ニュルブルクリンクへの挑戦 2011
VLN5レポート

2014.03.18 ニュルブルクリンクへの挑戦2011

2週間後に「ニュルブルクリンク24時間レース」を控えた6月11日、最後の前哨戦である「VLN5(4時間耐久レース)」が開催された。GAZOO RacingのLFAは総合5位/クラス優勝で最終実戦テストを好感触と共に締めくくった。

「ニュル24時間」と同様に長い歴史と人気を誇る「ル・マン24時間」出場のため、アウディ、BMW等のメーカー系チームが不参加でやや台数は少ないが、それでもエントリー総数は155台、パドックは熱気に包まれた。レースを通じた“クルマの味づくり”をテーマに5年目の挑戦を行っているGAZOO Racingは、本戦へ向けたマシンの調整と各部のチェック、メカニックのトレーニングを目的として2台のLFAで臨んだ。ドライバーはLFA#111が飯田章選手、大嶋和也選手、石浦宏明選手、LFA#119は飯田章選手、石浦宏明選手で登録。本戦の参加資格取得のために完走が必須の石浦選手、監督を兼任する飯田選手はダブルエントリーした。

午前8時30分、雨上がりのコースで予選開始、全車がドライ用のスリックタイヤを装着してアタックへ向かった。GAZOO Racingはあえてニュータイヤよりもタイムが出にくい中古タイヤで各ドライバーが走行し、#119が総合9位/クラストップ、#111は総合12位/クラス2位のタイムを記録。同じクラスのアストンマーチンV12ザガートの2台は約20~30秒後方のタイム、最大のライバルと目されるフェラーリ458は「ル・マン24時間」出場のために欠場、LFAは見えない敵との戦いも念頭に入れながら決勝を迎えた。

6月にしては肌寒い15℃の青空の下、12時に4時間のレースが始まった。石浦選手がスタートを担当した#111は安定したペースで10番手にポジションを上げて大嶋選手へ、さらに8番手で飯田選手へ交代。初年度からトヨタ自動車の社員がメカニックを担当し、今年は大半が新人で構成されるGAZOO Racingだが、タイヤ交換、燃料補給等の動きと所要時間に、これまで3度の実戦トレーニングの成果が表れている。ピット作業後も順位を落とすことなくLFAをコースへと送り出していく。総合5番手/クラストップ走行中の残り14分、土砂降りの雨のため赤旗が掲示されレース中断、そのままチェッカーとなった。一方の#119は序盤から本戦へ向けたマシンのセッティングとチェック、ブレーキ、タイヤの交換作業のトレーニングに徹して頻繁にピットインを繰り返しながらレースを終えた。 4戦に渡る「VLNシリーズ」での実戦テストを通じて、“人を鍛え、クルマを鍛える”ことを目的としているGAZOO Racing。その情熱と進化はいよいよ2週間後の「ニュル24時間」本戦でベールを脱ぐ。

また、「VLN3」に続いて実戦での開発を主眼にGAZOO Racingからエントリーしたハイブリッドカー・LEXUS CTは「VLN3」と同様に高木実選手、佐藤久実選手、影山正彦選手がドライブ。予選145位からハイブリッドカーならではの低燃費を活かした追い上げで39ポジションアップの総合106位/クラス2位で完走を果たし、新時代のクルマづくり、モータースポーツの未来へ向けた貴重なデータを取得することが出来た。

<レース後のコメント>

平田チーフメカニックのコメント(LFA#111)
「これまでの実戦テストを通じて新人メカニックもかなり成長し自信をつけてきました。燃費の改善と共にピット作業の早さも向上し、昨年より戦略の幅も広がります。今年のテーマであるチームワークという面ではかなり満足しています。仮に何かが起きても全員でひとつになって対処ができる、そんな気持ちのあるチームです。」
関谷チーフメカニックのコメント(LFA#119)
「今回はブレーキ、タイヤ交換のトレーニングや燃費のチェック等に徹しましたが、新人メカニックの成長ぶりを実感しています。混雑したピットレーン、焼ける様に熱したブレーキ、レースでしか鍛えられないことが沢山あります。ドライバーに安心してドライブしてもらえるように頑張ろうとチームは一丸となっています。」
影山選手のコメント
「前回のレース後、短期間でスタッフがクルマを進化させてくれた結果、コーナリング性能、平均速度、燃費の向上等を達成できました。ラップタイムでは約7秒もの短縮で、燃費の良さと合わせて武器となりました。全く新しい挑戦でしたが、未来のモータースポーツへ向けての意義と大きな可能性を感じています。」
大嶋選手のコメント
「クラス優勝で僕自身のニュル無敗記録も伸び、げんのいいレースとなりました。今回は24時間レースへ向けた最後のテストが目的で2台のLFAでプログラムを変えて取り組みましたが、それぞれ多くのデータを取ることがきましたし、チーム全体のトレーニングになったと感じています。本戦が非常に楽しみです。」
飯田監督のコメント
「メカニックのトレーニングに関しては、4回目と慣れてきたことでミスを誘発する恐れもあるため、気を引き締めるようにムードメイクを行いました。全員がその意味をわかってくれたことが成果です。クルマの方はかなり仕上げることが出来たと思います。」

総合順位

1位 No.24 PHOENIX RACING Audi R8 LMS (SP9クラス)
2位 No.30 MSC Adenau e.V. im ADAC Porsche 911 GT3 R (SP9クラス)
3位 No.80 Manthey Racing Porsche 911 GT3 Cup (CUP2クラス)
4位 No.91 Verva Racing Team Porsche 911 GT3 Cup (CUP2クラス)
5位 No.111 GAZOO Racing Lexus LFA (SP8クラス)
6位 No.84 Schnabl Engineering GmbH & Co. KG Porsche 911 GT3 Cup (CUP2aクラス)
7位 No.108 Porsche 911 GT3 Cup (CUP2クラス)
8位 No.76 Rheydter Club fur Motorsport Porsche 911 GT3 Cup (CUP2クラス)
9位 No.301 LMS Engineering VW Scirocco (SP3Tクラス)
10位 No.90 Porsche 911 GT3 Cup (CUP2クラス)

出走台数:150台

SP8クラス(自然吸気エンジン:4000cc~6250cc)順位

1位 GAZOO Racing Lexus LFA
2位 Aston Martin Test Centre Aston Martin V 12 Zagato (No.114)
3位 Aston Martin Test Centre Aston Martin V 12 Zagato (No.113)

SP4クラス(自然吸気エンジン:2000cc~2500cc)順位

1位 Bergischer Motor-Club e.V. BMW 325i
2位 GAZOO Racing Lexus CT