レーシングドライバー木下隆之のクルマ連載コラム クルマ・スキ・トモニ

人とクルマの、ともすれば手の平から溢れてしまいそうな素敵な思いを、丁寧にすくい取りながら綴っていくつもりです。人とクルマは、いつまでも素敵な関係でありたい。そんなGAZOOが抱く熱く溢れる思いが伝わりますように…。
レーシングドライバー 木下隆之氏


17Lap 東京オートサロンへ集合だ!


昨年の東京オートサロンの会場の様子です。たくさんのモータースポーツファンの皆さんにご来場いただきました。

熾烈な戦いを終えたモータースポーツ界が、ようやく静かな休息を迎えようという12月頃、自動車メーカー主催の“ファン感謝祭”が催される。一年の集大成とばかりに活躍を振り返り、応援してくれたファンへの、文字どおり「感謝」の日なのだ。

フォーミュラ、スーパーGTなどカテゴリに拘らず話題のマシンがずらりと轡(くつわ)を並べる光景は壮観だし、異種格闘技風にカテゴリの異なるマシン同士でバトルが繰り広げられたり、普段目にすることのない様子は新鮮なのだ。ほとんどすべてのワークス系ドライバーが集合しているし、すでにステアリングを置いた往年の名ドライバーも同窓会のように顔を揃え、昔とった杵柄を披露するのも年に一度のこと。プログラム満載の華やかなモータースポーツ祭りと化すのだ。

そんな、ファン感謝祭からメーカーごとの垣根を取っ払い、もっと言えば、モータースポーツとスポーツカーを一斉号令で呼び集めたのが、1月15日~17日まで千葉県・幕張メッセで開催される「東京オートサロン」だ。自動車メーカーだけでなくショップも趣向を凝らすし、モータースポーツを支えるタイヤやパーツなどサプライヤーも出展して花を添える。その中でも、興奮度で圧倒しているのは、出演者が多岐にわたるからなのかもしれない。美しく磨かれたマシンだけでなく、モータースポーツ界の様々な人達がこぞって集結してくるのだ。

「今年はね、三日間連日でトークショー出演なんだよ!」

人気ドライバーがそう言って嬉しそうに微笑む。

「オレなんか、じゃんけん大会掛け持ちです!」

まんざら捨てたものでもなさそうに、右手首をさする。

出演者達が会場を急ぎ足で駆け回り、次々とイベントに対応していく姿を間近で見ることも可能だ。人気ドライバーの汗や息づかいも間近で感じられ、その一体感はサーキットでのそれとは異質。ファンと出演者の緊密感が魅力的なのである。

実は我々モータースポーツ人にとって「東京オートサロン」は、新年最初の仕事始めといった意味を持つ。ほとんどすべてのモータースポーツ関係者が全国各地から訪れるという理由もあって、出演依頼を受けていないドライバーさえも、新年の挨拶代わりに足を運ぶのだ。全カテゴリのプロドライバーを箱に放り込んだらこうなりました、といった光景だ。

正直にいえば、この場にいることがプロドライバーの一つの証のような雰囲気がある。ここに居合わせなければ契約ドライバー選考に漏れそうといった強迫観念を抱くのも事実。ストーブリーグ真っ盛りという時期でもあり、会場の片隅でコソコソと、今季の契約を巡って顔を突き合わせている光景も珍しくはない。つまり、プロと名のつく、あるいはアマチュアも含めたほとんどのモータースポーツ関係者がギラギラとパワーを漲らせながら集うのである。活気の源はそこにもある。

そして、東京オートサロンの本来の顔は、チューニングカーの祭典である。広い会場内に、この晴れ舞台のためにデコレートされたクルマ達がところ狭しと眩しいばかりの個性を発散させており、来場者を待ち受ける。

満艦飾よろしくカラフル系から、宝石商もたじろぐばかりの成金系、硬派一点張りの凄み系、タイム至上主義の正統派まで、会場は満漢全席のごとき様相を呈する。BGMの派手なビートが胃袋に響けば、会場は興奮の坩堝(るつぼ)と化すのだ。

最近ではさらにマシンの完成度も仕様も充実し始めている。もはやチューニングカーの域を超えた造り込みがなされたコンセプトカーまでもステージを飾ることも珍しくはない。

今年、GAZOO Racingにおいても、広大なスペースを確保し、数々のマシンが展示され、連日休みなく、ステージイベントを開催するという。

不肖・このボクも三日間に渡って出演依頼を頂戴しており、皆さんとお目にかかれることだと思う。嬉しい限りだ。今からその日を楽しみにしているのである。(といってもこのコラムがアップされるのは1月15日。つまり今この瞬間にどこかのステージで、ヘラヘラとだらしない顔を晒しているというわけだ・・・)

すでにGAZOO Racingが公表している出展車両は三台。

「GAZOO Racing LEXUS LF-A」は2009年にニュルブルクリンク24時間耐久レースに出場した♯14号車そのもの。激戦の痕跡をそのまま残す世界も希少な一台である。

「PETRONAS TOM'S SC430」はGAZOO RacingがサポートするスーパーGT500マシン。2008年型を展示予定だ。

「TLCランドクルーザー200」は、世界一過激なラリーとして名高いダカールラリー参戦マシンと同仕様モデル。マニアにはたまらない一台である。


富士スピードウェイでの撮影風景です。カメラクレーンを積んだ撮影車が走行シーンを捕らえます。ほとんど映画の収録のようです。

ただし、それだけには留まらないのがGAZOO Racingの熱いところ。「GAZOO Racing tuned by MN」のコンセプトカーが1月15日の公開前のステージに控えている。さらには「あんなコンセプトカー」や「こんなコンセプトカー」もアンベール(お披露目)される予定なのだ。

実はボクはすでに、「あんなの」や「こんなの」の開発にも手を染めているしドライブもすませている。撮影にも立ち会っているのだ。

ただし、発表のその瞬間まで箝口令が敷かれている。(今日は1月10日、自宅でこのコラムを書いている。)

「あ~言いたい!」

口の軽いボクは身悶えするのである。

「あ~叫んでしまいたい」


開発の仕上げの段階です。発表会2ヶ月ほど前のこと。でもまだまだ納得仕様ではないようで、妥協するものは誰もおりませんでした。

フラッシュライトを浴びた瞬間の強烈なインパクトが想像できるのだ。

「あ~、うっかり喋ってしまいそう・・・!」

これほどまで本格的に開発されたモデルを東京オートサロンで発表するのも異例のことだと思う。

「㊙年も開発期間を費やして・・・」

あ~危ない、秘密が喉元まで・・・。

「あの㊙ュ㊙サーキットで徹底的にテストもして・・・」

あ~ヤバい、もうバレそう・・・。

「しかもエンジンは㊙㊙で・・・」

あ~、検閲官に首根っこ掴まれる・・・。

「ねっ、もっと教えて♡♡」

なんて耳元で囁かれたら、簡単に口が滑ってしまいそうである。


新開発のGAZOOステアリングが、コクピット正面に据え付けられています。完成度高し!

というわけで、1月15日、つまり本日発表が行われる。

3次元仮想都市「トヨタメタポリス」でもバーチャル発表会が行われるが、リアルな実車をその目で確認したいなら、幕張メッセのGAZOO Racingブースへ集合だ。

※とても黙っていられないので、さわりの写真を公開しちゃいます!(GAZOO検閲官にはくれぐれも内密に・・・。でも、このコラムがアップされるのは1月15日なので、まぁ、いいか・・・。)

キノシタの近況

というわけで木下の新年仕事始めは「東京オートサロン」出演となります。ぜひ、ステージに遊びにきてください。見掛けたら、気軽に声をかけてくださいね。人相は悪いですが・・・。
www.cardome.com/keys/

【編集部より】

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