●コンストラクターズ選手権4位という結果には満足していますか?
「チームとしては、今シーズンのこの結果は非常に満足のいくものだったと言えるだろう。残り3~4戦の段階ではコンストラクターズ選手権3位にも手が届きそうに思えたが、だからと言って4位という結果がそれに劣る成果だと考えるべきではないだろう。最終的にわれわれは3位まで12ポイント差で終えたわけだが、フェラーリが最大スコアの18ポイントを手にしたインディアナポリスがあったからね。それにいい戦略のお陰で途中まで有利に走れたスパでのレースもある。ベルギーGPでは勝つことに対してすこしだけ欲張りすぎたのだろう。だがそういった渇望の気持ちはとてもポジティブなことでもある。われわれはおそらくドライタイヤへの交換が少しだけ早すぎたのだろう。そしてその代償を払うことになったわけだ。だが後悔はしていない。今年はいいシーズンだったよ」
●最も進歩したのはチームのどの部分ですか?
「すべての分野のあらゆる面で進歩した。以前よりもレースがうまくなったし、クルマもよくなった。それにシーズン全般を通して、常に新しいパーツを投入できた。エンジンもずっと強力だったし、しかもV8の開発も同時進行していた。これはエンジン部門にとって相当大きな挑戦だったと思う。また、組織全体が常に改善されていったと思う」
●ドライバーのパフォーマンスについてはどう評価していますか?
「われわれには力のあるドライバーがそろっていると思う。ラルフとヤルノはどちらも勝てるドライバーだし、ヤルノの予選パフォーマンスはグリッドに並ぶ面々のなかでベストだろう。つまり、われわれには、レースでの実力と速さが証明されている2人のドライバーの貢献があり、さらにはテストや開発で素晴らしい仕事をしてくれるリカルド・ゾンタとオリビエ・パニスもいる。この2人はエンジニアへのフィードバックも素晴らしい」
●あなたにとって今シーズンのハイライトはどんなことでしょう? また一番不調だと感じたのは?
「コンストラクターズ選手権で4位になり、また、5回の表彰台を獲得できたこと自体がハイライトだと思う。シーズンに入る前、こういった成績を達成できればハッピーだと思っていたしね。最低のことと言えば、とにかく政治がらみの話に尽きる。パナソニック・トヨタ・レーシングの運営ではなく、F1の将来を見極めるために、あまりにも多くの時間を費やしてしまった。私としては、そういった部分は来年改める必要があると思っている」
●F1が提供している“ショー”についてどう評価していますか? あなただったらどのように改善するでしょうか?
「調べてみればわかるが、F1は今でも世界で最も人気の高いスポーツのひとつだ。人々はとにかく熱狂的だし、またF1は人間と機械の究極の組み合わせでもある。われわれはそのポジティブな側面ではなく、少々ネガティブな部分を口にし過ぎていると私は思う。われわれに必要なのは、とにかく4~5年先を見据えた明確なビジョンだ。あるいはアメリカのNASCARが参考になるかもしれない。彼らがいかにしてあれだけの規模の観客を引きつけ、支持を集めているのか、また、運営組織が先頭に立って、しかも一致団結したプロらしい方法でビジネス全体を拡大していっているのかを見てみるといいと思う。すなわち、ある意味で、現在本当に不足しているのは、これから先5年から10年先を見据えたF1というスポーツの明確なビジョンなんだ」
●トヨタの来年の目標は何でしょう? 4位の上を狙うだけで十分なのでしょうか? それとも勝たなければならないのでしょうか?
「来年は勝つことが求められる。われわれの存在理由はそれに尽きる。来年はV8エンジンの導入をはじめ、いくつか大きな変更がある。エンジンだけではなくシャシーについても、その変更をどのように解釈して形にするかが重要になるだろう。予想を立てるのは難しいし、したがって自信過剰になるのは愚かなことだ。だが、われわれはF1チームであり、目的はたったひとつ――つまり、勝つことだ。言い訳は通用しないし、われわれはとにかく真剣に取り組んで、その目標を達成するためにさらに懸命に仕事をしていくしかない。今シーズン最後の2レースにTF105Bを投入したのもそれが理由だしね!」 |