ローラースケートに熱中した時期を誰もが持つ。滑って、歩けるスニーカーも流行した。ローラーシューズという。小さなタイヤが内蔵されたそれを履いて器用に滑走する姿に、ちょっとヒヤヒヤした人も少なくないだろう。
実はぼく、自宅から事務所までスケートボードで通勤していたことがある。わずか15分ほどの距離だったし、起伏もそれほどなかった。それでいて一方通行が複雑に入り組んでいたから、自動車での移動よりも都合が良かったのだ。自分の足の裏に車輪がついていたらさぞかし快適だろう、という希望は誰もが一度は抱いたことだと思う。
最近、虎視眈々と購入計画をあたためているのが、『セグウェイ』である。
「立ち乗り型」と「座り乗り型」がある。前後左右のどちらかに体重を移すだけで、自由自在に移動できる。動力は電気モーターで、フル充電で40kmほど移動可能。手塚治虫の近未来アニメに登場してきそうなそれは、まさに夢にみた空間移動システムである。常にタイヤ付きのモビリティで移動したいという願望が、レーシングドライバーであるぼくにはあるようで、今すぐにでも欲しくてしかたがないのである。
実際に、空港や公園の警備員にも活用されているというし、森林公園のようなハイキング施設で人気なのだそうだ。一部のゴルフ場では、1人乗りカートとしてレンタル可能しているという。
ゴルフは自分の足で歩くから健康にいいのに…という反論はともかく、18ホールを回るのに10kmほどは歩くわけで(ぼくの場合は…)、セグウェイの力を借りれば楽なことこの上ない。特に、左右のOBゾーンに華麗に打ちわける技の持ち主だから、とても重宝しそうなのである。
ただしこれ、93万5000円もする。しかも、日本での公道走行が許可されてない。欧米ではすでに一般的なモビリティとして利用されているというのに、国土が狭い日本での許可は慎重に…、というのが国土交通省の見解だ。
実はこれまで、友人が所有しているセグウェイを何度も試乗しているのだが、簡単そうに見えて、操縦にはコツが必要だ。体重移動がすべてなのだが、あまりにセンサーが過敏すぎるから、ちょっと膝をカクカクさせただけで反応する。
自動車雑誌の記事風にいえば「ホイールベースが0だからヨーゲインが高く、旋回特性が驚くほどシャープなのだ」となる。角をヒョイッと勢い良く曲がろうとすると、遠心力で投げ飛ばされそうになるほどだ。
それでいて、けっこうスピードがでる。最高速度は20km/h。全開で駆け回ると、前髪がオールバックになるほどだ。ちなみに、ぼく、過去にセグウェイで筑波サーキットアタックをさせられたことがある。(自動車専門誌の「カートップ」で、そんなアタックをさせられたのだ…!)その時記録したタイムは、6分20秒872でした。日産GT-Rが1分01秒8だから、セグウェイが1周するうちに、5回もラップされることになる。といっても、けっこう速い?免許制度が必要なほど危険ではないものの、簡単な練習をしてから乗る必要がある。というほどだから、解禁に慎重なのだ。
ただし、朗報もある。構造改革特区制度(あるエリアの規制をゆるめて様子を見ること…)を利用して、茨城県つくば市が実証実験を行うという。内閣官房地域活性化統合事務局(事業仕分け対象になりそうな…)が音頭とりで、2010の1月から開始するという。イマサラカヨ…という気もするけれど、防犯パトロール用だったり通勤用としてモニターし、安全や利便性などを検証して導入を目指すという。
残念なのは、日本の自動車メーカーが似たモビリティシステムを開発しているのに、実験には参加しないことだ。トヨタは東京モーターショーで「Winglet」を発表した。派生モデルも豊富で、「i-Ling」や「i-REAL」、「MOBIRO」もお披露目している。ホンダも携帯可能サイズの「U3-Xを発表した。夢の実現がいのそこに迫っていることを予感させたのだ。その2大メーカーの実験不参加は寂しいかぎりだが、まあ、検証結果を見守ろうと思う。
クルマの魅力のひとつは、身体拡張機能にあるという。クルマという道具を使えば、100mをウサイン・ボルトよりも速く走れるわけだし、2時間19分で高橋Qちゃんよりも遠くに移動できるのだ。まるで空飛ぶじゅうたんのように、移動できるセグウェイも同様なのだ。
そのうち、セグウェイでニュルアタックさせられたりして…。ニュルは1周20kmだから、フル充電で十分に走りきれる計算だ。成瀬さん、セッティングして!
皆様の応援のかいあって、激戦のSP8クラスで優勝することができました。
最大の功労は、やはりメカニックですね。このレースのために彼らがニュルに滞在したのは…、のべ2ヶ月ほどになるんですから…。気が早いけれど、来年もよろしく!
www.cardome.com/keys/
【編集部より】
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