レーシングドライバー木下隆之のクルマ連載コラム ~木下アニキの俺に聞け!~クルマ・スキ・トモニ

人とクルマの、ともすれば手の平から溢れてしまいそうな素敵な思いを、丁寧にすくい取りながら綴っていくつもりです。人とクルマは、いつまでも素敵な関係でありたい。そんなGAZOOが抱く熱く溢れる思いが伝わりますように…。
レーシングドライバー 木下隆之氏


90LAP 現代版カラクリ屋敷        (2013.2.12)

国際救助隊に大興奮!

かつて子供だったはずの中高年の御仁には、郷愁を誘う話になろうかと…。というより、もはや世代を超えた名作人形劇だから、老若男女がご存知だろう。
「サンダーバード」である。

放送開始は1966年。それは、当時最先端の特撮を多用したイギリス人形劇テレビ番組だ。世界各地で発生した事故や災害を、国際救助隊というハイテク武装した秘密組織が救うという設定。まるでその後の技術進化を予想していたかのような完成度であり、だから、舞台設定やハイテクマシンの数々には旧さを感じない。

ハワイなのかグアムなのかわからないけれど、つまりそんな南国情緒あふれるとある孤島に秘密組織がある。勇猛果敢なスーパーエリート達は普段、のんびりとセレブな生活を過ごしているのだが、一旦事故や災害が起こるやいなや、スクランブル発進で世界各地に救助に向かうのである。

その孤島はリゾート感満点なのだが、実はその地下はハイテクマシンの格納である。だが、世界の誰もそれを知らない。深海9100メートルまで潜れるサンダーバード4号、大気圏を超えて活動できるサンダーバード3号などなど、超絶ハイテクマシンが隠されていることは隠密とされているのである。

キノシタが特に痺れたのは、そのとある孤島から様々なハイテクマシンが救助に向かうその際の、登場の仕方である。巨大な地下格納庫は、さながらNASAの格納庫か有事の指令本部のような趣だ。そこから次々と、ハイテクマシンが現場に向かっていく。

ピタゴラスイッチのようでもありましたね

発進の流れを絵コンテ風に説明するとこうなる。

リビングやプールでくつろぐ戦闘パイロット。
出動命令を受けるやいなや、リビングの額縁を背にすっと立つ。
するとその額縁はカラクリ屋敷のごとく反転し、パイロットを呑み込む。
スロープはベルトコンベアになり、折れたり曲がったりしながら地下格納庫に進む。
そこには巨大なハイテクマシンが待機している。
ハッチが自動でオープン。
コクピットに滑り込むパイロット。
ベルトコンベアは、コの字型に折れ曲がり、運転席になる。

発進がまた華やかである。

巨大な岩肌がめくれ上がる。
庭の広大なプールがプールごとスライドする。
マシンが地上に姿を現す。空母の甲板に移動する艦載機のようだ。
ヤシの木が次々と自動で倒れ、滑走路が出来上がる。
後方にはジェット噴射のためのフェンスが立ち上がり、ハイテクマシンが飛び立っていくのだ。

そのカラクリ屋敷状態に感動したものだ。それがこのドラマ最大のハイライトだったと思う。

呑み込むのはハイテクのマシンではありませんけど…

そんな前振りにしては地味な話題なのだが、最近キノシタが興味津々なのは、最新立体駐車場である。デパートやビルの地下にあるそれは、最近ハイテク化が激しい。クルマを載せたパレットを、ゴンドラのごとくビルに収納していくタワーパーキングは珍しくはないが、最近はコンピューター制御であり、動きもハデハデしい。管理のお父さんがボタンを押すとそれが戻ってくる…というローテクではない。ブラウン管にへばりついて興奮したサンダーバードとイメージを重ね合わせながら、思わず見とれてしまうのである。

クルマは、蛇腹を敷いたような金属のプレートの上にまず停まる。 乗員が降りる。
壁かと思っていた扉が開く。
蛇腹が横スライドし、壁に吸い込まれていく。
扉が閉まる。

タワーパーキングでは、パレットに乗り入れるのは難しい。タイヤのサイドウォールを擦ることに気遣うことによって、恐る恐る入庫する。だが、このシステムならば、無造作に止めるだけでセンサーが姿勢の乱れを感知、左右どちらかに斜めなのであれば、後輪、もしくは前輪のスライド量を違えて整えてくれるのだ。斜め停車もOK。
「これまでの立体駐車場には、待ち時間が長いという問題がありました。それは、乗り入れが慎重にならざるを得なかったからです」

最新式立体駐車場の開発担当者はこう言う。
「でもこれなら、クルマの運転に慣れない人でも、スムースに停められます。斜めで停めてもいいのですから…」

  • 1.床の蛇腹がスライドします。前後の速度を変えることで、姿勢を整えます。だから斜め止めも可能なのだ。
    1.床の蛇腹がスライドします。前後の速度を変えることで、姿勢を整えます。だから斜め止めも可能なのだ。
  • 2.安全が確認されると、驚くほど早い速度でスライドします。ジュワッと呑み込まれるようですね。
    2.安全が確認されると、驚くほど早い速度でスライドします。ジュワッと呑み込まれるようですね。
  • 3.この段階ですでに、クルマのサイズは確認済み。ここからどこかの効率的なスペースに誘導されるわけです。
    3.この段階ですでに、クルマのサイズは確認済み。ここからどこかの効率的なスペースに誘導されるわけです。
  • 4.一気に閉まる。
    4.一気に閉まる。

  • 5.ここまであっという間!
    5.ここまであっという間!

効率を追求した結果なのです

スペース効率にも貢献しているという。
「立体駐車場は、都内や、都内でないにしても地方都市の繁華街で有効ですよね。地価の高いところで活用されています。ですから、狭いスペースにたくさん収納したいのです」

そのための策が、クルマのサイズごとに仕分けて収納することだという。
「センサーが、クルマのサイズを測ります。長さと幅と、そして高さを。どの空間に収納すれば,たくさんのクルマを納めることができるかを計算するのです」。

これまでのタワーパーキングでは、大型車も小型車も、もちろん背の高いSUVも、同じパレットに積み込んで順番に並べていくという方法だった。だからどこかに空間的なロスを生む。最大のサイズを前提にスペースが割り当てられているから、もしそこに小型モデルが加わっても、その前後左右上下に無駄な空間が残されるというわけだ。

だが最新式ならば、「大型、大型、大型」もしくは「大型、小型、小型」と続いた場合には、もうひとつ大型車両や中型車両を加えることも可能。3台しか納められなかった空間にもう1台を加えることが可能になったのだ。

そもそも、ランダムにクルマの出し入れが可能になった。

これまでは、たとえば50台の収納可能なタワーパーキングに25番目の奥に収納したお客様の車両を出庫しようとする。その際、25台を回転させなければならなかった。

だが最新式は、クロゼットの引き出しを探るように、それぞれをピンポイントで誘導可能なのだ。1番目の次が25番目であっても、短時間で誘導可能なのだ。

そもそも、駐車場スペースにやってくる段階ですでに、こっそりとサイズをチェックしているという。スペース効率やパレットの待機状況をあらかじめ判断し、お客様に最適なエリアを誘導する細工もあるという。数機のパレットが併設されている場合の細工である。混雑が予想される巨大デパートなどで重宝されそうだ。

「今後は、クルマの形状をもっと詳細にセンサーする必要があるでしょうね。たとえばボンネットの低いスポーツカーならば、ボンネットの上の空間に納めるようにしますよ」

なるほどハイテク恐るべしである。
サンダーバードの複雑な制御はテレビで鑑賞できる。だが、この地下の動きは極秘のままだ。
オレのクルマ、どうなってるんだろう?
想像するだけで、ワクワクする。

木下アニキの俺に聞け 頂いたコメントは、すべて目を通しています!するどい質問もあって、キノシタも大満足です!言っちゃダメなことなど。オフレコで答えちゃいますよ!
ニックネーム「モタスポ大好き女子M」さんからの質問
レース観戦大好き!カート大好き!女子です。
TGRFで木下さんにお会いし、すっかりファンになりましたー。
同じくTGRFでたーーーくさん86を見て、86のかっこよさに惚れました。(もちろんLFAも!)
今、本気で86の購入しようかと悩んでいます。
なぜ悩んでいるかというと、「86のMT車が欲しいな~」と友だちに話していたら、
「結婚が遠のくよ」と…
友だちが言ったこの言葉には、いろんな意味が込められていると思うのですが、20代半ば、その2文字にはつい反応してしまいます(苦笑)
木下さんは、MTのスポーツカーに乗る女子はどう思いますか。
あと、できれば木下さん好みのカスタマイズも教えてください。
(聞けたら買っちゃうかもw)

僕の知り合いにも、「MTを転がす女性」が沢山いるよ。どの女性もとても魅力的です。

ひとりは某大手出版社の敏腕編集者。数々のベストセラーを輩出してます。
 かつてはMGBを転がし、ロードスターにスイッチ。いまではポルシェ・ボクスターのMT。
「兄貴、MT限定でなにがお勧め?」
 そう相談を求められたから、
「アウディは?」
 と言ったら、
「まだATには成り下がりたくはないのよ!」
と叱られました (笑) 。

もうひとりは、某ファッションスタイリスト女性。渡欧して活躍する有名スポーツ選手のスタイリングを担当してます。

愛車は、ディーゼルエンジン搭載の日産キャラバンの4WD。ミニバンではなくバン。ほとんど軍用車に見えるのだが、マーチのオレンジに塗装し直し、衣装満載したまま都内を颯爽と駆け回っています。
「ATでちんたら走ってられないでしょ?」
 とても素敵です。

スポーツカーに乗る女性?凄く凄く、いいんじゃない?
 惚れそうだね。
 ちょい車高ダウン、さりげにバケットがキノシタの好みです!

キノシタの近況

 2013年のニュルブルクリンク24時間には、このマシンで参戦することになりそうだ。
 280km/hジャンプはしなくてすみそうだが、後続からのパトリオットを回避しながらのアタック、また新たなスキルが求められるのだろう。スーパーGT500で戦い、スーパーGT300も経験済み。スーパー耐久総合優勝しながら、ST4クラスも戦ってきた。速度の異なるマシンのバトルスキルをご期待ください。
www.cardome.com/keys/

【編集部より】
木下アニキに聞きたいことを大募集いたします。
本コラムの内容に関することはもちろんですが、クルマ・モータースポーツ・カーライフ…等のクルマ情報全般で木下アニキに聞いてみたいことを大募集いたします。“ジミーブログ”にてみなさまのご意見、ご感想をコメント欄にご自由に書き込みください。