メニュー

舘信秀×星野一義×近藤真彦
スーパーフォーミュラ監督対談 前編(1/3)

シーズンが始まったときには自分の仕事はもう終わってる PETRONAS TEAM TOM'S 舘信秀監督

--まずは、スーパーフォーミュラのチーム運営ってどうなのでしょう。
素人目にはお金が掛かるように見えるのですが?それ以外も大変な事がありそうですね。

近藤真彦(以下、近藤) ボクは、2000年(当時はフォーミュラ・ニッポン)に自らステアリングを握りながら、チームを立ち上げました。

舘 信秀(以下、舘) マッチ、そうなんだ。2000年ね。
結構、長くやっているんだ。

近藤 そうなんです。右も左も分からず、いったい金銭的にいくらかかるのかも分からない状況で始めましたから。
クラッシュするとチームオーナーとしてはお金がかかるし、ドライバーとしては、ひとつでも前に行きたいと。お金のことなんか考えては、レースできないし辛かったですね。

星野一義(以下、星野) 自分は、お金のことは考えないね。金の計算は金子(豊氏、義弟でありチーム運営の要)に任せている。だって、ああ、またお金かかっちゃうなんて思ったらレースできない。その点では未だに自分はドライバーの気持ちだね。
チームの運営って難しくて、サーキットでは、自分が前に出ちゃうと結果が悪い。一歩下がると結果が良い、下がれば、下がるほど結果が良い。それってちょっと寂しいけれど(笑)。

ウチのチームは、2006年からトヨタさんがフォーミュラ・ニッポンにエンジンを供給開始したので、ウチもフォーミュラに参加しようと。
だからおふたりよりも後発なんですが、お金を集めるというオーナーの仕事は、そうですね、12月から3月。シーズンが始まったときには自分の仕事はもう終わってます。サーキットでもチームのスタッフに任せてますからね......。

星野 そう、サーキットでは今やエンジニアがコンピューター使って『データがこうだったからこうしよう』ってセッティング決めるでしょ。自分みたいに"感ピューター人間"にはもう出る幕が無いね。

近藤 ボクもセッティングに関して事細かに言うことはないですね。エンジニアに任せていて、それを把握しているだけです。ただ、ドライバーのメンタル面のケアーはやります。

星野 自分は現役時代に機械(クルマ)と一緒にチャレンジしてきた。それが今、(監督として)ドライバーという生身の人間を扱って闘っているわけですよ。それって本当に難しい。本音としては嫌だね。本当に難しい。その点は舘さんの方が上手いと思う。

いやいや、星野さんが悔しがって、レース中に机を叩くシーンやヘッドセットをぶん投げるのを見たら、ドライバーは『この人のためにがんばるぞ!』と思うだろうね。それだけ本気で自分達と一緒に闘っているというのが伝わるもの。

近藤 星野さんのチームは、フロントウイングの修理よりも、(壊しちゃう)無線機でお金かかっちゃってますからね(笑)

星野 (笑)