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TS040 HYBRID
その進化と革新は市販ハイブリッド車と共に歩む(1/5)

昨年のTS030 HYBRIDとは違う4輪駆動のレースカー

市販車開発に繋がる2014年車両規定

エンジン、シャシーともにまったく新しく設計製作されたTS040 HYBRID
エンジン、シャシーともにまったく新しく設計製作された
TS040 HYBRID
 今年トヨタ・レーシングは新型車両TS040 HYBRIDを開発、ル・マン24時間レース初制覇を目指す。TS040 HYBRIDは、WECで過去2シーズンを戦った経験を活かすとともに、今年大幅に改定された車両規定に沿って、昨年までのTS030 HYBRIDをベースに、ハイブリッドパワートレーン、シャシーともにまったく新しく設計されたレースカーである。

 昨年のTS030 HYBRIDとの最も大きな違いは、減速時に運動エネルギーを回収してキャパシタに蓄電し、加速時にはそのエネルギーを受けて車輪を駆動するモーター/ジェネレータユニット(MGU)をフロントにも搭載し、リヤ(エンジンとMGUで駆動)と合わせて4輪駆動となった点だ。
 昨年までの車両規定では、TS030 HYBRIDがエントリーするLMP1クラスにはエンジン排気量制限があり、自然吸気のガソリンエンジンは最大3.4リッター、過給ガソリンエンジンは最大2リッター、ディーゼルエンジンは最大3.7リッターとされたうえ、吸気リストリクターの装着によって最高出力が制限されていた。
ハイブリッドプロジェクトリーダー 村田久武
ハイブリッドプロジェクトリーダー 村田久武
 新たに定められた2014年の車両規則では、エンジンの排気量制限と吸気リストリクターが廃止される一方で、1周あたりに消費できる燃料エネルギー量が制限されることになった。この新規定を、トヨタ・レーシングのハイブリッドプロジェクトリーダー、村田久武は歓迎している。

「去年までは空気をリストリクターで絞っていましたが、今年の車両規則は空気ではなく燃料を絞ります。その結果、決められた量の燃料でいかにエンジンから馬力を出すかを追求し、エンジンの熱効率を上げる必要があります。大変難しい仕事になりますが、市販車開発とレース車開発の方向性が合致した良いレギュレーションだと思います」