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TS040 HYBRID
その進化と革新は市販ハイブリッド車と共に歩む(5/5)

最高速を昨年よりも落とさない。空力でも安易な方向には向かわず

新たなハイブリッドシステムを活かす新設計のシャシー

TS040 HYBRIDのローダウンフォース仕様(写真上)とハイダウンフォース仕様(写真下)
TS040 HYBRIDのローダウンフォース仕様(写真上)と
ハイダウンフォース仕様(写真下)
 このパワーを活かすためのシャシーもまったく新たに開発された。車両全幅を100mm狭められるとともにタイヤ幅も縮小されたため、タイヤから最大の性能を引き出さなければコーナリング性能は低下する。そのためには大きなダウンフォースでタイヤを路面に押しつけなければならないが、安易にダウンフォースを増やすと空気抵抗も増して最高速が伸びなくなる。
 TS040 HYBRIDの空力デザインは「最高速を昨年よりも落とさない」ことをテーマに開発された。その結果、ローダウンフォース仕様とハイダウンフォース仕様で車体の基本は同じだったTS030 HYBRIDに対して、TS040 HYBRIDはそれぞれまったく異なる仕様の車体を別々に開発し準備することとした。

 2014年シーズンのWEC開幕戦となる4月20日のイギリスのシルバーストーン6時間でデビューしたTS040 HYBRIDは、トヨタ・レーシングとしてWEC初となる1-2フィニッシュを飾ると、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催された第2戦でも優勝を遂げた。ル・マンの予行演習とも言えるスパ・フランコルシャンでは、ル・マンと同じローダウンフォース仕様でレースに臨み、設計時に想定した最高速を記録、TS040 HYBRIDが狙い通りに仕上がっていることが証明された。トヨタ・レーシングのレーシングハイブリッドシステムの集大成とも言えるTS040 HYBRIDは、いよいよ念願のル・マン24時間レース制覇を実現しようとしているのである。