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TS040 HYBRID
その進化と革新は市販ハイブリッド車と共に歩む(4/5)

ハイブリッドでも重要なのはエンジン。TS040 HYBRIDのシステム出力は1000PS

軽量化と燃費規制。大きな制約を乗り越え前年以上のパワーを達成

 新しい規則では、それぞれの段階に応じて1周あたりにエンジンが消費できる燃料のエネルギー量、すなわち燃料消費量と最大燃料流量が制限される。段階によって、昨年比で20%から30%燃料が絞られることになるが、その分エンジンの出力は落ちる。例えば燃料を30%絞られれば昨年530馬力発揮したエンジンでも今年は370馬力のエンジンになってしまうのだ。ただし最大エネルギー放出量を6MJにした場合、8MJよりはわずかながら燃料のエネルギー量が増え、エンジン出力を上げることができる。

エンジンは、軽量化と燃費規制。大きな制約を乗り越え前年以上のパワーを達成した
エンジンは、軽量化と燃費規制
大きな制約を乗り越え前年以上のパワーを達成した
 そのままのエンジンではMGUによるアシストを6MJに増やしてもシステム全体の出力が低下してしまい、ル・マン24時間レースを戦うための大きな要因である最高速の低下は逃れられない。そこで開発陣はエンジンの排気量を3.7リッターへ増やし熱効率に優れた新エンジンを開発、新しいハイブリッドシステムと組み合わせることとした。

 出来上がったエンジン単体の重量は105kg。軽量化のためF1カー同様、TS040 HYBRIDはモノコックより後部にはサブフレームを持たず、エンジンがフレームとして機能する構造になっている。しかし車両全体の重量はF1の1.5倍近く、エンジンは走行中、非常に大きな負荷を支えなければならないうえ、ル・マン24時間レースでの走行距離は5,000km以上になり、はるかに高い耐久性能を要求されることを考えればエンジンの単体重量はきわめて軽い。出力は520PS。ハイブリッドシステムの最大アシスト量は480PS(あくまでも最大値で、この出力を1周にわたって継続して発揮できるわけではなく、前述したように最大量は6MJに制限される)とされているから、TS040 HYBRIDの最大出力は1000PSに達する。