WEC富士をさらに楽しむ基礎知識
富士スピードウェイ 観戦ポイント
ホームストレート~第1コーナーにかけて
ル・マンで最速をマークしたTS030 HYBRID。
富士のホームストレートでの最高速に注目
2012年世界耐久選手権富士6時間の舞台となる富士スピードウェイは全長4,563m、コーナー数16で、ストレートの長さは世界有数の1,475m。LMP1車両はル・マンで330km/hを超える最高速度をマークしている。中でもTS030 HYBRIDは最速となる335.2kmを記録。富士スピードウェイの約1.5kmという世界有数の長さのストレートでは果たしてどんなスピードを記録するか。最大の見どころのひとつだ。
そしてそのストレートエンドからタイトな第1コーナーへと急減速。或るデータによればLMP1車両はここで車速が120km/hに達しない可能性がある。
ところでエネルギーの回生/力行を前輪で行うハイブリッド車の場合、力行は120km/h以上での走行時でなければならないという規定がある。回生/力行を前輪で行うか後輪で行うかで生じるハイブリッド車の違いがここで見られるかもしれない。
また、この第1コーナーへの進入はオーバーテイクシーンが多く見られるポイントでもある。
アドバンコーナー(ヘアピン)
回生/力行ポイントとなっているヘアピン
TS030 HYBRIDの加速に注目ヘアピンのように急角度に曲がっているカーブという意味で付けられた名称だが、富士スピードウェイでは最もタイトなダンロップコーナーよりも高速で走り抜けるコーナーだ。ヘアピン入り口のブレーキング争いは要注目。ここはドライバーの技量、車両の特性が示される場所といえる。ヘアピンの立ち上がりから300Rへと向かうところでは、TS030 HYBRIDが異次元の加速性能を発揮するはずだ。ハイブリッド車らしいダイナミックな走りが見られるだろう。
ダンロップコーナー
後輪で回生/力行を行うTS030 HYBRIDの
瞬発力が発揮される高速の300Rから急減速してタイトなダンロップコーナーへ。ここが富士スピードウェイで最も低速で抜けるコーナーだ。ダウンフォースが効かないこともあり、LMP1カーでも車速は100km/h以下となる可能性が高い。そうなると前輪でエネルギーの回生/力行を行うハイブリッド車は、ここでは回生エネルギーを加速力に追加できないことになる。一方、約300馬力を発揮するモーターの回転が後輪に伝えられるTS030 HYBRIDの立ち上がりの瞬発力に影響はない。
ダンロップ~プリウスコーナーにかけて
THS-Rの特性が遺憾なく発揮されるセクションダンロップコーナーを抜けて登り勾配をハイブリッドパワーで駆け上がり、第13コーナー、さらにタイトなプリウスコーナーへと続くこのセクションは、3.4ℓ V8NAガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせたTS030 HYBRID のハイブリッドシステム、THS-R (TOYOTA Hybrid System - Racing)の優れた特性が遺憾なく発揮されるはずだ。低速で抜けるこのゾーンでも、ハイブリッド車についてはエネルギーの回生/力行を前輪で行うか後輪で行うかの違いが現れるかもしれない。
<次ページへ続く>
- P1:ハイブリッドならではの楽しみ方
- P2:WECならではのルール 1
- P3:WECならではのルール 2
- P4:富士スピードウェイ 観戦ポイント
- P5:もうひとつのトヨタパワー