ダカールラリー2024レポート No.3 TOYOTA GAZOO Racing、
ラリー後半戦で苦戦も、総合3位で残り2ステージへ

2024.1.18(木)- 18:00配信

サウジアラビアを舞台に1月5日(金)から全12ステージ、2週間で争われているダカールラリー2024も後半戦に入りました。この「世界一過酷なラリー」では、後半戦も変わらずタフな路面状況での激しい争いが繰り広げられています。
TOYOTA GAZOO Racingは今回、新規定にあわせて改良したGRダカールハイラックスEVO T1Uの5台体制で参戦。1月17日(水)の第10ステージを終えた時点で、ルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン組が総合3位を走行。後続からの激しい追撃の中、総合での表彰台獲得へ向け健闘を続けています。
また、ベテランのジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組が総合8位、ダカール初出場ドライバーのガイ・ボッテリルと経験豊かなコ・ドライバーのブレット・カミングス組が総合9位と、5台中3台がトップ10圏内。ダカール史上最年少ワークスドライバーの一人として初めてのダカールに挑む、18歳のサオード・ヴァリアワとフランソワ・カザレ組、そして、T1クラスへステップアップした期待の21歳のセス・キンテロ/デニス・センツ組も走行を続け、この過酷なラリーでの経験を積み重ねています。

【ステージ8】
1月15日(月)のステージ8は、アルダワディミのビバークからハイルへ、競技区間は458km、総走行距離678km。砂丘主体から石の多い路面に変わり、パンクのリスクも高い、難しいコースでした。
TGR勢最上位の総合3位につけるモラエス/モンレオン組は前日のステージ7で2位フィニッシュと好調。このステージ8もスムーズな走行を続けましたが、コースを切り拓いていく役目を強いられることになり、最終的には首位と9分51秒差の7位でフィニッシュ。総合3位を堅守しました。
キンテロ/センツ組は総合争いからは脱落したものの、W2RCポイント獲得のために走り続けており、このステージ8では首位と7分52秒差の5位フィニッシュ。シーズンを戦っていく上で貴重なW2RCポイントを1点追加しました。
2009年のダカールウィナーであるド・ヴィリエール/マーフィ組はクリーンな走行を続け、ゴール付近の荒れたセクションでのパンクを嫌いタイムロスしましたが、首位と10分18秒差の9位でフィニッシュし、総合5位をキープ。
ルーキーのボッテリル/カミングス組は18位フィニッシュ。好調な走行を続けるも、ステージ最後にパンクを喫し2分をロス。砂丘での経験が少ないボッテリルですが、このステージでは速いライバルを追走し、多くの経験を積みました。
同じくルーキーのヴァリアワ/カザレ組は、第7ステージをトラブルで大きく順位を落としたことで、後方からのスタートとなり、埃の多い中での走行を強いられたましが、クリーンな走行で首位から18分9秒遅れの19位。総合では20位につけています。

TOYOTA GAZOO Racingは、ステージ2のクラッシュによりスペイン人ライダー、カルロス・ファルコンが逝去されたことを悼み、彼のご家族と友人に心から追悼の意を表します。彼の訃報を悲しみとともに受け止めましたが、彼の精神はダカールラリーのような競技を戦う全ての競技者に生き続けていると信じています。

【ステージ9】
1月16日(火)のステージ9は、ハイルからアルウラへと向かう競技区間436km、総走行距離661kmのロングステージ。序盤の砂丘から、後半は岩の山越えなど、ナビゲーションの難しいステージでした。
この日TGR勢最速だったのはルーキーのボッテリル/カミングス組。クリーンな走りでトップと10分1秒差の5位でフィニッシュ。モラエス/モンレオン組も、ステージの大半を上位グループと共に走行し、首位から11分3秒遅れの7位とまずまずの結果で、総合3位の座を守りました。
一方、ド・ヴィリエール/マーフィ組は快調なスタートを切りましたが、ステージ中盤のウェイポイントでミスしタイムロス。折り返す前に次のウェイポイントを通過してしまい、ステージは首位から19分14秒差でフィニッシュしたものの、ウェイポイント不通過による15分のペナルティを加算され、総合では5位から8位へとポジションダウンを余儀なくされてしまいました。
ヴァリアワ/カザレ組はステージ8に続き着実な走りを見せました。水圧センサーのトラブルに見舞われ、確認のため停止しタイムを失いましたが、それでも首位から19分50秒差の13位でフィニッシュしました。
W2RCポイント獲得のために走行を続けているキンテロ/センツ組は、ステージ9ではナビゲーションに苦戦し、加えてメカニカルトラブルでペースを上げることができず、20分21秒遅れの15位と無念の結果に終わりました。

【ステージ10】
ステージ10はアルウラのビバークをスタート/ゴールとするループステージで、競技区間371km、総走行距離612km。この日はゴールへ向けて総合上位争いを繰り広げている、TGRを含めた多くの競技者にとって厳しい一日となりました。
この日TGR勢で最速フィニッシュを果たしたのはヴァリアワ/カザレ組。着実に学びながらペースを上げてきた彼らは、首位から13分1秒遅れの11位でフィニッシュしました。
今大会、TGR勢を引っ張り総合での表彰台を争っているモラエス/モンレオン組は2度のパンクに見舞われスローダウン。また、燃料圧力系統のウォーニングも発生しましたが、迅速にシステムリセットを行ったことで復帰し、チームメイトから1分29秒遅れの12位でフィニッシュ。総合3位のポジションを守りました。総合4位とは25分ほどの差となっており、残り2日間、これを守り切っての表彰台フィニッシュを目指します。
ステージ9で速さを見せたボッテリル/カミングス組は、この日は運に恵まれず、序盤からナビゲーションのミスでタイムを失い、首位から20分ほど遅れての19位。総合では9位につけています。
ド・ヴィリエール/マーフィ組はステージ中盤で2度のパンク。スペアタイヤを使い切り、後半は慎重なペースでの走行を余儀なくされました。彼らのGRダカールハイラックスEVO T1Uはリアダンパーに関する実験的なセッティングを試していましたが、そのことでハンドリングが乱れ、パンクに陥ったと考えられます。ド・ヴィリエール/マーフィ組は首位から26分56秒遅れの23位でフィニッシュ。総合順位では、9位のボッテリル/カミングス組から7分ほど前の8位。
キンテロ/センツ組はこのステージ、ロードブックにない急な崖越えに遭遇し、ハードな着地を強いられた結果、両方のリアダンパーを破損。修復不可能なダメージだったため、チームのテクニカルトラックによるアシスタンスを待つこととなりました。この日はデイリタイアとなりましたが、車両修復後にラリーには復帰し、最後の2日間もW2RCのポイント獲得を目指しアタックすることとなります。
キンテロとセンツは、走行不可能になった直後、崖の上で後続に危険を知らせ、多くのクルーが同じ状況にならないようサポートしました。チームにとっては残念な結果となりましたが、ダカールラリーの精神とも言える彼らの仲間意識に敬意を表します。

2週間にわたり戦われているダカールラリー2024も残すところ2ステージ。ステージ11はアルウラからサウジアラビア西海岸のヤンブへ向かいますが、岩の多いロングステージが残っており、最後まで気の抜けない戦いが続きます。

ダカールラリー2024 ステージ10 終了時点の順位(T1Uクラス):

総合順位 ドライバー/コ・ドライバー(チーム) 首位との差
3位#206 ルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン
(TOYOTA GAZOO Racing)
1時間02分44秒差
8位#209 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ
(TOYOTA GAZOO Racing)
2時間17分20秒差
9位#243 ガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス
(TOYOTA GAZOO Racing)
2時間24分26秒差
18位#226 サオード・ヴァリアワ/フランソワ・カザレ
(TOYOTA GAZOO Racing)
5時間47分25秒差
43位#216 セス・キンテロ/デニス・センツ
(TOYOTA GAZOO Racing)
66時間52分49秒差

ステージ10終了時のコメント:
シャミア・ヴァリアワ(SVR:シャミア・ヴァリアワ・レーシング代表):
ひとつだけ言えるのは、ダカールラリーで確実なことなど何もないと言うことです。今日のステージでも我々のクルーは難しい戦いを続けており、それは明らかです。このタフな戦いを続けているクルーを誇りに思います。残りは2ステージのみですが、良い結果を期待しています。我々のGRダカールハイラックスEVO T1Uはダカールラリーという困難な舞台でも十分に戦えるということは証明されました。残りの2日間も楽しみです。

アラン・デュハディン(TGR W2RCチーム代表):
今日の結果はやや期待外れに見えるかも知れませんが、ルーカスとアルマンドのパフォーマンスには満足しており、明日のトリッキーなステージへ向け、完璧に近いスタートポジションを得ることができました。同時に、セスとデニスは危険な崖からの転落でリアダンパーを破損しましたが、そのことを後続のクルーに警告し、真の仲間意識を示してくれました。チームとして、我々はセスとデニスのトラブルから学び、さらに「もっといいクルマづくり」にその知見を活かしていきます。

ガイ・ボッテリル(No.243):
今日も非常に難しいステージでした。スタート順が早かったこともあり、序盤からコースを見つけるのに苦労しました。450kmもの競技区間の間、岩が多くミスを犯しやすいコースで砂埃の中を走らざるを得ず、とても大変でした。しかし、ペースは悪くなかったと思いますし、我々の速さは総合成績には現れていませんが、我々はずっとアウディ勢と一緒に走っていました。ルーカスは我々の前を走っていましたが、彼らがパンクを喫したためパスしました。残念ながら、序盤に大きくタイムをロスしてしまいました。

ルーカス・モラエス(No.206):
我々にとって、今日のステージは緊張の連続でした。2度パンクしましたが、ずっと同じように走っていたので、正直なところ、どこでパンクしたのかわかりません。そして、ゴールまであと10kmというところで車が止まってしまいましたが、システムをリセットして、また走りだすことができました。なんとかまだ我々はこのポジションにいますし、好調です。総合3位を守るために残り2ステージも戦い続けます。おそらく今日のトラブルで8分くらい失ったと思いますが、何もなければトップ5には入れたでしょう。でも今日の結果により、明日へ向けては絶好のスタートポジションにつけることができました。我々を総合順位で追っているライバル勢が前からスタートするので、彼らのペースを見ながら走ることができるでしょう。

ジニエル・ド・ヴィリエール(No.209):
タフなステージでした。リアダンパーを変えてみたのですが、それがさらに厳しい結果となりました。セッティング変更は効を奏さず、スタートして僅か30kmほどで2回のパンクに見舞われてしまいました。スペアタイヤを使い切ってしまったので、その後はペースを大幅に落として慎重に走らざるを得ませんでした。他にどうすることもできませんでした。

サオード・ヴァリアワ(No.226):
スタートして10kmほどでパンクに見舞われ、タイヤを交換しました。その時にゲラン・シシェリ(Overdrive Racing)に抜かれ、その後はずっと彼らと一緒に走りました。その後、彼らもパンクしたために今度は我々が前に出ることになりました。60kmから80kmほど一緒に走ったあと、彼らがペースを上げましたが、私は肩の痛みに苦しんでおり、ペースを落とさざるを得ませんでした。体調は良くなってきましたが、まだ肩が痛いです。

セス・キンテロ(No.216):
全てが順調で正しいコースを走行していました。しかし、ロードブックにない危険なポイントがあり、大きな段差を落下して激しくヒットしてしまいました。上位勢が通過したときにはじいた岩が我々に当たったのだと思います。落下自体はそれほど激しくありませんでしたが、岩にヒットしたことで今日の我々のレースは終わってしまいました。それほど激しい衝撃では無かったのに、リアダンパーが2本とも壊れてしまいました。その後、後続が同じミスを犯さないよう、1時間か2時間、その場所で座っていました。今日は望んでいた一日にはなりませんでした。

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