ル・マンとは?
ル・マンの歴史を支えるもの(4/4)
参加することすら厳しい条件がある
ル・マン24時間はエントリーすれば参加できるというレースではない。エントリーを受理するかどうかはACOの選考委員会が決める。エントリー数が多過ぎて、レース前唯一の事前走行の機会となるテストデーが予備予選と位置づけられていた時代もあった。現在は前年の大会、ル・マン各シリーズ等の結果に従って参加資格を得るチームが選出されている。このためル・マン24時間だけの参加を目指すエントラントにとって、ル・マンへの道はますます険しいものとなっている。
2012年からFIA世界耐久選手権(WEC)が復活し、ル・マン24時間もその一戦に組み込まれるようになった。これまでもル・マン24時間は世界選手権に組み込まれたり離れたりを繰り返している。ル・マン24時間に参加する自動車メーカーの多くは、世界選手権でのタイトル獲得とル・マン24時間優勝を別々の目標として掲げ、ル・マン24時間を重要視するメーカーも少なくない。かつて自動車メーカーがル・マンだけに参加するのを避けるため、FIA(Federation Internationale de l'Automobile = 国際自動車連盟)が選手権全戦への参加を義務付けた時期もあったほどだ。
FIA世界耐久選手権のタイトルを獲得したドライバーの中にも、「世界タイトルより重要なのはル・マン24時間での勝利」と公言する選手もいる。
モータースポーツに携わるすべての人々の憧れ
ル・マン24時間以外にも世界には様々な耐久レースがあり、24時間レースも行われている。しかしル・マンほど長い間、ル・マンほど多くの世界を代表する自動車メーカーが、ル・マンほど大きな規模で勝利を目指してしのぎを削って来たレースは他に例がない。
モータースポーツ発祥の地がフランスであり、世界を代表するスポーツカーメーカーのほとんどがヨーロッパに在ることも、その理由のひとつかもしれない。
ル・マン24時間の特別さを表現することばは様々ある。例えば「F1モナコGP、インディ500と共に世界三大レースのひとつに数えられるビッグイベント」、「耐久レースの世界最高峰」、「パブリシティ効果はF1グランプリ3戦分」、「年に一度のビッグイベント。"ル・マン24時間優勝!"は1年間アピールできる」等々。
ル・マン24時間には他の耐久レースにない「事前のテスト走行ができない」という難しさもあり、参加者は様々なチャレンジを強いられる。
こうしてル・マン24時間勝利の価値は高まり続けて来た。このレースでの成功を目指す自動車メーカーは後を絶たず、勝利を手にしたメーカーは一大キャンペーンを展開する。そしてル・マンのステータスはまた高まる。
2013年、90周年を迎えるル・マン24時間。これまで様々な伝説が生まれて来た。自動車技術が大きく変化しようとも変わらない人々の情熱とともに"夢の舞台"は脈々と続いていくだろう。