'11 - '13

LFA, an evolved vehicle through Nürburgring.
- LFAを鍛えたのはニュルブルクリンクだった -

2015.03.30 ニュルブルクリンクへの挑戦2015

2011年 fourth history 初のブルーフラッシュ獲得、決勝はトラブルに泣く

Nürburgring2011

2011年、LFAは再びニュル24時間に挑んだ。すでに昨年SP8クラスの優勝を獲得している上に市販モデルの生産もスタートしている。では、なぜ参戦を行なうのか?それは“いいクルマ作り”にゴールはないからである。
昨年のモデルから主に空力性能のバージョンアップが施されたマシンは、限定500台中50台に設定された「LFAニュルブルクリンクパッケージ」に採用されるアイテムが多数装着されるなど、開発テストというスタンスはこれまでと変わらないが、これまでよりも本格的な挑戦をスタートさせた年と言ってもいいだろう。ちなみに、モリゾウこと豊田章男はチームに対して「総合トップ10入りを目指してください」と語った。それは世界有数の猛者達と対等に戦うことを意味していた。

Nürburgring2011 今年も2カーエントリーとなったが、予選は87号車が総合26位(SP8クラス3位)、88号車は総合23位(SP8クラス2位)を獲得。予選上位者のみウィンドウに装着される「ブルーフラッシュ(高輝度LEDライト)」を初めて手に入れた。それはLFAの“速さ”がニュルで認められた瞬間でもあった。

Nürburgring2011 しかし、そう簡単にはニュルは微笑んではくれない。87号車はレース序盤のエンジントラブルによりエンジン交換、88号車はレース中盤に後続車に追突され後部を破損により大きくポジションダウン。しかし、メカニックの懸命な作業によりコースへ復帰。ちなみに、GAZOO Racingによるニュル24時間の挑戦は、プロジェクト当初からトヨタ社内メンバーで構成されるメカニックを中心に構成されているが、当初は「危なくて見てられない」と言われていたが、他チームのレース集団からお墨付きが出るほどに成長していた。

結果は88号車が総合41位(SP8クラス3位)、87号車は総合134位(SP8クラス8位)と昨年の成績を超えることはできなかった。レースは勝ち負けではないが、マシンのポテンシャルを考えれば…と思う戦いだった。

LEXUS LFA 88号車 総合41位・SP8クラス3位(133周) / LEXUS LFA 87号車 総合134位・SP8クラス8位(83周)

2012年 fifth history より速くより安心に、ノートラブルでクラス優勝

Nürburgring2012

40回記念大会となった2012年のニュル24時間にもLFAは挑戦を行なった。今年の体制は登場したばかりの86が2カーエントリーとなったため、LFAは1台のみの参戦だ。しかし、昨年の雪辱を果たすために、マシンは更なるバージョンアップが施された。より楽に安心して速く走ることができるように、軽量化や空力特性の見直し、路面の変化に柔軟に対応できるしなやかな足回りなどが盛り込まれた。

Nürburgring2012

ちなみに、ニュル24時間の前に行なわれた壮行会で豊田章男は「自己最多周回数でゴールしてください」と言う課題をチームに与えている。実は2008年から2011年のレースを振り返ると、必ずどこかでトラブルに見舞われている。つまり、今年の目標は「速いペースでトラブルを出さない」ことであった。 予選は昨年のタイムを上回るタイムを獲得し、40周年記念として特別に行なわれた「トップ40予選」へ出場。レース専用のFIA-GT3マシンが犇めく中、あくまでも量産車ベースにこだわるLFAは総合32位(SP8クラス1位)のグリッドを獲得した。

Nürburgring2012 決勝は総合20位前後を安定したペースで走行。クラストップで2位以下を大きく引き離す。レース途中で他車との接触で破損していたバンパー交換も行なったが、メカニックの迅速な作業によりクラストップのままコースへ復帰。また、通常のルーティーン作業も、給油完了にあわせてブレーキ交換を完了させてしまうなど、確実かつ素早い作業を行なうメカニックのレベルも年々アップしている。

LFAはほぼノートラブルで24時間を走り切り、総合15位、SP8クラス優勝を獲得した。周回数は一昨年の142周を上回る147周を走破。豊田が与えられた課題もクリアした。しかし、チームメンバーは「まだまだLFAを進化させる余地がある」と、来年に向けた挑戦もスタートしていた。

LEXUS LFA 83号車 総合15位・SP8クラス優勝(147周)

2013年 sixth history パフォーマンスは向上するも天候に泣かされた24時間

Nürburgring2013

昨年の「自己最多周回数でクラス優勝」を獲得したLFAの次なる課題は、量産車ベースのレーシングカーながらも、クラス上のFIA-GT3マシンに対抗できるポテンシャルをプラスさせることだった。外観にはシルバーメタリックがプラスされたカラーリングに加え、昨年モデルよりもワイド化されたボディに変更。また、昨年モデルよりも110kgも軽量化が行なわれ、コーナリングスピードに加えてアベレージスピードの向上も期待された。また、ドライバーラインナップには4年ぶりのニュル24時間参戦となるモリゾウ選手の名前もあった。

Nürburgring2013 予選はウエットの予選1回目は大事を取って無理をせず、予選2回目に照準を合わせ、トップ40予選の出場権を獲得、総合30位(SP8クラス1位)からのスタートとなった。曇り空の中スタートした決勝では、日が暮れるにつれて雨脚が強まりコース上ではコースアウトやクラッシュが続出。レース続行は危険と判断した主催者は赤旗を提示しレース中断を決定。約9時間の中断を経て再スタート後、LFAはクラス3位から2位へと順位を上げ、総合37位(SPクラス2位)でゴールを迎えた。 大幅な軽量化によりスピートは向上したものの、それを100%活かすことのできなかったLFA。その課題解決は2014年に持ちこされた。

LEXUS LFA 79号車 総合36位・SP8クラス2位(79周)