
伊藤大輔(LEXUS TEAM KeePer TOM'S)

レースを知り「僕に向いてる」と確信した

第1回 レーシングドライバーを志す(1/2)

間近に迫った2013年のSUPER GT開幕。今季チームを移籍したベテラン、伊藤大輔選手はNo.37 KeePer TOM'S SC430のエースを任され、LEXUS Racingを牽引するポジションに立っています。今シーズンの"キーパーソン"と言える伊藤選手にレースを志したきっかけ、日々のトレーニング、そして今シーズンの展望まで幅広く聞きました。このインタビューを3回に渡ってご紹介します。

たまたま行った鈴鹿サーキットでの衝撃

−−レースを志すきっかけは何だったのですか?

伊藤大輔(以下伊藤):僕が中学生だった頃です。たまたま夏休みに東京から親戚の人たちが遊びに来ていて、一緒に鈴鹿サーキットに行きました。でもサーキットではなくて、遊園地として行ったんですよ。
 僕も、それまで鈴鹿サーキットと言ったら遊園地。レーシングコースのことなんて興味もなかった。でも親父がふらりとレーシングコースの方に行ってきたんです。「凄いの(レーシングカー)が走ってるぞ!」って言うから、僕も行ってみたら...。鈴鹿1000kmに向けてグループCカーがテストしてたんです。

−−それに触発されたのですか?

伊藤:ええ。それでテレビを見たり、サーキットに観戦しに行って『僕はこれに向いてる』『これならできる』っていう妙な自信があったんです(笑)。
 たとえば幼稚園、小学校、中学校と、運動会やら体育祭があったんですが、僕はいつも中の上だったんです。駆けっこしても、必ず1番になるっていうわけでもなかった。
 小学校ではソフトボール、中学校では野球をやってました。親父が野球好きで、出身が三重県だから中日ドラゴンズのファン。小さいころからバットを振ったりキャッチボールしたり。それで自然に地域のチームに入って、ソフトボールを始めることになりました。中学校でも野球部。ソフトボールも野球も、特に名門というわけではなかったんですが、ソフトボールでは小学校5年生の時に地区大会で優勝して、津大会で準優勝したことがあります。
 野球は自分でも好きだったし、このころは他の子より上手だったけど、プロになれる気はしなかった。サッカーをやっても、普通の子に比べればうまい方だけど、サッカー選手になれる気はしない。
 自分の体のパフォーマンスをそういう位置でとらえていたんです。でも『レースならできる!』って(笑)。

高校時代はカートのためにアルバイトに明け暮れる

−−そのパッション(情熱)は分かります(笑)。ではレースの世界を目指すにあたって、どうされたのですか?

伊藤:中学生時代は、ただ『レースってすごいなぁ』と思っていただけでした。でも、高校入ると具体的にレーシングドライバーを目指そうと考えました。いろいろ調べると、やっぱりレーシングカートが一番適したものなんだな、と。それで、カートを買ったり、レースや練習をするのにはお金が必要だから、バイトをしないといけない。だから、高校では運動部に入るのはやめました。
 高校1年の夏からバイトに明け暮れて、資金が貯まった冬にカートを手に入れたんです。

−−念願のカートを手に入れて、あとは一直線ですか?

伊藤:高校2年生の時、カートレースにデビューしました。高校を卒業して2年目、1995年に鈴鹿サーキットのレーシングスクールができて、これだと思い、第1期生として入校したんです。修了後はずっとレース一筋。で、今に至りますね。

−−スクールを卒業した翌年、フォーミュラトヨタでのデビューでしたよね?

伊藤:レーシングスクールを卒業する時、スカラシップの選考では漏れてしまったんです。
 でも、スクールのメンテナンスを手掛けていたスキルスピードの百田義弘社長が声掛けてくれて...。ちょうどあの頃、スキルスピードではフォーミュラトヨタを何台も手掛けていて、「やることないんだったら、ウチでフォーミュラトヨタやれよ」って誘ってもらえたんです。