TF106

TF106の進化を分析する

パナソニック・トヨタ・レーシングは、2006年シーズンの開幕戦となるバーレーンGPを前に、F1カー“TF106”の最新空力パッケージを発表した。この新しいパッケージは、シーズン開幕前の残り2回のテストであるバレルンガとバルセロナテストに投入され、2月14日、イタリアのバレルンガ・サーキットで初 めてその姿を現す。ここでは、昨年11月末からテストを行ってきた、従来型の“TF106”との主要な相違点について解説する。

トップ・ビュー

新しいフロントノーズは、強いスプーン形状をベースとしている。

1) 新しいフロントウィングフラップは昨年のモナコGPで投入された類似のものと比較するとより強くねじられている
2) 新たに小さな水平フィンが追加されている
3) 外側にフィンが加えられている
4) ノーズコーン側面のフィンが2列にふやされている
5) サスペンションアームはより空力的に抵抗の少ない形状となっている
6) ターニングベーンも異なる形状となっている
7) サイドポッド前部の縦型スプリッタ付フィンが新しくなっている
8) サイドポッド上部のウィングレットはより小さくなっている
9) より絞り込まれた形状のサイドポッドとなっている
10)、12) エンジン周辺の熱気を抜くためのスリットが配置され、排気管の位置も新しくなっている
11) チムニーにウィングレットが新たに結合されている
13) ミニウィングの位置が変更されている
14) ギアボックスをカバーするのにより適した新しい形状のエンジンカバーとなっている
15) 後部構造物に小さく水平なウィングが追加されている

サイド・ビュー比較

2月14日からバレルンガでテストを開始する“TF106”は、開幕戦のために用意された全く新しい空力パッケージを搭載している。

1) 異なる翼端板と、外側のサイドフィンを持つ新しいフロントウィングとなっている
2) ノーズコーン横には1組のフィンが追加され、トータルで4枚のフィンが付くことになる
3) ガイドベーン形状が変更されている
4) 新しい空力仕様のサイドポッド前部には、小さな縦型ターニングベーンが配される
5) サイドポッドは下部がより絞り込まれた形状となり、車体後部へ流れる空気をより増加させる
6) サイドポッドのウィングレットは新たな位置へ移される
7) エアボックス部のウィングレットは従来の2枚から4枚へと増やされている
8) 新たな位置の排気管と、熱気を抜くための小さなスリットが配置されている
9) チムニーに小さなウィングレットが新たに結合されている
10) リアタイヤ前方の車体形状が変更されている
11) 車体後部の下側セクションのフィンは従来の2枚から1枚になる
12) 新しいディフューザーになる
13) より厳しい衝突テストに対応した新たな車体構造になる

サイドポッド

これまで冬季テストで使用されてきた従来型“TF106”と、新しい空力パッケージとの、サイドポッドにおける主な相違点

1) 小さな垂直のスプリッタ付の新しいターニングベーンとなり、形状が変更された水平フィンに2枚目の小さなガーニーフラップ(番号2)がつく
3) サイドポッドは、冷却性能の要求値が下がったことにより、下部をより絞り込み、車体後部へ流れる空気を増加させている
4) ウィングレット類は新しくなり、従来よりも小型化されている
5) チムニーはより外側へ角度が増加し、サイドポッドの新しいウィングレットと結合されている

フロントウィング

新しい空力パッケージは、新しいフロントウィングから始まる。2005年シーズンのモナコGPで既に使用されていた2枚目の小さなウィング(番号2)を持つフロントウィングがベースとなっている。またこの新バージョンには内側の小さなフィン(番号1)及び外側のフィン(番号3)が含まれている。ノーズコーン横には2枚のフィンが追加された(番号4)。このフィン(上部)のうち2枚は、2005年開幕時から採用されているものである。
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