スーパーフォーミュラ 2014年 第1戦(開幕戦)鈴鹿 プレビュー
生まれ変わったスーパーフォーミュラ開幕。
新エンジン&新シャシーで更に速く、迫力のレースに
4月12日(土)と13日(日)の両日、鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラ開幕戦が行われる。今季より新しいエンジンとシャシーとなって生まれ変わるスーパーフォーミュラは、WECのチャンピオンや元F1ドライバーら世界レベルのドライバーと、若きドライバーが激戦を繰り広げることとなる。新生スーパーフォーミュラのシーズン開幕戦に注目だ。
4月12日(土)~13日(日)の両日、三重県北部、鈴鹿市に位置する鈴鹿サーキットで、スーパーフォーミュラの開幕戦「鈴鹿2&4レース」が開催される。
国内フォーミュラレースの最高峰として名勝負を繰り広げてきたスーパーフォーミュラは、今季よりエンジン、シャシーともに一新し、全く新しい車両でのレースに生まれ変わる。
エンジンは、昨年まで5年間にわたって使用されてきた3.4リッター自然吸気V型8気筒に代わり、日本独自の「NRE」規定で開発された直列4気筒2リッター直噴ターボとなる。この新エンジンが、新たに採用されたダラーラ製シャシーに搭載される。
最新の技術が投入されたこのエンジンは、排気量こそ小さくなるものの、ターボチャージャーによりこれまでと遜色ないパワーを発揮し、直噴技術により燃費も向上、その上で、大幅な小型化及び軽量化が図られた。また、新世代のレーシングエンジンらしく、燃料流量に関する規定が盛り込まれているのも特徴だ。
昨年までのスーパーフォーミュラで用いられてきた「オーバーテイクシステム」も継続。昨年までのシステムは回転数制限の上昇によるものだったが、今季からの新システムでは、燃料流量を一時的に増加することで追い抜き時のエクストラパワーを得ることになる。
エンジンの小型・軽量化により「ライト&クイック」なレースカーとして生まれ変わったスーパーフォーミュラは、シーズン前のテスト走行でも既に昨年までのコースレコードタイムを遙かに上回る速さを見せている。
トヨタは今年、この新規定に則った新型エンジン「RI4A」を7チーム11台に供給する。
チャレンジングでドライバーにも人気の高い国際サーキット
開幕戦が開催される鈴鹿サーキットは言わずと知れた日本を代表する国際サーキットの一つ。F1日本グランプリや二輪の8時間耐久レースの開催など、長い伝統を持ち、世界的にも有名なサーキットだ。
シリーズでの鈴鹿戦は、開幕戦と最終戦の年2回開催されており、名勝負が数多く行われてきた。
世界的に見ても珍しい、立体交差を持ち8の字状に周回するコースは、前半がS字コーナーなどのテクニカルセクション、後半はバックストレートから超高速コーナーの130Rへと続くハイスピードセクションとを併せ持つ、チャレンジングなレイアウトでドライバーの人気も高い。1周5.807kmは、日本のサーキットでは最長。
市街地に近く、アクセスは良好。遊園地も併設
国内のサーキットでは珍しく、比較的市街地の近くに位置し、自家用車でも、公共交通機関でもアクセスは容易。特に公共交通機関では、近鉄名古屋線の白子駅から路線バスが出ている他、伊勢鉄道ではその名も鈴鹿サーキット稲生駅があり、徒歩でもアクセス可能だ。
自家用車でのアクセスも東名阪自動車道鈴鹿IC、伊勢湾岸自動車道みえ川越IC、東名阪自動車道の亀山ICなどが利用できる。サーキットのHPでは推奨ルートや駐車場マップ、渋滞マップが用意されている他、モバイル駐車場情報も配信されているので、上手く利用したい。
また、サーキット内に遊園地「モートピア」や温泉などのレジャーランドが併設されているのも特筆すべき点だ。ランドマークでもある観覧車からはサーキットが一望できる他、モータースポーツファンにはたまらない施設も。子供も一緒に楽しめる乗り物のアトラクションが数多く用意されている。
今季も世界レベルの有力ドライバーが勢揃い。
テストから好調なトヨタの新型エンジンと共にタイトル奪還へ
昨年のタイトル争いは、優勝候補の筆頭であった外国人ドライバー2名が最終戦を欠場したこともあり、3年ぶりにトヨタはチャンピオンを逃す結果となってしまった。
しかし、今季は新エンジンでの最初のチャンピオンを目指し、昨年以上に充実したドライバーラインナップでシリーズに挑む。
まず、昨年2戦を欠場しながらも最終戦までタイトルを争うなど圧倒的な強さを見せたアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)とロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)がその筆頭となるだろう。この2名はともに、WEC(世界耐久選手権)のチャンピオン経験者であり、ル・マン24時間レースウィナーでもある、世界屈指のドライバーだ。今季はスーパーフォーミュラとWECのスケジュールが重なることはなく、全戦に出場予定のため、もちろんチャンピオンの筆頭候補だ。
これを追う、日本人ドライバーの最右翼はもちろん中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)。2012年のシリーズチャンピオンであり、WECでの優勝経験も持つ、言わずと知れた世界トップレベルのドライバー。
次いで、毎年優勝争いに絡んでくる実力者がジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)。今年は、チームメイトに元F1ドライバーのナレイン・カーティケヤン(LENOVO TEAM IMPUL)を迎え、このコンビにも注目が集まる。
もちろん若手ドライバーも負けてはいない。昨年、ルーキーとは思えない活躍を見せた平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)、昨年のJAFグランプリで初優勝を飾り、先週のSUPER GTでも好走を見せるなど勢いに乗る国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、そして、昨年の全日本F3で11勝を挙げてチャンピオンを獲得し、最高峰にステップアップを果たす中山雄一(KCMG)らの活躍にも期待がかかる。
シーズン前のテストでは、トヨタエンジン搭載車が全般的に速さを示しているが、開幕へ向けライバルの巻き返しももちろん侮れない。新生スーパーフォーミュラは開幕から目の離せないレースが繰り広げられそうだ。