// 2019 season

レポート

ダカールラリー2019 レポート

第41回ダカールラリーが終幕した。
今年のラリーは、100パーセントペルーの地で行われ、参加者には無限に広がる砂丘地帯や、パウダー状の砂地や岩場などで構成された全10ステージが用意された。スタートラインに立ったのは100台でスタートしたラリーであったが、約5000kmにも及ぶ総走行距離を完走できたのは半数であった。
2019年はトヨタグループにとって多くの勝利を獲得したシーズンになった。トヨタガズーレーシングサウスアフリカ(TGRSA)のドライバーで自身3度目の勝利となったナッサー・アル-アティヤとナビゲーターのマシュー・バウメル組(301号車)が、トヨタとして歴史的初タイトルとなる4輪部門総合優勝をもたらし、チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)は、クリスチャン・ラヴィエル/ジャン・ピエール・ギャルサン組(350号車)が1位でゴールし、市販車部門に於いて6連覇を達成した。
さらに、トラック部門に参戦した日野チームスガワラの菅原照仁/羽村勝美組(510号車)は、排気量10リットル未満クラスで10連覇を成し遂げた。
ハイラックで参戦したGeneral Financing Team Pitlaneのベネディクタス・ヴァナガス組(330号車)は惜しくもトップ圏外の11位となり、ランドクルーザーで参戦したFOJモータースポーツのザビエル・フォッジ組(352号車)は、非軽量進化クロスカントリー部門で2位を獲得した。

総走行距離約5000km。ペルーの砂丘地帯を走破する、ダカールラリー2019は、トヨタにとって記録に残るものとなった。
参加者はノンストップの砂山、山塊、突然現れる岩場、フェシフェシ(パウダー状の砂地)に幾度となく直面し、マシンもその真価を問われた。

ダカールラリー2019は、1月7日ペルーの首都リマでスタートを切った。リマから海岸沿いに南下し、参加者を待ち構えていたのが、イカの砂丘地帯であった。ステージ1の終盤戦になると、TGRSAの3チーム ― ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・バウメル組(301号車)、ジニエル・ド・ヴィリエール/ディルク・フォン・ジッツウィッツ組(302号車)、ベルンハルト・テン・ブリンケ/ザビエル・パンセリ組(309号車)― 全員がトップ10位以内に入り、無事にイカの砂地を通過。TLCの三浦昂/ローラン・リシトロイシター組(349号車)とクリスチャン・ラヴィエル/ジャン・ピエール・ギャルサン組(ゼッケン350号車)は、初日から市販車部門1・2位のポジションを確保した。そして、大幅に改良しテストを重ねていた新型車両で挑んだ日野チームスガワラの菅原照仁/羽村勝美組(510号車)と菅原義正/櫻井亜仁組(517号車)も、順調にステージ1をクリアした。

ステージ2。ペルーをさらに南下し、果てしなく広がる砂の海でのコースがメインだった。多くの車両がフリップやスタックを起こし走行が難しい砂丘を、TGRSAのハイラックはトップ10位争いを繰り広げ、TLCも市販車部門1位・2位を維持した。惜しくも、ダカールのレジェンド菅原義正/櫻井亜仁組(517号車)は、ステージ2で戦線離脱となってしまった。

ステージ3。景色が変わり始めた。しばらく谷間を走行し選手が安堵していた束の間、前日に巨大な砂丘を越えたにもかかわらず、今度はフェシフェシが参加者の行く手を阻んだ。土から巻き上げられるパウダー状の微粉が視界を覆い、それがマシンに入り込みトラブルを発生させた。マラソンステージのステージ4は、メカニックによるテクニカルサポートは禁止されていた。ドライバーとナビゲーター自らが自分たちで工具を扱い整備点検を行わなければならなかった。そんな状況下においても、バラエティに富んだペルーの地形が、多くの車両に影響を及ぼしていた。ラリー中盤にして、すでに残っているクルマは69台となり、2007年以来の最低台数を記録した。伝統的にラリーの厳しさが年々増すなかで、この時点でまだ6台のトヨタ車しかリタイアしておらず、トヨタ車のタフネスが一層輝きを増していた。

ダカールラリーの折り返し地点。TGRSAの301号車は、総合1位のポジション完全に支配していた。TLCの349号車と350号車は、市販車部門ワン・ツー態勢を維持していた。
日野チームスガワラは排気量10リットル未満クラスで1位を堅持していた。

ラリーの後半戦がスタート。スタート地点のリマに再び戻るべく北へ走行。後半戦初日から巨大なループコースへ突入し、既に通過したエリアも再び走行しなければならなかった。見慣れた景色が広がっているとはいえ、ステージ6の最も難易度の高いタナカの砂丘が今回のラリーの過酷さを物語っていた。TGRSAのナッサー・アル-アティヤと/マシュー・バウメル組(301号車)は。巧みにこの難所を乗り切り、総合1位を守るべくこのステージを2位で通過した。
ゴール地点のリマまで、ひたすら北へ向かい走り続ける。毎日の激しい体力の消耗や、激しい砂丘、山塊、軟らかい砂が、参加者を苛立たせていた。不運にも、ステージ8が、TGRSAのジニエル・ド・ヴィリエール/ディルク・フォン・ジッツウィッツ組(302号車)にとって最終ステージとなってしまった。
TGRSAは、最終ステージ前のステージ9の段階で、ナッサー組(301号車)がリードを守るべく、ジニエル組(302号車)がナッサー組のサポートへ回り近くで一緒に走行していた。この作戦が功を奏し、このステージではナッサー組がトップで走破し、ジニエル組は3番手でゴールした。

リマまで残り112kmのショートスプリントにもかかわらず、この短いステージでさえも気まぐれなダカールラリーはドラマを起こしていた。幸いにも、自信を持ってクルマを信頼していたトヨタチームにとって、そのようなドラマは最終日には起こらなかった。TGRSAのジニエル組(302号車)は先を走るナッサー組(301号車)より1時間前に出発し、砂丘に通り道をナッサー組(301号車)の為に準備をした。勝利を確実にするための戦略は、冷静且つ計算尽くされていた。
結果、それがダカールラリー2019でトヨタにとって歴史的な初総合優勝へ繋がった。

ナッサー・アル-アティヤとナビゲーターのマシュー・バウメル組(301号車)は、ハイラックスに完全な自信を持ってラリーを制覇し、最小限のダメージで終えた。ジニエル・ド・ヴィリエール/ディルク・フォン・ジッツウィッツ組(302号車)は、ラリーの大半をナッサー組のサポート役に徹したものの、トップ10位以内でゴールし、ジニエルは、彼の過去15回ダカールラリー参戦中14回完走は果たした。
TLCは市販車部門で常に優位を保ち、6連覇を成し遂げた。
日野チームスガワラは、トラック部門で総合9位に入賞し、排気量10リットル未満クラスで10連覇を達成した。
100%ペルー開催のダカールラリー2019は、今回ラリーに参戦した車両の半分以下が完走を果たし、史上最も過酷なラリー1つとなった。
トヨタ車27台が参戦し、複数の勝利をもたらし、最終的には16台が完走した。その事実は、過酷な状況でさえも、そのクルマの品質、耐久性と信頼性の全てを示すものであった。

トヨタガズーレーシングサウスアフリカ(TGRSA)

チーム代表のグリン・ホール

ダカールで勝利を収めることは決して容易いことではありません。実際、毎年多くの人が挑んでいます。今年も例外ではなく、チームに感情のジェットコースターと素晴らしい結果をもたらしてくれました。この優勝は長い間お預けにされていた感覚でしたので、ようやく獲得でき非常に嬉しく思っています。

301号車

左:ナッサー・アル-アティヤ
右:マシュー・バウメル

ドライバー: ナッサー・アル-アティヤ

自分たちの勝利だけではなく、トヨタとTGRSAチーム全体にとってもダカールで優勝することができ、最高に幸せです。関わる全て人たちが、長い間熱心に努力を重ねてきた結果であると思っています。このクルマを私たちに運転させていただき、ありがとうございます。

302号車

左:ディルク・フォン・ジッツウィッツ
右:ジニエル・ド・ヴィリエール

ドライバー: ジニエル・ド・ヴィリエール

もちろん私たちはラリーに勝つためにここに来たわけですが、その夢へ挑戦が終わった今、ナッサー選手とマシュー選手の奮闘を支えることができたことに喜びを感じています。もし自分たちが勝つことができないとわかった時、次の最善策はチームの一員としてチームメイトを勝利へ導くことだと思っていますので、今回の最終結果にはとても嬉しい気持ちでいっぱいです。

チームランドクルーザー・トヨタオートボデー

349号車

左:ローラン・リシトロイシター
右:三浦昂

ドライバー:三浦昂

市販⾞部門6連覇を支えることができたこと、そしてペルーを開催国に含むダカールラリーで初めて2台そろってのゴールを迎えることができたことに喜びを感じています。私たち2台のランドクルーザーも厳しい局面に何度か遭遇しました。競技中は2台で協力して日々のゴールを目指し、キャンプ地に到着すれば必ずメカニック陣がランドクルーザーを最高の状態に整備して翌日のスタートを切らせてくれました。チーム全員になんとしても2台でゴールするという強い意思が共有されていたので、最後までクルマを信じてステアリングを握ることができたと感じています。そして応援してくださった皆さんの⼒が2台そろってのゴールへの自信になったことは言うまでもありません。ご声援ありがとうございました。

350号車

左:ジャン・ピエール・ギャルサン
右:クリスチャン・ラヴィエル

ドライバー:クリスチャン・ラヴィエル

ワン・ツーフィニッシュで市販車部門6連覇という最高の形で表彰台にあがることができ、最高の気分です。前回大会で無念のリタイアとなり、この1年はその悔しい想いを忘れることなく、トレーニングを重ねてきました。ペルーの砂丘コースは今回もものすごく難しく、パンクやスタック、部品などのトラブルに何度もあいながらも、2号車と協力し、ときには2号車に助けられ、またメカニック陣による完璧な整備を受けながらゴールすることができました。最高のチームです。TLC を応援してくださる皆さん、支援をしていただいている皆さんに感謝いたします。

日野チームスガワラ

510号車

左:羽村勝美
右:菅原照仁

ドライバー: 菅原照仁

今回は、新型車両で毎年上位の大型勢と戦いました。新たな課題を感じる一方、この先、どうするべきか、見えたところもあります。コースがハードになったからといって、完走狙いでは勝負にならない。今後も、リスクを冒した走りをしていかないとトップ争いに食い込むことは難しいと思います。