開発者インタビュー

86 MODELLISTAバージョン プロトタイプモデル

MODELLISTA

「Stylish Motion」をテーマに掲げ、先進的で躍動感あふれるカスタマイズアイテムを提案

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開発者
開発者古長 力氏の写真
古長 力氏
株式会社トヨタモデリスタインターナショナル
商品部 デザイングループ 主任
そもそもはF1が好きでクルマに興味を持ち始める。クルマにはスポーツ性能を求めるが、いざという時に人や物を乗せられる実用性も兼ね備えたクルマが好きと話す。今回の86(ハチロク)はそういった点でも気になる1台と話す。

今春登場するクルマの中で大きな注目を集めている1台が「86(ハチロク)」ではないだろうか。トヨタ渾身の小型FRスポーツの86(ハチロク)をモデリスタはどのようなコンセプトで、そしてどのようにカスタマイズしたのか。開発担当者を直撃した。

開発者古長 力氏のインタビュー写真

──今春、大きな注目を集める「86(ハチロク)」のモデリスタバージョンを古長さんが担当されたわけですが、86(ハチロク)のことも気になりますが、まず先に2012年オートサロンのGAZOO Racingブースのキャッチフレーズ「I Love Cars」にちなんで、なぜクルマが好きなのですか、お聞かせ下さい。

古長 力氏(以下古長):

クルマが好きになった理由は子供の時からF1が好きだったからです。最先端の技術を注ぎ込んだマシンが時速300kmで競い合うという男のロマンが、クルマに興味を持つようになったきっかけだったと思います。子供の頃はF1イコールホンダというイメージが強かったため、最初に乗ったクルマはCR-Xで、V-TECエンジンが搭載された2代目でした。

──ちなみに好きなクルマはインテグラTYPE-Rだそうですが、どのような点が良かったのですか。

古長:

CR-Xの後、しばらくクルマに乗っていなかった時期があったのですが、その後、たしか2000年ぐらいのインテグラTYPE-Rを購入したと思います。理由は手頃な価格で本格的なスポーツ走行が楽しめる。しかし、いざとなれば大人4人と荷物も積めるという実用性を兼ね備えているところと、メーカーのDNAが注ぎ込まれているところです。そういった点では今回担当した86(ハチロク)はトヨタのスポーツマインドと実用性がバランスされており、とても楽しみな1台です。
デザインという仕事をしていますが、高性能でありながら実用性もあるクルマが好きですね。今回の86(ハチロク)もそのようなクルマなので非常に興味を魅かれています。

──そんな魅力に満ち溢れた86(ハチロク)を今回担当されたわけですが、発売前のクルマはどのようにして開発が進められるのですか。

古長:

毎回、発売前のクルマをデザインする時には、まずは写真を元にデザインを進めます。そしてあるタイミングで実車を見ますが、実車を見る時にはすでにデザインの作業は終わっている事は多々あります。そのため、まずは写真をしっかりと見てデザインを考え、クルマに装着された時にそのクルマの魅力を最大限に発揮できるようなデザインにしようと心掛けています。
単純にカッコイイだけではなく、クルマのコンセプトやターゲットはもちろんのこと、我々モデリスタのコンセプトに沿っているか、なども考えながら作業を進めていくのです。

──今回、86(ハチロク)のカスタマイズを担当するにあたり、ターゲットと考えたのはどんな世代ですか。また、どんな方に乗って欲しいですか。

古長:

ターゲットは30代から40代の、感度の高い大人の男女としています。スタイリッシュな外観や、実用性に主眼を置いたユーザーで、休日はレジャーを兼ねてスポーツドライブを楽しみ、先進的で洗練されたカスタムスタイルを好む。そんな方に乗って頂きたいと思っています。

──実際に開発を始める時には純正用品やTRDとも同じタイミングで開発がスタートすると思いますが、デザインが似てしまった、ということはないのですか。

古長:

前は純正用品とTRDとデザイン画を確認したら似ていた、なんてこともありました。でも、そうなると直さないといけなくなりますし、時間の無駄になります。そのため、今ではそれぞれの方向性を最初に決めて、それに沿ってデザインを行うようにしています。技術的に似てしまうケースはありますが、方向性を分けているため、似てしまうことはあまりなくなり、お客様のセレクトする幅も広がっていると思います。
今回の86(ハチロク)なら、モデリスタの方向性はスタイリッシュで都会的なスタイルとなります。そのため、主に車両の下まわりにボリュームを持たせつつ、街中をスタイリッシュに駆け抜けるような軽快感を演出したデザインにしています。

開発者古長 力氏のインタビュー写真

──今回の86(ハチロク)ではスーパーブライトクロームの加飾を効果的に使っているようですが、その狙いはどんなところにあるのですか。

古長:

通常、ミニバンなどには大きめの、キラッと光るようなメッキを使い、エレガントな装いを加えていますが、今回はスポーツカーですからよりシャープに、そしてよりスタイリッシュに見せなければいけません。エレガントにはしたくなかったので、少し暗めのブラッククロームをフロントスポイラーに採用して、スポーティーなスタイルを増幅させているのです。デザイン画で思い描いた、明る過ぎず暗過ぎない色合いを出すのに苦労して何度もサンプルを作りながらイメージに近い色に仕上げてきました。それは単に濃淡だけでなく色味にも気を遣いました。特に86(ハチロク)はレッドのボディカラーにも合うブラッククロームの色味にするのに苦労しました。

──ずいぶん細かいところにもこだわってデザインされているのですね。他にこだわった部分はどんなところですか。

古長:

内装では、ブラックとシルバーのインテリアパネルセットを用意しましたが、ブラックは漆黒のピアノブラックと呼ばれるブラックから、赤みを足したブラックを採用し上質感を加えています。また、シルバーはメタルモノグラムを初採用していますが、これはモデリスタのマークをシンボリックにデザインしたもので、質感も良く先進的なものになっていると思います。
外装では高級車に採用されているフィン状のルーフアンテナ(モデリスタ商品名:トップノットアンテナ)をラインナップしました。形状はオリジナルデザインで、もちろんアンテナとしての機能を持ち合わせていますが、よりドレスアップの要素が強いパーツとなります。また、ライト部分にはランプカバーを装着して86(ハチロク)の表情を引き締めるアクセントとして設定しています。
あと、ホイールに関しては、デザインは従来のモデリスタのデザインを継承していますが、新たにブラスメタリックというオリジナルカラーを初設定しています。新しい取り組みとしてブラスメタリックを選びましたが、ブロンズ系のカラーは色味が合わないとレトロな感じになってしまうこともあるので、色味を合せることに神経を遣いました。カラーの評価は太陽光の元で色味は見ることが重要ですから、サンプルを太陽の光の下に置いたり、陽が陰っている時に見てみたりしました。発売前のクルマですから実車に合せて見ることができませんので、難しかったですね。

──そんな古長さんがこだわってデザインしてきた86(ハチロク)のモデリスタバージョン。オートサロンの会場では、どういった点を見て欲しいですか。

古長:

カスタマイズの顔となるのはやはりフロントフェイスですから、斜め前から全体のシルエットをまずは見て欲しいですね。フロントスポイラーのスーパーブライトクローム加飾はもちろんですが、大きな流れとしてフロントからサイド、サイドからリアへと続く勢いのある造形を見ていただきたい。もちろん、ブラスメタリックの18インチアルミホイールのマッチングにも注目して欲しいと思います。
さらに、デザイン的にもそうですが、細かいパーツの仕上がり、品質の良さも見て欲しいと思います。

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