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強豪「LEXUS TEAM ZENT CERUMO」にみるSUPER GTチーム

第2回 最大の武器はチーム全員の「想い」の総量

第1回に引き続き、SUPER GTの強豪チーム"LEXUS TEAM ZENT CERUMO"の中心スタッフにチームのあり方を聞く。第2回では監督とドライバーの仕事、そして"LEXUS TEAM ZENT CERUMO"ならでは、チームの個性を明かしてもらった。

監督がチームを変え、チームが監督を変える


 実務を担うチーム監督には、ドライバー出身とエンジニア(もしくはメカニック)出身に大別される。F1やCARTまで上り詰めた後、国内に還り、GTを最後に現役を引退して現職に就いた高木監督は、間違いなく前者の筆頭だ。では、ドライバー出身監督のメリットとデメリットはどうなのだろう。

「デメリットは、昔自分ができていたのに『このドライバーは何故できないんだ!』と思ってしまうこと」と言う。その一方。メリットとして「自分がドライバーだったから、ドライバーの気持ちは分かっているし、スタート前に緊張感を和らげたりだとかのフォローもできる」と。 「ドライバー目線で話してくれるし、こちらの話も理解してもらえる」と立川選手は確かに好印象。エンジニアサイドにとっても高木監督のチーム運営はウェルカムのようだ。「僕がこのチームに来た最初はまだ(高木監督は)ドライバーで、いろいろと注文付けられることも多かった。それはいまでも同じだろうけど、でも結構信頼してくれていて自由にやらせてもらってます。エンジニアとしては(高木監督に)助けられています」。


 シビアなレースの中では、時としてミスもある。それが勝負を分けてしまうことも。チームを運営するにあたり、そのケアも監督の役目だ。
 高木監督はドライバーに対してもエンジニアやメカニックに対しても、必要以上にミスを責めないと言う。「自分がその立場だったら同じミスを犯したかもしれない、そう思うとあまり責められない」とは高木監督の偽らざる心境だろう。平手選手も「僕も自分のミスでチームに迷惑をかけたことも何度かありましたが、高木監督は『これからは気をつけろよ!』とか『もう同じミスはするなよ!』とか 言うだけ。ドライバー出身で、自分でもそういった経験があるのかもしれないですが、ドライバーの心のケアには気を配ってもらってます」と感謝のコメントだ。


 この取材でインタビューをする最中、高木監督は、立川、平手両選手を指しながら「もう、こいつらは年上の監督にタメ口を利くんだから」と苦笑していた。だが、それを嫌がっているわけではなく、むしろ楽しんでいるよう。TEAM CERUMOは1981年設立の古豪チーム。チーム内はフレンドリーな雰囲気で、出入りの激しいモータースポーツ界において長期在籍のスタッフが多いのもこのキャラクターによるものだろう。口が重くて取材記者泣かせだった高木虎之介"選手"。それが監督としてSUPER GTの優勝インタビューで、笑顔を浮かべ冗談を口にしていた。高木監督をそう変えたのは、"監督"という仕事であり、TEAM CERUMOの個性と同一化したからなのだろう。


目次ページ

  1. 第1回:SUPER GTチームにおける監督とエンジニアの役割(2013年8月29日公開)
    1. 1. SUPER GTのトップチームであるLEXUS TEAM ZENT CERUMO
    2. 2. 監督は「スタッフを信頼し、決断と責任は僕が引き受ける」
  2. 第2回:最大の武器はチーム全員の「想い」の総量(2013年9月5日公開)
    1. 3. 監督がチームを変え、チームが監督を変える
    2. 4. やるべき仕事でドライバーの個性も変わる?
  3. 第3回:ZENT CERUMO SC430を動かすチームメンバーたち(2013年9月6日公開)
    1. 5. ZENT CERUMO SC430を動かすチームメンバーたち
    2. 6. インサイドフォトギャラリー