進化は続くよ、どこまでも! ~SUPER GT 第3戦~
モタスポコラム その41 2022.6.10
春の鈴鹿ラウンドと呼びましょうか?以前は、鈴鹿では暑い夏の1000キロレースが定番だったのですが、夏のラウンドが今季もありますので、「春の鈴鹿」としましょう。その春の鈴鹿ですが、夏を待ちきれずせっかちなくらい暑かったという…。予報を裏切る天候であるのは、サーキットあるある。しかしピーカン(死語?)だったのでヨシとしましょう!では、振り返ります。
前戦の富士ラウンドで残念ながら大破してしまった3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zの復活のニュースがネットを駆け巡っていたので、ぜひこの目で見たいと思っていました。公式車検が始まるとその姿を早々に見ることが出来て安堵。たぶんこの気持ちは、SUPER GTファンならみんな一緒だと思います。富士が終わったあと、一つも使えるパーツが残っていなかった状態から復活とは頑張ったよね~という、彼らの労をねぎらう情報が早々に入って来ました。メカさんたち、本当にお疲れさまでした。
しかし、このコが今回脅威なるライバルになるとは、誰も知るよしも…ありました(笑)。あれだけ富士で速さを見せつけましたので、得意な鈴鹿はGT-RからZになっても得意である事は全く変わらないと思いましたよね。優勝候補にあげていましたが、はい!今回は、3号車が優勝をしました。完敗!
搬入日に話を戻して…、過ごしやすい陽気は、本当にココロも体も楽で良し。搬入日はのんびりですが、3月から親戚以上にサーキットでお目にかかる業界のみなさんは、だいぶみんな疲れてそうに見え…。これが終わればお休みが取れるかななんて思ったり。夜半、豪雨だった鈴鹿も、夜が明ければ雨も止みいつもの搬入日。朝、ホテルを出る際に、エレベーターで一緒になった14号車のチーフメカ大本くんに、前日夜に鈴鹿入りしたのですが、どうも新東名を運転している姿を14号車クルーに目撃されていた模様(笑)で、ちょっと恥ずかしくなり。運転中って愛想ないよねって当たり前か。左車線にいたトランポは何台か追い越したんですよね。業界大移動ですから誰かしら遭遇するのは珍しくなく、今後は周囲にも気をつけて運転しましょ(笑)。
そして、これから始まる2日間は熱いに決まっておりますので、うなぎ(関西風の焼き)を食べ(笑)、一日だけ贅沢をし翌日に備えました。鈴鹿で食べるうなぎ…、これがいつも楽しみな私です。レース関係者は見かけたことのない地元の方オンリーのお店ですが、今回は行けました。前回は貸し切りで入れなかったんです。ジューシーで美味しかったです!
朝、早起きをして、GTAのFROチームの緊急脱出訓練が38号車ZENT CERUMO GR Supraを使用して行われることをオフィシャルさんに教えていただきましたので、様子を見に行きました。鈴鹿サーキットのメディカルさんたちもレベルが高いのでテキパキ。一部始終、見学させていただきました。
朝の練習走行では、19号車WedsSport ADVAN GR Supraが最下位。それは19号車のピットにいた時に確認。あららら…。そうかそうかと元気が消滅…。
38号車がセッション終盤でストップし火災が発生。いやはや残念。予選に出走できず言葉になりませんでした。今季は行けそうと思っていたので、まさかこんな事態になるとは…。残念。
夜中2時半までかかって作業し、それからホテル戻ってシャワー浴びて寝てって明け方ですよね就寝は…。不眠不休のレースウィークは全く珍しくはないけれど、土曜日の公式練習で起きた火災トラブルの修復作業に深夜まで追われ、さらに決勝ではエンジントラブルによるリタイアでたった11周で第3戦が終わってしまった…とチーフメカニックの三澤くん。無念でした…。2か月間の8月の富士ラウンドまでのインターバルで、次にしっかり臨めるクルマに仕上げて来てください!TCDさんと共に頑張ってくださいよ!
ポールポジションは? サクセスウェイト0の37号車KeePer TOM'S GR Supraが来るかな?とこちらのピットにおりましたが、19号車WedsSport ADVAN GR Supraが見事一番時計!ちょっとびっくりしました。ほら、朝の走行はアレだったから。アタックしたのは、国本雄資選手。19号車が苦手な鈴鹿でポールですポール!チームメイトの阪口晴南選手も目を丸くしていました。
何より絶叫して喜んでいたのは、坂東正敬監督! 予想外の結果だっただけに、喜びもひとしお。もう得意なサーキットは、あそことあそこしかないとか言わせませんよ。ヨコハマタイヤさんたちの喜ぶ顔もとてもうれしそうですが、周囲が喜んでくれる顔を見られるのがうれしいと語った国本選手がね。これわかりますよね~。GT500クラス自身初めてのポールポジション。自身のことより周囲の祝福に感激。レースは明日ですけど、ここは大いに喜んで良いと思った時間でした。おめでとうございました。この日の夜は、以前ほどの緊張感はなくよく眠れたそうです。
さらに暑くなった決勝日。梅雨直前の晴れをしっかり楽しませていただきました。鈴鹿サーキット60周年特別デモランが2日間に渡り開催され、JGTC、全日本GT選手権のヒーロー、いまや大ベテランの道上龍監督、本山哲氏、脇阪寿一監督が登場し懐かしいマシンを走らせました。この時くらいから私もこの業界に入りました。何もわからなかった頃が懐かしいですけど、今も大して変わらないかな(笑)。未だ何もかも新鮮で真剣勝負は、常に刺激的ですね。
さて開幕戦、第2戦とGT500クラスは、3メーカーがそれぞれ表彰台に乗り星を分けたのですが、今回もそうでした。今季はというか、本当に読めません。それはそれでおもしろいですけどね!
決勝日、午前中にGTアソシエーションから、GT富士で起きたアクシデントに関して、坂東正明GTA代表の定例会見の中で報告がありました(内容はSUPER GT公式サイトで)。
【GTA定例会見:第3戦 鈴鹿】第2戦富士における事故の検証プロセスや今後の再発防止策を報告 | SUPER GT OFFICIAL WEBSITE
レーシングアクシデントの判断はもちろんそのままで変わらず。わたくしも誤認していたところがあったので、そこは修正です…。
後日ですが、TGR TEAM SARD脇阪寿一監督がこのGTAの検証結果を踏まえた上で、ニコ生「脇阪寿一の言いたい放題」でこの件について取り上げていました。そこには、ジャッジする側である服部尚貴SUPER GTレースダイレクターも同席しておりました。内容はとてもわかりやすいものでした。これは、アーカイブを探して(リンク無くてすみません)ご覧になって欲しいですね。
レーシングアクシデントは、通常のレース、さまざまなシーンで起こります。そこは当然不利益を被る場合もあるので、すべて公平なバランスの中で片付かないのは常。あてたあてられた…などなど、ダメージは否が応でも残ります。双方が同じだけダメージを負うなんてことはまずないです。もちろんペナルティが下る場合もあります。しかし、そのジャッジが信頼の置けるものでなければ、今後レースなどできません。プロスポーツとして、今後の再発防止のことを加味し、前へ進んでいるようですので、この件については終わり。
決勝の方は、3号車がオープニングラップからガンガン来てトップを奪うと速さをいかし大量リード。レース終盤、アクシデント発生によりいったんレースがリスタートしますが、失ったギャップも再びまた築いていき優勝を遂げました。彼らにとっては、GT富士のリベンジ。短期間で乗り越えて来た計り知れないことは沢山あると思います。そして、ドライバーのお二人、千代勝正選手、高星明誠選手にとっては、これがなんとGT500クラス初優勝という殊勲。ますます忘れられないレースとなった事でしょう。おめでとうございました。
GR勢は、ポールスタートの19号車のオープニングラップが注目されました。頑張ってと見守る中、どうにかトップで一周目通過かと思った矢先、ライバルたちに先行を許しましたが、最終的に5位でチェッカーを受けました。でもね、これヨコハマタイヤ大躍進だと思います。頑張りましたよね。この積み重ねです大切なのは(偉そうでごめん…)。GR勢では、1台体制、GT500クラスでは日産Zを入れて2台で頑張っています。もう1台の24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zは、6位チェッカー。クルマは違えど、どちらも入賞。おめでとうございました。
このタイヤを選ぶ理由は、それぞれのチームにあって、そこをリスペクトしつつ、この進化を称えたいですね。まだ残り5戦ありますので、頑張ってください!
ちなみに、19号車のピットの外でめちゃくちゃかわいい女性を目撃。どなたなんだろう?ひょっとして???はい、そうでした、今年、電撃結婚(勝手にそう呼ぶ…)をされた阪口晴南選手の奥様だったようです。後日、阪口選手に確認しました(笑)。新婚パワーのチームメイトと、いつ結婚するかわからないけどゆーじ(国本選手)!ますます頑張ってくださいね!
3位に、37号車が入りました。こちらも前戦富士で無念の涙を流したチーム。若い二人が勢いあって良いですよね。この二人の伸びしろは、ゴム並みにのびのびでかなりありそう。まだまだイケる進化に期待!
トップと同ポイントでランキング2位の14号車 ENEOS X PRIME GR Supra。ポイントで3号車に並ばれましたが、サクセスハンデとうまく付き合っていくのは、開幕戦で優勝した昨年と同様ですね。しばらく辛いレースが続きますが、王者の経験あるコンビのままですので心配なし!がんばって!
先般の富士では後味の悪い終わり方で、頑張っていた方の労が報われないような結末でしたから、今回は、もちろん勝ち負けもあるし残念なこともあるかと思いますが、気持ち勝敗が決まって良かったです。
次戦は、富士450㎞レース。5月の第2戦同様の長丁場のレースは荒れるとは思いますが、感動を与えてくれるレースに期待しております!夏休みのイベント、ぜひサーキットに来てくださいね!
大谷幸子の近況
このレースの後、すぐ富士24時間にも行って参りました。5回目となりますが、すべて行っております。天候の悪い年もありましたが、今年は恵まれました。私は、SUPER耐久にTOYOTA86がデビューしたシーズン、シーズン通してTOYOTA 86を追いかけました。あの頃よりもクラスが細分化し、Qクラスというクルマ開発の賞典外のクラスもでき、たった10年でこんなにも変わるのかと思うほど変化を遂げました。レポートが長くなるので簡単に済ませますが、カーボンニュートラル。モータースポーツも過渡期ですね。世界の流れと共にクルマの楽しさを失うことなく、楽しんでいきたいものです。近未来の変化もわかるSUPER耐久。かなり興味深いです。もちろんメーカーに注目するのは後回しにして、基本草レースですので、団結力と全員が主役のモータースポーツ。いいなあって毎回思いますね。
クルマ好きの方々が集うこのS耐の世界にいきなり土足で入らぬよう、毎年そっと取材をしているつもりですが(やっぱ目立ってしまう…すみません)、例年思うのが運動会やお祭りみたいで楽しそう。富士24時間は、クルマを楽しむ方の「お祭り」。普段、SUPER GTでは笑顔をひとつ見せずにやっている方々も、のびのび。もちろん走り出したら真剣そのものなのですがね、笑顔いっぱいでそれをからかいながら仕事をしていました。
寝不足で死にそうなところからどうにか復活。少しお休みが取れそうなので、少し休んで来週末のスーパーフォーミュラ菅生に備えます。では、また!