ラリーを戦うために最も重要なツールとも言える「ペースノート」。ドライバーとコ・ドライバーがタッグを組んで戦うラリーならではのものです。見通しの悪いコースなどで、このカーブはどこまで続くのか、そしてその先には何があるのか…そういった情報を記したノートになります。ラリーでは競技前日や当日の早朝に、競技で使用するSSの試走が行われます。レッキと呼ばれるその試走を行いながらペースノートを作成していきます。
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ペースノートの作り方は様々ですが、レッキをしながら注意すべきポイントでドライバーが言った言葉をコ・ドライバーがメモしていく方法が一般的です。その際、コーナーの大きさの他に「はじめは緩やかだけど、後半キツい」や「イン側に寄せすぎると危険」、「このコーナーは直線で抜けられる」など、様々な路面情報をメモしていきます。後で確認できるように、走行中のシーンを車内に取り付けた固定カメラで録画する選手も多いです。
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レッキ終了後、メモした内容をペースノートに清書していきます。コーナーの大きさなどは、その大きさを数段階(主に1〜8段階)に分け、旋回半径が小さいタイトなコーナーを少ない数字、コーナーが大きくなるにつれて大きな数字で記します。数字を書いたテープを、角度に合わせてステアリングに貼ると分かりやすくなります。ペースノートはSSを全開アタック中に読むものなので、大きめの文字で余裕を持って書いたほうが使いやすいです。
ペースノートを使いやすくするために、様々な記号を使うと便利です。例えば、右コーナーはR、左はL。長いコーナーではLg(ロング)、さらに長ければVLg(ベリーロング)。コーナーの出口が緩ければ<(オープン)、逆にきつくなる場合は>(タイトゥン)など、路面状況に合わせた表現が無数に存在します。自分達だけのオリジナル記号で書いてもいいですが、一般的に使われる記号はラリー選手の共通言語とも言えますので、ぜひ覚えましょう。
◆◆ コーナ等道路状況に関する項目 ◆◆
| 記号 |
呼び方 |
意味 |
| 1~10 |
いち~じゅう |
コーナの大きさ(数字が大きいほど緩い) |
| L |
エル |
左コーナ |
| R |
アール |
右コーナ |
| s |
ショート |
短いコーナ コーナの後に小文字でつける |
| ・ |
ロング |
長いコーナー |
| V・ |
ベリーロング |
より長いコーナー |
| VV・ |
ベリーベリーロング |
かなり長いコーナー |
| < |
オープン |
コーナの出口が緩やかになっている |
| > |
タイトゥン |
コーナの出口がきつくなっている |
| V> |
ベリータイトゥン |
コーナの出口がかなりきつくなっている |
| VV> |
ベリーベリータイトゥン |
コーナの出口が非常にきつくなっている |
| C |
クレスト |
先の見えないUP, DOWN |
| ~ |
から |
次のコーナが即ある場合 |
| グレ |
グレーチング |
グレーチングのギャップ |
| Jump |
ジャンプ |
ジャンプ |
| keep in |
キープ イン |
道路の内側を通ること |
| keep out |
キープ アウト |
道路の外側を通ること |
| Slow |
スロー |
減速しないと曲がれない場合 |
| Slip |
スリップ |
先のコーナが滑りやすい場合 |
| narrow |
ナロー |
道幅が狭くなる |
| 橋 |
ハシ |
橋 |
◆◆ 距離に関する項目 ◆◆
| 記号 |
呼び方 |
意味 |
| + |
アンド |
10~20 |
| Z |
ゼン |
20~30 |
| 30 |
さんじゅう |
30~50 |
| 50 |
ごじゅう |
50~80 |
| 80 |
はちじゅう |
80~100 |
| 100 |
ひゃく |
100~150 |
| 150 |
ひゃくごじゅう |
150~200 |
| 200 |
にひゃく |
200以上 |
ペースノートの読み方について
- ストレートは前のコーナと合わせ続けて読むこと
- コーナ進入前には次のコーナを読むこと
- アンダーラインはコーナ間が短いので続けてまたは早く読むこと
- C(クレスト)の後は続けて読むこと
複合コーナ表現例