2013年のキーパーソンに聞く
伊藤大輔(LEXUS TEAM KeePer TOM'S)
第3回 2013年のタイトル獲得を目指して(2/2)
手強いライバルはLEXUS Racingの中にもいる
−−では、最後に今年のシーズンの展望を聞かせてください。
伊藤:まずはタイヤが重要でしょう。ミシュランが2年連続でタイトルを獲っていて、それに対抗するためブリヂストンも力を入れています。そのため、速さを求めて少しとがった、攻めたタイヤになるかも。となれば、同じLEXUS SC430でもセットアップのちょっとした違いで、走りのパフォーマンスに差が出てくるでしょう。そこが難しいところですね。
ただ、この2年間、新しい方向に向かっているブリヂストンのタイヤを理解できたという雰囲気を得られたので、去年、一昨年のように大崩れするっていうことはないと思います。そしてSC430の2013年仕様も、順調に開発パーツができてきている。今年は、これまで以上に上手くタイヤを使える方向にはあるんじゃないかと思います。
ミシュランもユーザー数が増えて、当然油断はできません。しかし、確実にSC430とブリヂストンのタイヤというパッケージは、パフォーマンスが安定して高くなっていると思います。
−−伊藤選手の今シーズンの目標を聞かせてください。
伊藤:もちろんタイトルを獲りたいですね。去年もたまたま日産&ミシュランにやられましたけど、SC430は調子が良かったし、ブリヂストンのマッチングもよくなってきている。
僕としては、今年はレースに強いLEXUS TEAM TOM'Sだし、相棒のカルダレッリ選手も若いんですけど、外国人の割にはわがままも言わず、真面目というか素直な子。そういうパッケージの面を見てもすごく可能性を感じています。本当に楽しみだし、たぶん良いシーズンになるんじゃないかと思っています。
それは開幕から勝ちに行きたいですけど、SUPER GTにはウェイトハンデ制もある。それもうまく利用すれば、勝つチャンスは必ず巡ってくると思う。なにより安定してポイントを取れるだけのポテンシャルが、このTEAM TOM'Sにはありますから。
レーシングドライバーとしてはいつでも勝ちたい気持ちがありますが、やっぱりチャンピオンを獲ってなんぼでしょう。今季は2台体制なので、他のチームができないデータの共有化や戦略面での駆け引きのような、この体制ならではのアドバンテージを利用すれば、よりいい形でポイントを稼げるんじゃないかなと思います。
最終的には『TEAM TOM'Sのどちらかのクルマがチャンピオンに...』ってチームも考えるでしょう。その時のために、37号車としてポイントをより多く取っておきたいですね。本当、おもしろいシーズンになると思っています。
もちろん他メーカーには絶対負けられませんが、LEXUS Racingの中にも強敵がいます。中でも38号車、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは、去年の結果を見ても安定しているので要注意ですね。これまでTEAM CERUMOはサーキットによって結果がまばらだった印象があるんですが、去年は非常に全戦においてまとまっていて速さが安定してきている。それだけに去年のランキングはうなずけるし、今年も同じだけのパフォーマンスは出してくると思います。興味深いし、ライバルになるチームですね。
−−古巣のTeam LeMans、6号車はどうですか?
伊藤:速さっていう部分では常に上位には来ると思います。ですが、僕としてもTeam LeMansの卒業生として、逆に恩返しの意味でも負けるわけには行かないと思ってます。