●全体的に見て、トヨタの今シーズンをどう評価していますか?
「昨年から非常に大きな進歩を遂げた1年だったと思う。チームで仕事をしているあらゆる人にとって、今年は以前よりも断然楽しめる年だった。第2戦で表彰台を獲得したことが、みんなのやる気を大いに高めてくれた。それにいいクルマを手にして、金曜日のセッションでは常にマクラーレンを相手にトップもしくは2番手を走れたことが私のやる気を高めてくれた。マクラーレンがどれほど速いのかは全員がわかっていたし、そのマクラーレンに近い位置にいたり、あるいはさらに速かったことの意味はとても大きかった」
●あなた個人のハイライトはどんなことでしたか? また調子が振るわなかったときは?
「ときどきクルマのバランスに問題を抱えることがあったし、メカニカルな問題が出てくることもあった。でも全般的に見て、いい1年だったね。まだ改善しなければならない部分はあるが、2004年と比較すれば断然よくなった」
●テストからは今でも満足感を得られるのですか? それともレースが恋しくなったりしますか?
「もちろんレースはテストとはまったく別のものだが、金曜日の走行でいいのは、異なるサーキットを走れるということだ。テスト用のサーキットで周回を重ねるよりも楽しめるしね」
●1日のテストで120周もするときがありますが、そういうときは信頼性の高いデータを提供するためにどうやって安定した走りをするのですか?
「ロングランのときは常に99パーセントの力で走る。100パーセントではない理由は、仮にそうしてしまうと小さなミスを犯してしまって、テスト内容のどこかで妥協することになるからだ。実際には99パーセントというよりも99.5パーセントかもしれない。つまり速く走りはするものの、ミスをしないように十分なマージンを取っているわけだ」
●1日の時間帯によってコース状況が変わり速く走れることもありますが、こうした状況にはどのように対処するのですか?
「テストではいつも何らかのプログラムがあり、その内容にはコースコンディションの変化に関する過去のデータもあらかじめ含めている。一番速く走れるのは午前中の早い時間帯と午後遅くだ。ただし、実際のラップタイムはそれほど重要ではない。その日、最も遅いラップタイムを刻んでいるときは、タイヤの比較テストかロングランに取り組んでいるときだ。というのも、その時間帯になると路面温度が最も高くなるし、タイヤの摩耗の問題も確認できるからね」
●今年のテストで一番長く走ったときはどのくらい走ったのですか?
「テストでは1日に150~160周走ったと思う」
●ときにはそれが多すぎるように感じませんか?
「場合によるね。ときには何項目かテストすることがあって、1日で50ラップしても楽しめないことがある。別の日には130周することもあるが、クルマを改善するために重要なことをテストするのに忙しくて、自分が走っている周回のことをあまり実感していないときもある。とにかくその日のプログラムに没頭している状態だね。あるいは、クルマの開発ではなく単なるデータ収集のときもあって、そういうときはちょっと退屈かな」
●身体的にもキツイのでしょうか?
「そういうときもあるね。テストには医者と栄養士を連れて行くんだけど、セッションの合間に適切なマッサージを受けたり、適切な食事をとることは重要なんだ。午前中だけで4時間もずっとクルマの中に座ったままのときもある。ロングランの前にきちんとした朝食や昼食をとっていないと――しかも3回か4回のロングランを連続してやるときもあるし――2日間のテストで300周も走って、最後の日にはレースのシミュレーションをすることもあるわけだけど、そんなときに適切なエクササイズや食事を実践していないと、走行中にミスを犯したり最後まで走りきれなかったりする。テストでは非常に多くのドライバーがミスを犯すのを目にできるはずだ。グラベルに飛び出したりしてね。でもトヨタの場合、われわれはプロとして素晴らしい仕事をしていると思うし、ほとんどアクシデントに見舞われることなくプログラムを完遂している」 |