TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム勝田貴元、高速ターマックのスペインで苦戦するも多くの学びを得る

2021.10.18(月)- 16:00配信

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、10月14日(木)から17日(日)にかけてスペイン北東部のサロウを中心に開催された、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第11戦「ラリー・スペイン」に、コ・ドライバーのアーロン・ジョンストンと共にヤリスWRCで参戦。クラッシュにより初日にデイリタイアとなりましたが、再出走した二日目以降は高速ターマック(舗装路)ステージでの経験を積み、総合40位で完走しました。

勝田・ジョンストン組
勝田・ジョンストン組

2年前の2019年、勝田はこのラリー・スペインにヤリスWRCで初めて出場しました。スペインはここしばらく、ターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)の両路面を走行する「ミックスサーフェス・ラリー」として行われてきましたが、今年は久々に全ステージの路面がターマックとなり、勝田にとっては新たな挑戦となりました。

勝田はラリー初日金曜日の最初のステージ、SS1でペースノートの情報を誤解し、右コーナーに高いスピードで進入。コーナーを曲がりきれず、外側のバリアに当たってクルマの左フロント部分にダメージを負いました。何とかSS1は走り切りましたが、ダメージが大きかったため、その後の走行を諦めデイリタイアとなりました。その晩、チームはサービスでクルマを修理し、勝田は最長の距離を走る翌日の土曜日に再出走。走り始めはやや自信を失っていましたが、ステージを重ねるごとに自信を取り戻しペースアップ。ラリー終盤にはトップ5タイムを2回記録するなど調子を上げ、今回がコンビ2戦目となるジョンストンと共に高速ターマックステージで多くの経験を積みラリーを終えました。

勝田貴元:今回は、残念ながら自分が思っていたようなスタートを切ることができませんでした。自分のミスです。ペースノートの情報を誤解してしまい、実際には自分が考えていた以上にタイトだったコーナーへの進入スピードが高すぎて、バリアへの衝突を避けることができませんでした。しかし、チームがクルマを修理してくれたおかげで、再出走することができました。土曜日の朝は自信が持てずにかなり苦労しましたが、一日の終わりにはフィーリングが良くなり、ステージのタイムも好転しました。そして、ラリーの終盤にはさらに良いフィーリングが得られたので、今はシーズン最終戦のモンツァが楽しみです。

ユホ・ハンニネン(インストラクター):金曜日、タカはリスクを冒していませんでしたし、攻め過ぎてもいなかったので、あのような事になってしまったのは本当に残念です。彼は最初のステージを注意深く走り、フィーリングを高めようとしていました。ペースノートは正しかったのですが、実際よりも緩いコーナーと捉えて走ってしまいました。その後、翌日に再出走しましたが簡単にはいきませんでした。特に、上位の選手がかなりのハイペースで走っているような状況では、タカが自信を取り戻すためには少し時間が必要でした。しかし、3本目のステージで既に良いタイムが出ていましたし、金曜日の失望が大きかったことを考えると、かなり早く立て直したといえます。土曜日と日曜日の丸二日間走れたのは良かったですし、次のモンツァに向けてもプラスになったと思います。

Result
ラリー・スペインの結果

  1. 1 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒュンダイ i20クーペ WRC)

    2h34m11.8s

  2. 2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ ヤリス WRC)

    +24.1s

  3. 3 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒュンダイ i20クーペ WRC)

    +35.3s

  4. 4 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC)

    +42.1s

  5. 5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC)

    +1m31.8s

  6. 40 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ ヤリス WRC)

    +1h21m33.5s

次回のイベント情報

勝田のWRC次戦は、11月19日(金)から21日(日)にかけてイタリア北部ミラノの周辺で開催される、第12戦「ラリー・モンツァ」です。昨年WRCとして初めて開催されたラリー・モンツァは、今年もシーズンの最終戦となり、有名なモンツァ・サーキットを中心にターマックラリーとして行われます。昨年勝田はSS1でクラッシュしデイリタイアとなりましたが、再出走したデイ2以降は何本かのステージでトップクラスの速さを示し、ボーナスポイントがかかる最終のパワーステージでは、WRC参戦後初となるベストタイムを記録しました。今年は、昨年よりもベルガモ周辺の山岳ステージの割合が増えており、さらにチャレンジングなイベントになる可能性があります。