これぞプロ!計算されたレース展開
真夏のような暑いスポーツランドSUGO、梅雨空の片鱗も見せることなく、第4戦は暑い熱い週末となった。
開幕2連勝を飾りながら、前戦富士では3位という屈辱を味わった#1谷口信輝選手。それだけにSUGOは、どうしても負けられないレースとなった。しかしライバルは増え、今年から参戦を始めた#770山田英二選手や#34佐々木雅弘選手、そして初のフル参戦している#906阪口良平選手と、打倒谷口選手を目指す強敵がひしめき合う。
予選は激しいトップ争いとなり、阪口選手、佐々木雅弘選手、山田選手がトップタイムを塗り替える。そこにあえて遅れて谷口選手がコースインし見事ポールポジションを獲得。2位阪口選手、3位山田選手となった。
日本を代表するトップドライバーたちが、水温やブレーキ、タイヤといったコンディションを最適にコントロールしながら最速を狙った予選は、頭脳戦でもあり、知覚をフル動員した戦いでもあった。
決勝レースでは、谷口選手がスタートダッシュに成功し、1周目で1秒196ものマージンを2位阪口選手との間に作った。1位谷口選手から、4位佐々木雅弘選手までがトップグループを形成しレースが展開。トップを走る谷口選手は、序盤で作った貯金を有効に使い、レースをリードしていく。迫る阪口選手はジリジリと谷口選手に近づくが、真後ろに近づいた時はすでに残り6周。谷口選手は巧みなブロックで、オーバーテイクを許さない。しかも谷口選手が押さえ込んだことで、阪口選手の背後に山田選手が迫り、今度は阪口選手も防戦が必要になることに。
谷口選手は終盤、滑り出そうとするマシンを巧みにコントロールしながら、見事に優勝を果たした。レース後「レース前にこんなレース展開だったら勝てるなとシミュレーションしていた」と語り、計算通りの勝利であった。2位阪口選手、3位山田選手、4位佐々木雅弘選手と、上位陣はスタート順のままゴールとなった。また6位には、着実に速くなっている#89井口卓人選手が、BRZを久々の入賞に導いた。
決勝結果
- Rank
- Driver
- Car name
- Total time
- Gap
-
- 1位
- #1 谷口 信輝
- KTMS 86
- 22'06.403
- -
-
- 2位
- #906 阪口 良平
- AREA86倉敷
- 22'06.727
- +0.324
-
- 3位
- #770 山田 英二
- CUSCO BS 86
- 22'06.845
- +0.442
-
- 4位
- #34 佐々木 雅弘
- asset・テクノBS86
- 22'08.186
- +1.783
-
- 5位
- #557 大西 隆生
- オートバックスG786ポテンザ
- 22'10.346
- +3.943
オープンなパドックはアットホームな雰囲気
プロフェッショナルシリーズには、日本のトップドライバー達が数多く参戦している。86/BRZレースのパドックには、当然彼らのチームのスペースがあり、そこを基地としてレースを戦っている。基本的には駐車場のようなスペースに仮設のテントを用意したシンプルなのが一般的。つまりトップドライバーの姿を間近で見るチャンスなのだ。
しかも86/BRZレースのパドックには、それ用の特別なパスは必要ない。入場券でそのままエリアを訪れることができる。
今回のSUGOのパドックでも、ドライバー同士が和気あいあいと雑談する様子があちこちで見られ、プライベートな彼らの表情を垣間見ることができる。ガチンコのライバルと目される場合でも、マシンを降りてしまえば、コース上で何度も戦ってきた一番信頼できる友人なのだ。
また、レースには準備する時間が必要なので、彼らには待ち時間ができる。ファンのサインや写真撮影に応じる姿も、あちこちで見られた。そうしたフレンドリーでアットホームな雰囲気もまた、86/BRZレースの魅力のひとつなのだ。