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ル・マンとは?

ル・マンの歴史を支えるもの

ル・マンの歴史を支えるもの(1/4)

フランスのル・マン市で行われる歴史と伝統のレース「ル・マン24時間」。ただレースが行われるのではなく、そこには町の文化と歴史そして人々の想いが深く結びついている。また、モータースポーツに携わるすべての人々の憧れとなる何かがある。そのル・マン24時間のバックボーンをご紹介しよう。

フランス国内のル・マン市の位置
パレード前のル・マン市内の様子
サルト川から旧市街を臨む

パリから200kmほどのフランス地方都市


ル・マン市内の地図
ル・マン24時間は1923年に第1回大会を開催した歴史と伝統を誇るレースで、その名にある「ル・マン」とはパリの南西約200kmに位置するロワール地方の都市名だ。人口約145,000人、面積52.81平方キロメートル。サルト県県庁所在地で、1990年に鈴鹿市の友好都市となっている。ともに市内に大手自動車会社の工場やサーキットがあり、フランスと日本それぞれの国でモータースポーツの聖地として知られている他、人口も近く似た部分が多いのが提携の理由だという。

パリ・モンパルナス駅から高速鉄道TGVに乗れば1時間弱でル・マン駅に到着する。駅前にはカフェやレストラン、商店が軒を連ね、フランスによくある地方都市と何ら変わらぬ表情を見せている。市内にはバス網が整備されているが、2007年にはトラム(路面電車)が開通し、市民の足として親しまれている。トラムの「ANTARÈS MMArena駅」はサーキットの東入り口に隣接しているため、 交通規制の影響を受けずル・マン24時間観戦時の移動手段として非常に有効といえよう。

モータースポーツの他にもル・マンはフランス国内で名物「リエット」で知られている。これは豚肉を煮込んでペースト状にした惣菜で、バゲット(フランスパン)に塗って食べる。地元ル・マンの人と親しくなると、たいていこのリエットを勧められる。商店街に行けばこだわりの有名店もある。

市内に大規模な自動車工場がある他、駅から南東へ下ったアンタレス地区にはテクノパークと呼ばれる一画がある。ここには様々なレース関係の工場も位置しており、自動車とモータースポーツが根を張る都市、ル・マンの印象を強くしている。

歴史とアートが彩る静かなたたずまい

公開車検でファンにサインをするアレックス・ブルツ
ジャコバン広場を見下ろすサン・ジュリアン大聖堂
ル・マンは飛行機とも縁が深い。古くから飛行場があり、アメリカのライト兄弟も1908年に公開飛行でここを訪れているのだ。飛行場はサーキット正面ゲートのすぐそばにあり、ル・マン24時間開催時はヨーロッパ各地から多くの自家用機が舞いおりる。また、トラブルを起こした車両がレース前にここで確認走行を行うこともしばしばだ。なにしろサーキットはその大半が公道。それを閉鎖するのはセッション中のみで、それ以外の時間帯にレースカーが走行することは不可能なのだ。

街の中心にあり、ル・マン24時間の公開車検が行われることで知られるジャコバン広場にはサン・ジュリアン大聖堂がこれを見下ろすようにその偉容をたたえている。そして近くの旧市街はガリア=ローマ時代の城壁がこれを取り囲むように位置している。中にはルネッサンス期の美しい家々が今も残っており、フランス文化省から「歴史とアートの町」に指定されている。街を二分して流れるサルト川沿いの緑道など、街の中心部は普段モータースポーツとは無縁の静かなたたずまいを見せている。