2014年注目ドライバー インタビュー
石浦宏明 〜技巧派ドライバーの仕事術〜 前編(1/3)
最初にサーキットに来たのはカゴに入れられて
--まず最初に、レースに興味を持ったきっかけを教えてください。
「もともと父親がレース好きで、僕が最初にサーキットに行ったのはまだ(赤ん坊を運ぶ)カゴに入れられていた頃なんです(笑)。
そしてものごころついた時には、週末は富士スピードウェイのパドック裏で遊んでいるような感じでした。そんな子供でしたから、保育園の卒園文集には"レーサーになる"ってひらがなで書いてあるんですよ(笑)」
--その後、実際にレースを始めたのは何歳の頃ですか?
「16とか17歳です。小学校1年生ぐらいの頃から家にあるオートスポーツやレーシングオンを読み始めたんですけど、そこに『レーシングカート、12歳から乗れます!』と書いてあって。それで親に"12歳になったらコレをやらせてくれ"とお願いしていたんです。でも4年生ぐらいになったら"中学受験に合格したら"という約束に変わって......。
その頃、父親は広告代理店に勤めていてGTに関係した仕事もしていたんですけど、それでレース界の厳しさを知っていて"早く始めさせたら本当にレーサーになってしまうかもしれない"と。だから、間に合わないくらいまで引っ張りたかったらしいんですよ(笑)。僕は受験に合格したのでカートを買ってもらえると思い込んでいたのに、ラジコンを渡されたんです。それが本格的なエンジン付きの結構高価なものだったので、僕もついうっかりだまされて真剣にやっちゃったんですけど、中3くらいの時に"あれっ? 違うな"って気付きました(笑)。"ヤバイ! このままじゃ間に合わない"って。
それで父にせがんだら、父が勤めている会社にレンタルカートで遊んでいるグループがあって、そこに連れて行ってくれたんです。それが乗ってみたらぶっちぎりで速かったし、賞品でレーシングシューズをもらったこともあって、僕はもう完全にその気になってましたね(笑)。
高校1年生の終わりぐらいだったんですけど、カートをレンタルしてくれるシステムがあったのでそれに登録して、初めて新東京サーキットを走りました。何度か走りに行っているうちに練習でコースレコードが出たんです。そうしたらカート屋さんが"特別に、このレンタルのカートでレースに出してあげる"って言ってくれて。出てみたら、優勝ですよ。しかもその時の賞品がエンジンだったんですけど、レーシングシューズももらっちゃったし、エンジンももらっちゃったし、どうやってもカートを買わざるを得ないシチュエーションですよね。ゴリ押しで父親を説得して、高校2年生の時に本格的に始めました。でもすぐに大学受験があったので1年間カートをお休みしましたけど、大学に合格するとすぐに再開して、それが2000年です。この時は僕が6年間だまされてガマンしてきたことが爆発するわけです(笑)」
目次ページ
- 前編:18歳からでもトップドライバーになれる(2014年7月17日公開)
- 後編:車両開発と後輩指導に見せるこだわり(2014年7月24日公開)