ダカールラリー2023レポート No.2 ダカールラリー前半戦終了
GRダカールハイラックスT1+は3台が総合トップ5で折り返し、
N.アル-アティヤ/M.ボーメル組が総合首位を堅守

2023.1.10(火)- 18:00配信

2023年の元日にスタートし、サウジアラビアを舞台に戦われているダカールラリー2023は、全14ステージ中のステージ8までを終え、首都リヤドで恒例の休息日を迎えました。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)から参戦している3台のGRダカールハイラックスT1+は、難コースでライバル勢がアクシデントに見舞われる中、大きなトラブル無く着実な走行を続け、ディフェンディングチャンピオンのナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組が総合首位を堅守。ヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組が総合2位、ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組が総合5位と好位置につけており、2連覇へ向け、TGR3台のGRダカールハイラックスT1+は、揃ってトップ5で後半戦へと折り返すこととなりました。

【ステージ5】
1月5日(木)のステージ5は、ステージ4に続きハイルを起点とするループステージの設定で、SS距離373km、総走行距離645.04kmで争われました。
このステージでは、ステージ2で勝利し、ステージ3で総合トップに躍り出たアル-アティヤ/ボーメル組が、今大会2度目となるステージウィン。2位との差を22分36秒へと広げました。
一方、TGRの他の2台にとってはやや厳しい一日となりました。ラテガン/カミングス組はステージ序盤、路面の轍への激しい着地で、タイヤのビード(タイヤをホイールリムへ固定する箇所)がホイールリムから外れるアクシデントに見舞われタイムロス。ステージ終盤にも同様の事態に陥りかけましたが、幸運にも再度の着地時にタイヤが再びはまり、2度目のタイヤ交換には到らずフィニッシュ。ステージウィンのアル-アティヤ/ボーメル組から12分33秒遅れの6位で、総合では57分58秒遅れの5位の座を守りました。
ド・ヴィリエール/マーフィ組も苦戦した一日でした。クルマにも、ドライバーにも厳しい、首や体力に負担のかかる荒れた路面に翻弄されながらも、トップから19分44秒遅れのステージ8位、総合では7位をキープしました。

【ステージ6】
1月6日(金)のステージ6は、ハイルから南東へ向かい、アル=ダワディミへと向かう予定でしたが、アル=ダワディミのビバーク地が豪雨により水没したため、この日は、2ステージ後に向かう予定だったリヤドへとビバーク地を変更。SSは358kmと、100kmほど短縮されましたが、SS終了後は300kmもの長いリエゾンでリヤドへ移動することとなりました。
前日のステージ5で勝利を挙げたことで、先頭スタートとなったアル-アティヤ/ボーメル組はこの日も好走を見せ、2日連続で、今大会3度目となるステージ勝利を飾りました。
この日は今大会の大きなターニングポイントとなる一日でもありました。TGRクルーと総合上位を争っていた、上位4台のうちの2台がステージ中盤で激しくクラッシュ。うち1台はコ・ドライバーの負傷によりリタイア。もう一台も大きく順位を落とすこととなりました。また、プライベーターとしてGRダカールハイラックスT1+を駆り総合3位を走行していた、ヤジード・アルラジ/ダーク・フォン・チッツェビッツ組もトラブルに見舞われタイムを失いました。
多くの車両がトラブルに見舞われる、荒れたコンディションのステージ6でしたが、首位を行くアル-アティヤ/ボーメル組はフィニッシュまで10km地点でパワーステアリングのトラブルに見舞われた以外、大きなトラブル無く好パフォーマンスを見せ、後続との差を広げることに成功しました。
ラテガン/カミングス組は、トラブルに見舞われたアルラジ/チッツェビッツ組の車両にスペアパーツを提供しましたが、大きなタイムロスにはならず、首位のアル-アティヤ/ボーメル組から8分52秒差の3位でフィニッシュ。上位勢の脱落もあり、ラテガン/カミングス組は総合2位へと一気にポジションを上げました。
ド・ヴィリエール/マーフィ組は、ステージの大半で好走を見せていたものの、リアダンパーを破損、さらに、砂丘をジャンプで越えた際にフロントディファレンシャルにダメージを負い、そこから後のステージを後輪のみの2WDで走らざるを得なくなりました。また、残り40km地点ではパワーステアリングのトラブルにも見舞われるなど苦しい戦いを強いられましたが、首位から36分41秒遅れでフィニッシュ。総合4位へと浮上しました。
アルラジ/チッツェビッツ組が上位から脱落したものの、TGRのGRダカールハイラックスT1+が1-2位と4位、そして、3位にもプライベーターのルーカス・モラエス/ティモ・ゴットシャルク組のGRダカールハイラックスT1+がおり、GRダカールハイラックスT1+は4台がトップ5につけています。

【ステージ7】
1月7日(土)のステージ7は、リヤドから、再び長いリエゾンでアル=ダワディミへと戻り、当初予定されていた逆のルートとなるSS区間333km、総走行距離861kmで戦われました。ステージ7と8は、急遽連続のマラソンステージに設定され、アル=ダワディミに小規模なビバークを設け、2時間のみのサービス(車両整備)が許可されることとなりました。
サービス時間が限られるため、大きなトラブルは絶対に避けなくてはならないこのステージで、TGR勢最速だったのはド・ヴィリエール/マーフィ組。前日のステージ6で多くのトラブルに見舞われたことで、この日は26番手と後方スタートとなり、遅い車両を何台も追い抜きながらの走りを強いられましたが、ステージ勝利を飾ったGRダカールハイラックスT1+のプライベーター、アルラジ/チッツェビッツ組から11分21秒遅れの4位でフィニッシュし、総合順位でも4位をキープしました。
前日、総合2位に浮上したラテガン/カミングス組はステージ序盤にパンクに見舞われたものの、トップから13分26秒遅れの6位でフィニッシュし、総合2位の差を守りました。
総合首位を行くアル-アティヤ/ボーメル組は、首位から19分12秒遅れの14位でフィニッシュ。それでも総合2位のラテガン/カミングス組とは1時間以上の大差を保ち首位を堅守しています。
ステージ7のフィニッシュ後は、アル=ダワディミのゴール地点から95kmほど移動し、リヤドからも240km離れた地点に設けられたサービスパークで、「リモートサービス」と呼ばれる2時間のみの整備が行われ、前半戦最後の戦いとなるステージ8への準備を整えました。

【ステージ8】
1月8日(日)のステージ8は、アル=ダワディミ付近に設けられた仮設のマラソンビバークからリヤドへと戻る、SS距離346km、総走行距離822.94kmで競われました。
岩場の厳しいコースで、多くの車両が苦しむ中、アル-アティヤ/ボーメル組は首位に2分11秒差の2位でフィニッシュ。この結果、アル-アティヤ/ボーメル組は2位に1時間3分46秒の大差の首位でダカールラリー2023の前半戦を終えることとなりました。
総合順位でアル-アティヤ/ボーメル組に続くラテガン/カミングス組も、首位から4分53秒遅れと僅差でステージを4位フィニッシュし、総合2位をキープ。TGRのGRダカールハイラックスT1+が1-2体制。そして、3位にプライベート参戦のモラエス/ゴットシャルク組が続き、GRダカールハイラックスT1+はトップ3を占めています。
ド・ヴィリエール/マーフィ組は序盤2度のパンクに見舞われ、搭載している2本のスペアタイヤを使い切ったことで、その後は新たなトラブルなく完走を主眼とした慎重な走りを強いられ、首位から29分44秒遅れの21位でフィニッシュ。総合順位は5位へと後退しました。それでも、TGRのGRダカールハイラックスT1+は、3台揃って総合トップ5で後半戦へと折り返すこととなりました。

【休息日】
1月9日(月)、ラリーはリヤドで恒例の休息日を迎えました。ドライバーはここで休息を取り、後半戦へ向けての英気を養います。一方で、テクニカルクルーにとっては、マラソンステージを含む残る6ステージへ向け、車両を完全に整備し直すための、忙しく、重要な一日でもあります。
今大会の休息日には、FIA会長モハメド・ベン・スレイヤム氏がリヤドのビバークを訪れ、ドライバー、コ・ドライバーやチーム関係者との時間を過ごしました。

来たるステージ9より、ダカールラリー2023は後半戦へと入ります。ステージ9はリヤドをスタートし、ハラドへ。そして、そこからラリーは「エンプティ・クォーター(空白地帯)」と呼ばれるルブアルハリ砂漠を舞台とする、マラソンステージ(スタッフサポート無しでの2日間連続ステージ)を含む3ステージで争われることになります。そして、東海岸へと向かい、1月15日(日)にダンマームでフィニッシュを迎えます。

ダカールラリー2023 休息日(ステージ8まで終了)時点の総合結果:

総合順位 ドライバー/コ・ドライバー(車両/チーム) 首位との差
1位#200 ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル
(トヨタ・ハイラックス TOYOTA GAZOO Racing)
2位#217 ヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス
(トヨタ・ハイラックス TOYOTA GAZOO Racing)
1時間3分46秒差
5位#205 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ
(トヨタ・ハイラックス TOYOTA GAZOO Racing)
2時間4分20秒差

休息日のコメント:
チーム代表 グリン・ホール:
休息日と名付けられてはいますが、実際の所、我々にとってはビバークで忙しく働かなくてはならない一日です。残る6ステージへ向けて、車両をベストな状態に戻すためのメンテナンスを施すことがとても重要です。W2RCの他のラウンド以上のステージがまだ残っていますし、ミスを犯さないことを心掛けます。

ナッサー・アル-アティヤ(No.200):
休息日は、毎回このイベントの重要なポイントです。ここからフィニッシュまで、まだ残りは長いですが、現時点で我々には大きなリードがあることはわかっていますし、ここからの6ステージでこれを守り抜かなくてはなりません。GRダカールハイラックスT1+はここまで頑張ってくれましたし、十分な自信があります。

ジニエル・ド・ヴィリエール(No.205):
前半戦は、パンクで多くの時間を失ってしまったので、残りのステージでは、もっとパンクが少ないことを願うばかりです。ここまで、サバイバルモードという慎重に走らざるを得ない形になることが多く、タイムを失いましたが、エンプティ・クォーターの砂漠地帯でアタックして、運に恵まれれば更なる上位浮上も可能だと思います。

ヘンク・ラテガン(No.217):
総合2位で休息日を迎えられたというのは、我々にとって夢のような結果です。とは言え、今大会の最長ステージを含め、まだ多くのステージが残っています。何が起こるかわからないのがラリーですが、現時点での結果にはとても満足しています。