特集 > 2005年特集 > グッドウッド・フェスティバル > 3.時代を駆け抜けたドライバーが語る“あの頃”と“今”
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toyota-f1.comインタビュー
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ファン・マニュエル・ファンジオII――
「自らが継承するモータースポーツの伝統」
F1の伝説的ドライバーを叔父に持つファンジオ氏に、グッドウッドの感想やアメリカのモータースポーツについてうかがった。
(2005年6月26日(日)グッドウッド・フェスティバル出走車用パドックにて)
ファン・マニュエル・ファンジオII
(Juan Manuel Fangio II)


1958年9月19日生まれ。48歳。アルゼンチン国籍。
1980年からレースキャリアをスタート。南米をはじめ、その後は欧米でも活躍。1989年AARからIMSA GTPに参戦し、2、3位を獲得した。翌90年には全15戦に参戦し4勝をあげてドライバーズランキング4位となる。1992年には全13戦中7勝を記録し、ドライバーズチャンピオンに輝く。IMSA GTPでの通算優勝回数は21回。その後Indyカーシリーズでも活躍した。伝説のF1ワールドチャンピオン、ファン・マニュエル・ファンジオは彼の叔父にあたる。

グッドウッドがもたらす特別な時間
● 3日間のフェスティバルを体験された印象はいかがですか? たくさんの関係者やファン、レーサーに会えるのを楽しみにしているとおっしゃっていましたよね?
「これはいつも話していることなのですが、引退してから長い年月を経て、グッドウッドのようなこうした素晴らしい雰囲気の場所に戻ってこれるというのは最高の体験です。友人やファンの楽しそうな顔、それに一緒にレースをしたみんな……、そんな彼らと一緒に過ごした時間……、それにもちろん自分が乗った昔のクルマをドライブする機会に恵まれるわけですから。今回は滅多にない、貴重な体験になりました。現役時代にこうしたフェスティバルに招かれても、その大切さはなかなか理解できないものなのです――毎週末レースをしていますからね。ですが、レースを離れた生活を送るようになってからグッドウッドのようなイベントに参加すると、とても特別な感情がわき上がってくるのです」

● 今回、レースではなくエキシビションとして大勢のファンの前でデモランをされた感想をお聞かせください。
「もちろん通常のレースではありませんが、ヒルクライムをするときはクルマの巨大なパワーを感じることができます。とても心地よい感触ですよ。ラップタイムを気にする必要がありませんから、その分、もっとクルマの感触に集中できるわけです。プレッシャーを感じずに走ることができるこういった機会は、クルマとドライバーにとって最高のコンビネーションだと思います」

  ヘルメットを被ると当時のままの瞬間が蘇る

● 今回のフェスティバルで出会った人、出来事などで何か特に印象に残っていることがあればお聞かせください。
「過去の人から現在活躍中の人まで、印象に残った人物はたくさんいましたね。モータースポーツにかかわっている人は誰でも、非常に厳しくまた中身の濃い人生を送っています。もちろんスターリング・モスやブラバムなど、1950年代にレースをしていた人たちと会うと特別な気持ちになります。というのも、当時はF1にとってもロマンチックな時代でしたからね。当時のレースカーは今ほど安全ではありませんでした。私の叔父は7年間で約30人もの仲間を失っています。それでも彼らがクルマに乗り込んでレースをしたのは、純粋にレースが好きだったからなんです。今でもそれは同じなのでしょうが、妥協する部分もありますから、その点がすこし違いますよね。ですからそういった当時のレーサーたちにこのグッドウッドで出会えるというのは素晴らしい体験でした。彼らとは本当の意味での人間関係ができていますから……。今までも世界中のいろいろな場所で彼らと会った機会はありましたが、グッドウッドでは一緒にテーブルを囲んでゆっくり話をして楽しむことができますから、やはり特別ですね」

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2.グッドウッドで蘇ったトヨタの名車たち 詳細..
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