●振り返ってみて、今シーズンには満足していますか?
「そうだね。われわれの2005年シーズンの展開には大いに満足している。2004年は確固とした結果が手にできない厳しいシーズンだった。われわれ全員にとって辛いシーズンだったが、そこで学んだ教訓を改善へ向けての大きなモチベーションへと転換した。2005年の結果は、われわれの忍耐と決意と成功への信念からダイレクトに生まれたものだ。2002年にわれわれがこの冒険を始めてからまだ3年とすこしだが、大きく前進できたと思っている。トヨタという名前を見ただけで、われわれが挑んでいる挑戦を十分に理解しないまま大きな期待を寄せてくる人もいるが、まったくゼロの状態からクルマのすべてをひとつのファクトリーで、しかも新しく集まった人々によるチームで2~3年のうちに作り上げるというのは、トヨタ全体にとってみても大変な仕事だったと思う」
●ではトヨタは目標に向かって間違いなく前進していると?
「そうだ。今シーズンのはじめにわれわれは2つの目標を掲げていた。1つ目は可能な限り多くのレースでポイントを稼ぐこと。そしてそういった状況に満足できたら、次は表彰台に上がることが目標になった。われわれは全19レース中17レースでポイントを獲得し、表彰台には5回昇った。また、ディフェンディング・チャンピオンにかなり近い位置でシーズンを終えることができたわけで、私はこれ以上ないほど嬉しく思っている」
●今シーズンで最高の瞬間と一番苦しかった瞬間はいつでしょう?
「2レース目のマレーシアで、ヤルノが2位になり、表彰台に上がったときが今シーズンのハイライトだろう。最悪だったのは鈴鹿だ! ポールポジションを獲得したのにセーフティーカーがレースの序盤に入ってしまい、われわれの計画は完全に崩れてしまった。ポールポジションを獲得したときは素晴らしい気持ちだったが、お陰で期待が高まりすぎていただけに、セーフティーカーが入って結局8位にしかなれなかったのは尚更辛かった」
●今後のV8エンジンについてどう思いますか?
「V8エンジンもそうだし、タイヤ供給メーカーも新しくなる。またV8エンジンの長さに応じた新しいシャシーになって、空力もすべて変更になる。しかもこれらすべてを限られた時間の中で行わなければならない。これは非常に難しい仕事になるが、なんとかこうした新しいチャンスをうまく活用できればと思っている。今はどのチームもV8エンジンから十分な馬力と信頼性を引き出すことに腐心していると思う。だが、冬のテストの間にこれは達成できるものと私は自信を持っているし、来年の開幕戦となるバーレーンの前にはいい状態に仕上がっているはずだ」
●来年のトヨタの現実的な目標は何でしょう?
「初優勝を達成することだ。それが私の目標だ。それが現実的なのかどうかは、とにかく待ってみるしかない。だが、F1に参戦すると決断したときから、われわれはとにかくトップを目指している。パナソニック・トヨタ・レーシングが現在立っている場所を説明するとき、私は富士山のイメージを使うのが好きだ。現在のわれわれは富士山の7合目に立っている。これだけでも大変な成果だし、喜ばしい結果ではある。だが、われわれはこの先に残された道程に目を移さなければならない。その道程は今まで以上にタフで、苛酷になるだろう。だが、頂点に到達できたときに手にする結果は、今まで以上の見返りをわれわれにあたえてくれることになるはずだ」 |