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Kamui's Race Diary 2015
スーパーフォーミュラ 第6戦 SUGO

Kamui's Race Diary 2015 スーパーフォーミュラ 第6戦 SUGO

今回学んだことをしっかり活かし、
予選とスタートに集中して勝ちにいきます。

 菅生サーキットは2003年のフォーミュラトヨタのレースをよく覚えています。日曜日、雨のなかのレースで、僕はポールポジションからスタートしたんですが、10周ちょっとのレースなのに3回飛び出して結局6位。コースオフを繰り返した結果、クルマに砂利を50kgほど積んで帰ってきて、チームにめちゃくちゃ怒られたんです。その砂利をクルマから取り除くのを手伝ったんですけど、ぜんぜん終わらなくて。隣のチームメイトの一貴はいつもどおりすぐに片付けが終わってました。
 この思い出を今回のスーパーフォーミュラのトークショーに一貴と石浦選手の3人で参加したときに話したんですが、石浦選手が「じつはその時、可夢偉の後ろを走っていたから」と覚えていて、「可夢偉のクルマからずっと砂利が飛んできていた」そうです。
 ともかくそれ以来のレースで、今年の夏に一度FTRSの後輩を教えるためにF4で走りましたが、F4のクルマ自体そこまで速くないので、スーパーフォーミュラのスピードで走るとどう感じるのか楽しみでした。

土曜日午前のフリー走行にSF14で初めて走ってすぐに、SPから最終コーナーもかなり車速が乗るし、コーナリングのGもけっこうあるので、体力的にも一番厳しいレースになるだろうとは予想できました。また1周の距離が短いこともあって非常に忙しいし、1周をきちんとまとめるのが難しいかな、というものでした。
 このフリー走行で履いたタイヤはかなり使い込んでいたものですが、コースを習熟しながら どこでタイムを稼ぐのか、例えばシケインや登り区間のトラクションを重視するのか、それとも車速が乗るコーナーでの旋回性能のどちらをとるのかその辺りを見極めながら、セッティングを煮詰めていきました。
 クルマの状態としては前回よりも走りはじめから感触は悪くなかったです。アクセルを踏むとリヤが流れる傾向があってグリップ感が足りなかったですが、それはタイヤから来ていたものだと思うので、予選に向けてはその他に感じていたコーナーの途中から突然くるオーバーステアの対策をしてもらいました。

 午後の予選、Q1はまずまずまとめて4番手で通過。最初の赤旗の後は、コースに出るタイミングだけ注意していました。路面温度も高くなっていましたが、ウオームアップを2周してアタックラップという走り方でした。
 続くQ2はアタックラップでいきなりフロントタイヤがロックして、少しフラットスポットができてしまい思ったようなタイムが出せず9番手になってしまい、なんとか最後にギリギリもう一回アタックして7番手で滑り込みQ3進出でした。タイヤからの振動が結構あったんですが、とにかく絶対決めないといけない状況だったので、渾身のアタックで決められてよかったです。タイヤの内圧が、フロントのロックの原因だったので、Q3に向けて内圧を再調整して隊列の4台目でコースインしました。
 ここでもQ2同様にウオームアップ2周をしながら前のクルマとの車間をかなり開けてアタックラップに入ったんですが、前のクルマはもう1周さらにウオームアップをしていて、そのクルマにひっかかってコンマ1~2秒はロスしてしまい、結局7番手で予選を終える残念な予選となってしまいました。タイム的には予選4番手から僕まで4台が1分5秒3、3番手が1分5秒2。トラフィックさえなければトップ4には入れていたと思います。

 ともかく7番手からのスタートなので、普通に戦っても勝てないから、どんな選択肢をつくることができるのか、土曜日の夜はかなり遅くまでエンジニアと話しあいました。
 その結果が日曜日決勝レースの早めのピットインでした。とにかく僕もチームも今は勝利しか目指していないので、これは「勝つため」の選択だったんです。過去の実績からタイヤ的には問題ないし、セーフティーカーが出る可能性が高いということで、早めに給油を終えておけば、セーフティーカーでみんなピットインした時に、僕たちはステイアウトしてトップに立つ、という算段でした。
 それに隊列のなかで走るよりも、単独で走ることで自分のラップタイムを刻めるので、うまく行けばいくつかポジションをアップできる、という狙いもありました。
 レースのスタート自体はまずまずで、ポジションをひとつあげて6番手。4周目の1コーナーでオリベリラ選手が攻めてきたんですが、こちらは燃料を大切にしないといけないので、必要以上のディフェンスはせず7番手にポジションを戻して序盤を走行。そして予定どおり10周目に給油。そこからのペースは満タンの状態としては悪くなかったと思います。 クルマも単独で速く走ることを想定したセッティングをしていたし、タイヤの内圧も狙い通りだったと思います。
 そこから周回を続けて、前とのギャップもいい感じで詰まっていった27周目、5番手の石浦選手に届くかなというところで彼が給油。石浦選手がピットアウトしてきたときに、インをさせるかなと思ったんですが、すでにフロントタイヤが厳しい状態だったので、レースがまだ半分以上残っていることを考えると無理することもできず攻め切れませんでした。
 その後はとにかくタイヤを労りながら走っていたんですが、最終コーナーでリヤが滑り始めると結構怖かったです。
 結局最終ラップの最終コーナーでは、ガス欠の症状が出て、エンジンからバズバス音が聞こえていましたがなんとか坂を登り切って6位でチェッカーを受けることができました。
 レース後のリヤタイヤは構造が見えるくらい摩耗していて、うまく言えば燃料もタイヤも使い切ったということなんでしょう。今回は予選結果がわるかったのでまともな勝負ができなかった。そのなかでも決勝レースでチーム全員で勝利を目指すトライできたことはすごくポジティブです。

 次の鈴鹿はいよいよ最終戦です。今回学んだことをしっかり活かし、予選とスタートに集中して勝ちにいきます。ひきつづき応援よろしくお願いいたします。

  • チームエンジニアと話す小林可夢偉
  • ピット作業中のNo.8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans
  • 決勝レースを走行中のNo.8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans
  • 決勝レースを走行中のNo.8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans
  • 山田 健二エンジニアと話す小林可夢偉