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2014チャンピオン/RI4Aエンジン開発ドライバー 中嶋一貴
with RI4Aエンジン開発担当エンジニア 佐藤真之介
前編(2/2)

前編「エンジンへの信頼が築いたアドバンテージ」

思うように進まなかった中盤戦。その真相とは?

--第4戦もてぎから新スペックのエンジンになりました。

佐藤真之介エンジニア 佐藤我々のエンジンはそう大きく変わっていません。基本的には信頼性の部分などで少し変えた程度で、変更は大きくなかったんです。パワーなどの上がり代ですか? うーん...、そんなにないですよ(笑)。

--序盤戦が良かっただけに、そのもてぎ、続くオートポリス、SUGOと苦戦しているように思えましたが?

中嶋ホンダさんのエンジンも、チームも巻き返してきましたね。それと燃料流量リストリクターが全車絞られたことも大きいんだろうと思います。ホンダさんは調子が良かったからいいでしょうけど、僕らとしては「要らないよ!」って言いたかったですね(笑)。

--それはホンダの巻き返しですか? それとも......

佐藤もてぎ、オートポリス、SUGOと燃料流量リストリクターが100kg/h(1時間に燃料100kgを送る)から90kg/hになりました。(規制は)予定されていたことなので、正直、その対応を考えたのが遅かったので......。十分考えていれば、対応できたなと。しっかり考えていなかった自分たちが悪い。ここは、反省したいです。

--もう少し苦戦の理由を教えていただけますか?

佐藤我々のエンジンでは、その制限された10%の部分にアドバンテージがあったのです。信頼性の面でも、もっと高い限界でやれるのにそこに行けないという状態でした。その点で相対的に差が縮まったのだと思います。

中嶋ホンダ系のドライバーが上位に食い込んでくると、レースとしては絶対おもしろくなると思いますが、結果を問われる1人のドライバーとしては「めんどくさい状況」ですね(苦笑)。ホンダさんには若い日本人が多いので、彼らが前に来れば盛り上がりますしね。ただ、僕らは持っているものを出し切れないというフラストレーションが溜まりました。

--その後の第5戦オートポリス、第6戦SUGOと対策は?

佐藤規定でハードウェアは変えられないので、ソフトウェアでの対応になります。対策は、それなりに効果があったと思いますが、クルマとしてTEAM無限さん、ダンデライアンさんが仕上がってきたのかなと気はしました。

第6戦 SUGOのスタートシーン

中嶋そりゃ力があるところは(上に)来ますよね。以前のSF13の時も速かったのですから。こうなれば、こちらも負けられないという気持ちでした。

中嶋選手のターニングポイントとなった第6戦

--厳しい流れの中で、第6戦SUGOで中嶋選手は2位を得ましたね。

中嶋SUGOも基本的にはもてぎ、オートポリスの流れのままで、決して速くはなかったんですが、レースペースには手応えは感じました。実は、SUGOの決勝ではクルマに問題があった。その割にはそれなりの手応えがありました。最終戦鈴鹿に対しての、1年やってきたセットアップに対しての方向性をここで確認できたんです。ラッキーもあって2位と言う結果も得ましたけど、それがなくても最終戦に向けて良い流れを掴見ましたね。今、思い返せば、ここがターニングポイントだったと思います。

--最終戦鈴鹿では、また燃料流量リストリクターが元に戻る事が決まっていました。

佐藤この頃、ホンダさんとの相対的な距離が縮まったと周囲から心配されました。でも、僕はエンジニアなので数値で考えたい。そこでいろいろな状況から判断すると、やはり出力差はそれほど変わっていない。開幕戦に近い状況なるだろうと思っていました。最終戦に向けては、ちゃんと根拠のある自信がありました。

--中嶋選手はチャンピオンが懸かった最終戦を迎えることになりました。

中嶋鈴鹿に関しては開幕戦も良かったし、クルマとしては良いだろうと自信ではないが、期待はありました。エンジンに関しても、心配はしてませんでした。僕にはエンジンの数値的なことは分かりませんが、その前の3戦でホンダ勢が前に来たとはいえ、別にエンジンで負けているとは感じていませんでしたし、僕自身が遅かったのもクルマのセットアップにあることは分かっていましたので、別に気にしなかったです。

中嶋一貴選手と佐藤真之介エンジニアのインタビュー、次回はいよいよ後編です。チャンピオン争いが激化した最終戦の裏側に何がったのか? そして中嶋選手と佐藤エンジニアによるRI4Aエンジン開発の手法、さらに動き出した2015年エンジンの話題もお話していただきます。お楽しみに。

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