
2008年、ニュル24時間耐久レースSP8クラスに「LF-A」をエントリー。このモデルが2005/2007年のデトロイトショーで発表されたコンセプトカー「LF-A」であることは周知の事実であった。このLF-Aによるニュル24時間への参戦目的は、プロモーションでも話題作りでもなく純粋な開発テストであった。
他のモデルは本格的なレースマシンに改造されているが、LF-Aはレギュレーションに合わせた安全装備、スリックタイヤに合わせたサスペンションと補強を施した程度のモディファイだった。レース用の軽量化は一切行なわれていない上に、データ取り用の計測機を満載(プラス200kg)、レースを戦うマシンとしては重量級だった。
予選は総合28位(SP8クラス5位)と健闘したものの、決勝はオイルクーラーからのオイル漏れやリアハブボルトの破損などのトラブルにより150台中121位という結果に終わったが、テストコースでは解らない数多くの知見が生まれた。ちなみに、スリックタイヤに合わせて補強されたボディは、操安フィーリングの面でも非常に効果は高く、後の生産モデルにフィードバックされた。



予選は15号車が総合23位(SP8クラス2位)、14号車が総合24位(SP8クラス3位)を獲得するも、決勝は15号車が駆動系のトラブルの後にエンジンがストップしリタイヤ、14号車はレース後半に電装系トラブルにより長時間のピットストップとなり、総合87位(クラス4位)で幕を閉じた。戦闘力は確実にアップしていたものの、トラブルや煮詰めの甘さ、マシンの作り込みにもまだまだ改善の余地があることをニュルは教えてくれた。悔しさは残ったが、クルマを進化させる上では大きな収穫だった。


決勝は、50号車は序盤ブレーキトラブルを抱え順位を大きく後退させたものの、メカニックの頑張りとドライバーの追い上げで、深夜の時間帯にはクラス2位までアップ。翌朝にはクラストップへ躍り出た。その一方で51号車は他車との接触によるバンパー交換に加えて、レース開始8時間後にオイルに異物が混入するというトラブルに見舞われた。通常ならばここでリタイヤを決断するが、「マシンをゴールに送り届けたい…」というチームの想いから、エンジン交換を決行し夜を徹しての作業により復活した。結果は50号車が総合18位でSP8クラス優勝、51号車は規定周回数に及ばず完走扱いにならなかった。成績だけ見れば“明暗”を分けた2台であったが、この経験は「クルマの進化」と「人の進化」にも大きく影響したであろう。
