舘信秀×星野一義×近藤真彦
スーパーフォーミュラ監督対談 前編(2/3)
--皆さんにとってのフォーミュラレースってなんですか?
そして、今年登場したSF14はいかがでしょうか?
星野 フォーミュラってドライバーが自分を一番アピールできる最高のカテゴリーだよね。今や、スーパーフォーミュラは、イコールコンディションだから言い訳できないんだ。100分の1秒でも速い奴が勝つわけよ。それが、その場で証明されるんだ。
近藤 今ね、どんなドライバーでも、フォーミュラ、スーパーフォーミュラに乗りたくてしょうがないんですよ。フォーミュラを乗りこなして、次にSUPER GTに乗ったら直ぐにタイムを出せるんです。それはフォーミュラの速さを体験しているから。
舘 現状でSUPER GTはハンディキャップレギュレーションがあるレースでしょ。しかし、フォーミュラはイコール、ガチンコですからね。好きですね、ガチンコの勝負。フォーミュラはタイヤが露出している。それ故の危なさもある、しかし、今スーパーフォーミュラで闘っているドライバーたちは当たらない、絡まない。上手いよね。
星野 当たらないね。本当に上手いね。彼らはプロフェッショナルだ。特に昨年のスポーツランドSUGOでの(アンドレ)ロッテラーと(ロイック)デュバルのトップ争い見ていて鳥肌が立ったよね。2台が並んで1コーナー、2コーナーを抜けて行くのは最高だったね。本当に上手い。
近藤 今年、ジェームス(ロシター)が加入して、改めてドライバーの力量の高さを感じてますね。そして、今年のSF14に関して言えば、レースと予選の楽しさ、速さ、車のカッコ良さでこのクルマはF1を越えていると思いますよ。長い間番組等でF1の仕事してきているボクでさえそう感じます。実際に国内のサーキットでいくつかのコーナーではF1よりも速いですからね。また、マニアックなファンに好まれるカテゴリーですから、SUPER GTと比べると観客数は少なく見えますけど、単独シリーズとして国内で開催されているものとしては、国際的に見てもスーパーフォーミュラに多くのファンが見に来ていただけているのも事実なんです。日本のファンの皆さんの目は、凄く肥えてます。
舘 ウチのチームでも皆、このクルマは凄いって言ってますね。ダラーラって良いメーカーだよね。F1以上の素晴らしいクルマ創ってくれたのだから。
星野 素晴らしい。パッと見ても、あのスタイル、空力は素晴らしい。リアウイングの剛性ひとつとっても凄い。メカニカルグリップとダウンフォースのレベルが違う。今年のSF14のウワサを聞いて、ブノワ(トレルイエ。2006年フォーミュラ・ニッポン王者)がシーズン前に乗りたいって言ってきたんだ。それは、そうだよね。一緒にアウディで(WECを)走っているロッテラーとデュバルが日本でやっているわけだから。皆、日本で学んで世界で活躍している。それも世界的にも速いクルマでね。中嶋一貴が活躍しているのもスーパーフォーミュラで走っているからル・マンでも活躍できる。日本のトップフォーミュラはドライバーの速さを示す、アピールする場としては最高なのよ。今だって、多くのドライバーが"乗せてくれ"って目をして近寄ってくるんだ(笑)。
近藤 それでは、星野さん。6台体制くらいでシリーズを闘うっていうのは、どうですか?
星野 ええっ。そんな金無いってば(笑)。
舘 今のレース界は、スーパーフォーミュラで正しく評価されて、SUPER GTのシートが与えられ、雇われるという構図になっている。アンドレ・ロッテラーがその一番良い例だと思うのだけれど、彼は今や世界耐久選手権のチャンピオンですよ。それが、スーパーフォーミュラの速さの魅力にとりつかれ、自分を鍛える場として日本に住まいまで構えちゃっている。まあ、六本木で遊びたいという理由もあるみたいだけれど(笑)。彼にとっては大好きな日本食と共に、レース環境としては日本は最高でしょうね。
近藤 ちょっと前までは、F1を目指し、そしてシートが獲得できなければ、GP2へという感じ。でも、これからは、東洋の日本という国で凄いフォーミュラシリーズがある。そこで評価されるとル・マンで活躍しているメーカーに招かれるという情報が世界中に広まるでしょうね。
星野 いや、自分が現役時代でも多くのドライバーが日本に来てそしてF1へ行った。ある年にF1見に行ったら、アーバイン(全日本F3000で活躍し、フェラーリでF1に参戦)やフレンツェン(同じく全日本F3000を経てウィリアムズなどで活躍)がみんなボクのところに来て挨拶してくれた。嬉しかったね。彼らは正に日本で腕を磨き、F1ドライバーになったんだ。F1は、自分自身が速くたって、政治的な力や金銭的なバックアップが無ければ走れない。でも、日本のスーパーフォーミュラは違う。今の日本のトップフォーミュラはドライバーにとって最高の場だね。
近藤 日本の若いドライバーもおちおちしてられませんよ。才能ある速い外国人ドライバーがドンドンと来ますよ。昔は、チームが速い外国人ドライバーをウチで走らないかって、獲得に行っていた。しかし、今や向こうから乗せて欲しいと要求してきているわけですから。
目次ページ
- 前編:チーム監督の仕事は下がれば下がるほど良い!?(2014年8月7日公開)
- 後編:チャンピオン争いはトヨタエンジン同士。だから負けない!(2014年8月14日公開)
- 4. "星野一義のチームに追いつけ追い越せ"を目標にしてきた
- 5. ホンダじゃないよ。やはり、対TOM'Sだね(笑)、負けたくないよ
- 6. SF14となった2014年は歴史に残る。だから、チャンピオン獲りたい