サッシャくん絶好調&チームインパル名勝負! ~スーパーフォーミュラ第7戦&第8戦もてぎ~
モタスポコラム その45 2022.8.29
さて、残り2大会4レースは、すべてHondaさんのホームコース。アウェイで4レース臨むGR勢。どんな戦いを披露してくれるのか?そして、タイトル争いで王者を追いかける立場の我々が、その差を詰められるのか? そして、真夏のもてぎラウンドは、「何か」ある! 毎年何かが起こるんです。そんな思いで、灼熱のもてぎに足を踏み入れました。
2レース制ということで、金曜日午後に公式練習が設けられました。よっていつものチームの搬入は、一日早い木曜日。私は現地には金曜の走行前に到着したのですが、うだるような暑さでした。8月のど真ん中、その暑さと付き合うしかありませんが、夏休みも大してないチーム関係者。このレースがあるので出社してせっせと準備をしていたと、ピット周りは予想を裏切らないお話ばかり。それでも元気をくれるメカニックたちとの時間は楽しい。土日は、バタバタであまり話せないのでね。
このもてぎが得意なGR勢としては、チームインパルは圧倒的な存在。今回もきっと上位に来るだろうと思っていたら、早速公式練習では、平川亮選手が3番手。そしてチームメイトの関口雄飛選手が4番手とまずまずの滑りだしでした。関口選手、前回の富士ラウンド、ほぼ手中にいれた優勝が手からこぼれてしまったので、是が非でも取り戻したいところ。衝撃の結末でしたからね…。
そして、今季復調気配の38号車坪井翔選手が2番手に入り大いに期待を込めました。それは18号車の国本雄資選手も同じで、彼は5番手。大きな結果こそ残ってないけれど、今季随所で上位に食い込む速さを見せる元チャンピオン。練習走行のあと、ピット裏で見かけたけどいつもの笑顔を返してくれました。レースウィークの始まりに笑顔が出るのはとても大事。母目線でしかない感想だけど(笑)。そんな笑顔にこちらも笑顔で返す。優しいのよいつも、おばさん相手にしてくれるし、カメラも趣味だから話も合うし雄資(国本選手)。全日本F3選手権の頃からですが、ずっと見て来て応援してますしね。まあ雄資に限らず、全員頑張れと思っているけど…。
一方、サーキットに入ってから浮かない顔でお話していたのが、トムス陣営。チームが苦手なサーキットということでみんなで考え中。以前はここで勝ってタイトルも獲ってるし、このカテゴリー参戦初年度の初優勝もココもてぎでした。2006年、トムスの広報スタッフだったからよく覚えています。もちろん得手不得手は、どのチームにもあるのでみんな頭を悩ましてましたが。
36号車ジュリア―ノ・アレジ選手がエンジニアと話していたので勝手に加わったら、「サイショハ タイクツデ ココキライダッタケド タノシイヨ~」とめちゃポジティブ。確かに土日楽しくドライビングしていました、速かったわよね~。第7戦の決勝では雨の路面でくるんと回ってしまったところもあったけれど、好きどころか得意なコースということもわかりましたよ。
とにかくアウェイなGR勢としては、このラウンドを混戦に持ち込むことが重要。早ければタイトルが決まってしまう可能性がありましたので、そこは意地で最後まで食らいつかないと。チャンピオンの野尻智紀選手が今季も圧倒的に強いのは変わらないけど、そう簡単に負けたらダメよね~などと思いながら現場を離れる夕方には、一気に涼しくなり、Tシャツ一枚だと若干涼しすぎ?と思うくらい空気が変わる瞬間を感じ、帰路につきました。
前日より若干涼しく曇り空。予選の始まる前には、たまたま通りかかったのですが、お手洗いの前に若者が集っておりました。こういう時間ってリラックスできてちょっと楽しいよね~。あとで伺うと、全くレース以外のこと話していたりとそこが若者だったりしますが、このときは何話してたのかな…。
すっかり安定感が出ました。ポールこそ取れませんでしたが、予選は2番手で表彰台は堅いと思いました。昨年は、チームで2年目だけれどほとんど参戦できなかった…。3年目の今年は、二人のエンジニア、もともと村田卓司エンジニアが担当ですが、開幕戦でも書いたと思うのですが、本人のリクエストで元レーシングドライバー(今も走られていたら失礼)のミハエル・クルムさんに帯同いただき、お二人でレースをマネージメントされています。
サッシャくん曰く、良いことしかないとのこと。レースにしっかり集中していて、それでも「オハヨウ」「オツカレサマ」「モウチョットデ テンキガ ワルクナル」など、最近は二語文の日本語も増え、速いだけではなく環境に馴染む力も素晴らしいと思っています。この順応性は、過去に日本で戦っていたアンドレ・ロッテラー選手というドライバーを思い出しますね。彼も器用で日本語をどんどん覚えていきました。彼のように日本に住んでますから、早いのよ覚えるのが。そんなサッシャくんタイトル候補のひとり。ポイント差は厳しいけれど、それでも今回のもてぎラウンドが終わってランキング2位と大活躍。ブレないですね今季、本当に。本領発揮です♪
そしてパドックで噂されていたビッグニュースがレース後に飛び込んできました。サッシャ・フェネストラズ選手、来季、フォーミュラE(以下FE)に参戦することを発表しました。もてぎの直前にスポットで、それもかなり急に現地ソウルでオファーを受け、FEにスポット参戦しました。ちゃんと完走していましたが、これは遅かれ早かれ…と思っていたら、日産e.damsからの参戦が8月23日正式にアナウンスされました。FEのシーズンはこの前終わりましたから、体制発表という事ですね。
世界デビューおめでとうございます!世界の大舞台で活躍するドライバーへ、ますます誇りに思いますね。
さて、世界デビュー(WECそしてル・マンウィナー)を済ませているこちら、19号車平川亮選手。予選は、チームインパルの2人がQ1でドロップという番狂わせ。タイトル争いを考えると、ちょっと心配。前日よりも気温が下がったことで、かなりフィーリングが変わってしまったそう。とは言え、チャンピオンの野尻智紀選手はちゃんと予選4番手につけました。どんなコンディションでもそつなくこなす、やっぱりチャンピオンはさすがだなと。タイトル争いでライバルたちにかなり水をあけ、早ければ今回の1レース目で決まってしまうという、昨年に続き盤石な運び。もうね、うらやましいと思いました(切実)。
第7戦は、GR勢は、サッシャくん以外に4人がポイントゲット(レースレポートはTGRサイト内で見てね)。5位坪井翔選手(予選6位)、6位山下健太選手(予選7位)、8位宮田莉朋選手(予選9位)、9位関口雄飛選手(予選10位)で終えました。とにかく雨脚がしゃれにならないほど強いレースだったので、予選時のポジションキープが精いっぱいだったかな。下位に沈んだクルマ2台が、あえてのフレッシュタイヤに換え追い上げを敢行した訳ですが、その作戦を取ったウェットタイヤでのジュリアーノ・アレジ選手のパフォーマンスがとても良く、タイムも大幅に上回っていたのが印象的。まわりのタイヤが厳しくはなっていたけれど3秒から4秒?これはちょっと覚えておきましょう。
Hondaの山本尚貴選手が、チャンピオンを獲得したチームから移籍。2シーズン目となりますが、久しぶりのポールトゥウィンとなりました!その時が来た!と思いましたね。長いといってもそう長くないようにも思いますが、なかなか優勝のできないチーム、ポイントが欲しいチームは他にもあります。“その時”も待てば絶対来ると信じようと、山本選手の姿を見て思いました。ライバルですがおめでとうございました。
最終日の朝です。ヘルメットのメンテナンスから帰るKCMGのマネージャーまいちゃん。前日の雨のレースは、雨で前が見えなくて大変だったのですが、そこでヘルメットもバイザーもしっかりメンテナンス。いつも1レースのみの通常レース開催の時は予選の後に持って行くそうです。お疲れさまです。
そして、チームの朝礼ものぞかせていただきました。この日も前日と同じレースフォーマットですので、すぐに予選が控えていることもあり、細かな指示がいろいろ飛んでいました。
トムスの新人マネージャーのまりなちゃんは、午後のグリッドの飲み物の準備をもうしていましたね。冷え冷えを用意したいですよね。たしか昨年末に入社した彼女は、それまで担当していた大堀マネージャーからオートポリス戦を機に独り立ち。チームは、3カテゴリー、それぞれのマネージャーが担当するようになりましたね。併催のスーパーフォーミュラ・ライツには、大先輩の吉川マネも来てますし、何かあっても頼りになる人ばかりで心配なしです。頑張ってね!
コンド―レーシングでは、サッシャくんがいつものトレーニング。チラ見しつつ、村野マネージャーとせなちゃんマネージャーが真似するのでおもしろくて、朝から束の間の癒しタイム。あざーっす。
予選は、良い感触。再びサッシャくん2番手。山下健太選手4番手、インパルの2人は、平川選手6番手、関口選手7番手につけました。コンド―レーシング、チームインパル、揃って2台がQ2進出で決勝も上位フィニッシュを祈りましたね。
ピットウォーク、もてぎの夏、暑すぎてもう…でした。ここから暑さは引かなかったですね。
グリッドはテレビ中継を見ていただいた方はおわかりのように、海辺にでもいるような夏の景色。まさに、名前を今年変えた“モビリティリゾートもてぎ!”でした。吹き出す汗…、背中からは背脂、マスクの下は滝(笑)。やーね。
36号車は、18番グリッドでしたが、行ってもクルマがない…と思ったら、電気系のマシントラブルによりパーツ交換を施し、最後尾のグリッドからのスタートとなっていました。びっくりしましたね。良かった走れて…。
まさかこのグリッドにいた時、名勝負が生まれるなんて思ってもいなかった…。当たり前だけどね。雄飛がなかなか来ないし。時間になってしまうし。夏のグリッドは照り返しがすごく、これももう最後かしら?と思いながらグリッドから退場しました。
私、今回、諸事情によりチームインパルさんにお世話になっておりました。お昼休み、メカさんたちの控室にご一緒させていただいて、「同じ釜の飯」を食べました(笑)。飲み物からなにから助けていただきました。その時いただいたカツカレー、これ日曜のランチ。めちゃくちゃ美味しかったです。もてぎのご飯屋さんにお願いしているそうですよ。
メカさんたちと、ちょっとだけ話せました。メカさんたち、食べ終わると早々にピットに戻りますしね。いつもインパルは、スタッフが走り回っている男クラ(男子クラス)。SUPER GTだと超ベテランのチーフメカさんと私は仲良しでよく話すんだけど、日産のチームなので、さすがに中まで入ることはありません。
しかし、スーパーフォーミュラだとTGRの仲間。おばさん(私)ありがたかったです。星野一義監督、高橋工場長と高杉マネージャー、みなさんありがとうございました。助かりました。KCMGさんにもお世話になりました。土居ご夫妻に感謝です。今回のレースウイークは感謝がいっぱいでした。あ、遠い駐車場にもたまたま通りかかったヨコハマタイヤ映像スタッフさんや、Hondaさんちに「乗ってく?」って言われ、白馬のなんちゃらが現れた気分で、本当に助かったんですよね。もてぎは広いので、たまにこんなことがあるんですよ。
で、カツカレーからの名勝負。あの決勝は、前戦のこともあり19号車は絶対獲りたい気持ちが、ひしひしと伝わって来ます。チーフメカさんが声を出して、関口選手をあんなに応援する姿は初めて見ました。もう終われ!って。平川選手との最後のバトルは、「押えろ~」と絶叫。そんな中のふたりのバトルに悲鳴をあげてみるピットにいる人たち。2台がそれぞれ別々のストラテジーを立て、ファイナルラップの最終コーナーでバトル。こんなことある?
ピットワークも2台ともミスはなく、20号車なんて、たった5.6秒でした。ミスのない2台がちゃんとバトルをした。台本書いたところで、こんなストーリー演じられる訳がない。星野一樹監督代行もこれに驚きつつ、星野監督の星野イズム「やらせろ」を敢行、チームオーダーなし。ご自身が、最後まで興奮されていました。会見でも思い出して、声を詰まらせてましたしね。
私はまた、ただのお母さんになっていました。どっちも勝たせたいので(わがまま)。終わった直後は、安堵の涙が出ました。久しぶりかも泣いたの。
勝者は一人なので、どんなにかっこ良くても亮(平川選手)は敗者。とても悔しがっていたので、母さんはひとこと声をかけました。記者会見後に「かっこ良かったよ!」と。ありがとうございます!と返事がありました。こんなにも素晴らしいレースをしてくれたので、何か声をかけたかったんです。亮も称えたかったんですよね。
関口選手は表彰式に向かう前に、ちょうど目の前にいたので声をかけましたが、冷静でしたね。彼もありがとうございます!って。いつも通りの雄飛かな。もっと大げさに喜んで欲しかったですが、(このレースを制した)自分がすごいとかいうより、終わってほっとしていると会見で言っていたので、あの暑さの中のレースで安堵して一気にクールダウンとなったのかなと思っています。雄飛らしい。メカさんとエンジニアのあの喜び方を見せてあげたいというか、その動画はもちろん送りました(笑)。
What a race! 終わった瞬間、ふとよぎりました。こんなレース、二度と見られないんじゃないかと思い、我に返り、何かこう長年の取材の集大成みたいな気持ちになりました。夏のレースは取材も大変ですが、こんなに頑張っている人たちのそばで、その熱量を感じながら現場にいられることは、とても幸せだと思いましたよ。おめでとうございました!
レース後、宮田莉朋選手とお話、レースの話を伺ったあとにサッシャくんの話になりました。SUPER GTではチームメイト。もてぎに来る前に、一緒に食事をしたそうです。お互いお誕生日が近いのですが、サッシャくんから誕生日プレゼントをいただいたそう。ケーキも用意してあってね。事前に、宮田選手の奥様に連絡があって、内緒だったそうで、二人からのサプライズとなりました。そのあと、うれしくて泣いた話をしてくれたんです。下のカテゴリーで二人でチャンピオン争いをしたこと、その時のことも話してくれました。現場にいたので見て来たし私。宮田選手が本当にうれしそうに話してくれてね。微笑ましかったです。 来季のサッシャくんの動向も気になりますが、コンビで居られたら良いですね!莉朋!素敵なお話をありがとね!
大谷幸子の近況
動画配信アプリの攻略をレースのスケジュールの空きが出来た合間にしておりました。バズることを目標にしている訳ではないのですが、多分ダメだろうなとパターンをわざと撮ってみて確認したりとか、だいぶコツを掴んできました。内容的にバズるものはこれまでの経験でわかっているつもりですが、それを効率よく出せるかにかかっている(笑)。
まあ、取材の副産物ばかりに力を入れてもしょうがないし、かつ仕事中、時間も実際たくさんかけられないということもありますね。
10月になれば少し時間できるかなと思ってるんだけど、休んでいるか動画を撮っているかだろうなあ、楽しいんだもん(笑)。カメラもなんR5てキヤノンの立派なのがあるんだからすこし触るかな。忙しくなるとやりたいことだらけ。
ちょっと先に楽しみなイベントを見に行く予定があるんだけど、外に配信しても良いものなら、Instagramにアップしたいなあ。楽しみだわ!ではまた!