ナンバー3

オーストラリアの洗礼

2014.09.21 - 09.27 From Parth to Port Headland

パースからはチーム2へとバトンが渡された。チーム1からの引き継ぎを熱心に聞き、ドライバーの感情が次第に高まる。チーム2のリーダー・松原さんは、安全を第一に優先することを念頭に置き、チーム内に適度な緊張感をもたらしている。パースを出発後、すぐに待ち構えていたのは、暴風雨だった。轍に溜まる水があり、さらにまるで電車のような長さからそう例えられるロードトレインともすれ違う。初日からオーストラリア特有の道路・気象環境を身を持って体験することになった。ステアリングが軽いランクル70では、強い横風の影響をもろに受け、常にハンドルを修正しながら走る必要がある。ドライバー達は細心の注意を払いながら進む。

さらなる進化を要求する一本道

カナーボンからカラサまでの約650kmのロングドライブは、真っ直ぐ続く一本道だった。ドライブの最中、気づかぬうちに南回帰線を超えていた。この先、日差しも環境もさらに厳しくなっていく。真っ直ぐ続く道の中で、ドライバー達は、ランクルがさらに進化するためにはどうすればいいのか?と考えを巡らせる。風が強く、雨が轍に溜まっていても、真っ直ぐ走ることはランクルのみならず、クルマにとって必須の条件。そして、ドライビングの快適性をさらに高めるための正しい進化とは何だろうか? クルマの性能として残す部分、捨てる部分を正確に見極め、判断する必要がある。ドライバーチェンジの度にアスファルトに手を当てて道路状況を確認し、クルマの状態を注意深く観察していた。

オフロードコースでの完全なるスタック

走行ルートの付近で山火事が発生したためルートが変更された。春から夏にかけて、ウェスタンオーストラリアでは乾燥の為に山火事は珍しいことではないらしい。当初のスケジュールを変更し、ポートヘッドランドでの滞在を延長し、地元のオフロードコースへと足を運んだ。プロの評価ドライバーたちに続き、帯同している現地クルーもヒルクライムに挑戦したが、高機能・高性能を誇るランクル200でさえ何台かはスタックするほど難易度が高い。柔らかい砂の傾斜に起きるスタックは、前進が困難になるだけではない。無理に脱出しようとしてアクセルを踏み続けると、路面が掘れバックすることも難しくなる。つまりは、その場からまったく動けなくなってしまうことを意味している。照りつける太陽が、ジリジリと肌を焼く。日本にはほとんど存在しない過酷な環境だからこそ、クルマに性能が求められるだけでなく、ドライバーの運転技術にも高度なものが要求される。なぜオーストラリアの大地を走るのかと言えば、自然と対峙せざるを得ないから。自然は容赦がない。

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