特集 > 2005年特集 > グッドウッド・フェスティバル > 3.時代を駆け抜けたドライバーが語る“あの頃”と“今”
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toyota-f1.comインタビュー
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オリビエ・パニス――
「子どものころの夢、F1ドライバーへの道程」

F1のキャリアを振り返って
● そのリジェではモナコGPで優勝しましたよね。そのときのエンジンは無限ホンダでした。その後(プロスト・プジョーなどを経て)BARホンダへと移籍し、そして今はトヨタで走っているわけです。こうしてみてみると日本のメーカーとの繋がりが深いように思われるのですが、これはまったくの偶然だったのでしょうか?
「最初は本当に偶然だった。1994年にリジェとサインしたときのエンジンはフォードだったからね。でも翌年になるとすぐに無限ホンダに変わったわけだけど、日本人スタッフとはすぐにとてもいい関係を築くことができた。その後、日本のメーカーとつながりが続いている理由は、ひとつには日本のみんなが仕事に真摯に取り組んでくれるその姿勢だね。彼らは素晴らしいファイターだし、そしてモータースポーツを愛している。私は日本の方々のそういった部分を尊敬しているし、これだけ長くいい関係を続けてこれたのもそれが理由だと思う」

レギュラードライバーを退いた今も人気は健在だ。  

● 長かったF1ドライバーとしてのキャリアの最後をトヨタで迎えることになると思うのですが、これについてご自分で何か特別に感じることはありますか?
「トヨタとサインしたときはレースドライバーとして2年契約だった。もちろんここでキャリアを終えることについて考えていたよ。トヨタは世界でも有数の巨大な自動車メーカーだが、F1ではまだ若いチームだし、学ばなければならないこともたくさんある。それでもサインしたのは、このチームと自分の将来に対して確信があったからだ。自分でも“いい仕事をしなければいけない”、と思ったよ。その後、サードドライバーとして2年契約を結んだ。もちろんチームをもっともっとよくしていくために、自分としてもこのチームのために力を注いでいきたかったからだ」

● 現在のチームの雰囲気や勢いはいかがですか?
「チームの雰囲気はとても気に入っている。エンジニアもメカニックもドライバーも、お互いに近い関係を築いて一緒に仕事をしているし、チームはとても安定していると思う。今シーズンここまでの成果のお陰で、チームのみんなは大きな自信を手にすることができた。だから今の雰囲気はとてもいいよ」

● あなたのようなF1ドライバーになりたいと思う子どもはたくさんいると思います。そういった子どもたちへのアドバイスをお願いします。
「何かアドバイスするのは簡単じゃない。でも何か言えるとしたら、“ドライバーになりたいという情熱があるのなら、あらゆることにトライするべきだ”だね。でも“F1ドライバーになりたいなら”とは私からは言えないな――それは単にプロのドライバーになること以上に、本当に難しいことだからね。“本当に情熱があるのなら、全てにトライすること”――これに尽きる。F1ドライバーになるための秘密が何かあるのなら、最初にそれを教えてあげるんだけどね。でもあまりに多くの競争相手がいる世界だから、とても難しいんだよ。資金の問題もあるし、いいチームに恵まれなくてはならないし……、とても多くの事が絡んでくる。だから熱意を持って、その夢を追い続けるしかないんだ」

  パニスのレース人生はこれからも続いていく。

● 今振り返ってみられて、自分のF1ドライバーとしての人生をどう思いますか?
「“F1ドライバーになれるかな?”と思ったときの自分にとって、モータースポーツはすでに自分の血であり肉となっていた。それが自分の一部だったからね。“これなら自分にできる”というものがモータースポーツだった。それ以外の選択肢はなかったしね。学校の勉強も得意じゃなかったし、ただモータースポーツが好きでたまらない子どもだったんだ。こうして何年もトップの世界にいられたのは幸運だったと思う。私はただ自分がやっていることに情熱を傾け、自分の100パーセントをF1に注ぎ込んできたんだ」

● つまりF1ドライバーとしての人生に十分満足しているわけですよね?
「そう、もちろんだよ」

● 今後の中期的な予定はどうなっていますか?
「開発担当のドライバーとして、トヨタとの契約がもう1年残っている。その後もレースを続けるのは間違いないだろう――それが私の一部なのだから。もしかしたらDTMとか、トヨタと一緒にアイス・レースに出たりとか……、いろいろとアイディアはあるよ。それから子どもたちをサポートする活動もやりたいね。特にフランスの子どもたちを相手にしたい――今あまりいい環境が存在していないからね。その中から、将来、F1ドライバーが生まれてくればと思っている」

● 今年の日本GPには来ますか?
「もちろん!」

● では、今度は日本でお会いしましょう。
「ありがとう」

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