メニュー

2014年注目ドライバー インタビュー
石浦宏明 〜技巧派ドライバーの仕事術〜 後編(1/3)

後編「車両開発と後輩指導に見せるこだわり」

LEXUS RC Fのステアリングにはこだわって、...開幕に間に合わずで(笑)

--レース以外にはどのような仕事があるんですか?

インタビューにに答える石浦宏明 「開発テストをしたり、スポンサーさんのイベントに参加したり、トヨタの若手ドライバー育成の先生をしたり、シミュレーターのコーチをしたり......すごくたくさんあります。こういう取材を受けたり、雑誌の取材を受けたりもしてますね。
 でも今年はテストが多くて、ほかの仕事を断らなければならないぐらい走ってました。シーズンオフはオートポリスに籠って走り続けたり、みなさんには見えないようなテストがいっぱいありましたから(笑)。ル・マン用のクルマとかニュル用のクルマとかですね。あとは、僕と大嶋(和也)でUstreamの番組をやっていたりとか、(脇阪)寿一さんがオートスポーツWEBでニコニコ動画の番組をやっているのでそれに出たりもしています」

--シーズンオフやシーズン中のテストではどんなことをされているでしょうか?

「SUPER GTの開発車両のテストの時は、例えば、エンジンの出力の特性が何種類か用意されるので、それを切り替えながら走って、どれがいいか選んだら、それに近い数値のものをさらに細分化して、また走り続けたりします。
 シーズン中のテストではタイヤ選択とかコンディションに合わせたセッティング作業を進めることになるので、開発作業とはまったく違う内容になリます。レースウイークにやるようなことと、そんなに変わらないですね。具体的に言うと、たくさん種類のあるタイヤの中から(次のレースのコンディション等を予想しながら)、それを選ぶ作業になります。LEXUS Racingは5台が同じブリヂストンタイヤを使っているので、5チーム分の意見が上がってくるんですけど、その中からイイものを選びます。

 ヨコハマタイヤとかミシュランタイヤを使っていた時は自分たちだけが使うタイヤを作るので、シーズンオフのテストと同じように"もっとこうしたい"ってワガママを言っていました。1チームか複数かでやり方はだいぶ違いますね。
 ほかにはドライバビリティ(操縦性)が良くなるような項目をテストし続けています。最近の具体例で言うと、このあいだイベントで去年まで使っていたLEXUS SC430に乗ったんですけど、NA(自然吸気)エンジンのアクセルのレスポンスとかフィーリングと比べて、今年のターボエンジンはどこが足りないとか、どこを直した方がいいとか、そういったことをTRD(トヨタ・レーシングデベロップメント)さんと話しました」

--開発ドライバーとしてこだわった部分はありますか?

GT500デビューとなた2008年、ECLIPSE ADVAN SC430 25号車が装着するヨコハマタイヤのエンジニアと話す石浦宏明 「例えば、ステアリングです。どうせならカッコイイものを作りたいと(笑)。3Dプリンターで何度も(試作品を)作ってもらって、それをメカニックさんに削ってもらって......そんなことを立川(祐路)さんとふたりで冬のあいだずっとやっていました。
 でも、こだわりすぎて開幕戦に間に合わなくなっちゃったぐらいです(笑)。でも第2戦の時に、日産の本山(哲)さんと柳田(真孝)さんが僕たちのクルマを覗いて"レクサスのハンドルってカッコイイよね"って言ってくれたんです。"細かいことを言い続けて良かった〜"と思いました(笑)。
 それから、WECのクルマはブレーキのシステムを何年もかかって作ったんですけど、アレックス・ブルツ選手とかニコラス・ラピエール選手とかいろんなドライバーがパッと乗った時に、"普通のブレーキだね"って言ってくれたので、それも嬉しかったですね。あれは本当に特殊なブレーキで、最初は誰も乗れないようなモノでしたから」