RACING CAR

SUPER GT 2016年 レース車両解説

シャシー&ボディ
ベース車両名称
LEXUS RC F
ボディサイズ
5010×1950×1150mm(全長×全幅×全高)
最低車両重量
1020kg以上
ホイールベース
2750mm
トランスミッション
6速シーケンシャル 後退1速
クラッチ
クアドラブルカーボンプレート(ZF製)
サスペンション形式
F:ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
R:ダブルウィッシュボーン プッシュロッドブレーキ
F:ベンチレーティッドカーボンディスク 6ポッド(AP製)
R:ベンチレーティッドカーボンディスク 4ポッド(AP製)
エンジン
エンジン型式
RI4AG
エンジン仕様
直列4気筒直噴ターボ
排気量
2000cc
最高馬力
550ps以上
さらの進化した参戦3年目のLEXUS RC F
今季はエンジンをメインに総合性能が向上
SUPER GTのGT500クラスは、2014年より新たな車両規定が導入された。カーボンコンポジット製のモノコックに、ベースモデルのシルエットを活かしたボディパネル(カーボン製のカウル)を被せるのは、それまでと同様だが、2014年からはドイツのツーリングカー選手権(DTM)との共通部品をGT500クラス参戦の全車が使用している。さらにミッションやブレーキ、リアウィングなども共通部品となった。一方、ボディのシルエットなどはベース車両のものが活かされ、デザインラインと呼ばれる車軸より下方で許される空力パーツとともに、車種間の差に繋がるポイントとなっている。
LEXUS勢がGT500クラスのベース車に選んだのはLEXUS RC F。2013年の東京モーターショーで発表されていたスポーツクーペのRCをベースにLEXUS SPORT Fの中核モデルとして開発された高性能クーペで、2014年10月から日本国内でも販売を開始した。したがって2014年のSUPER GTに参戦していたGT500クラスのLEXUS RC Fは、市販モデルよりも一足先にデビューしたことになる。
空力に関しては、ボディ上半分は規定によって基本的には手を加えることができず、より大きなダウンフォースを生み出すためにデザインラインより下半分に工夫が凝らされている。空力のセットは、通常の仕様に加えて、超高速サーキットである富士を想定した低ドラッグ仕様が用意されている。新規定の初年度である2014年には"ジョーカー"と呼ばれた追加仕様も許されたが、2015年は"ジョーカー"も認められず、さらに2016年シーズンでは、2015年と同じ空力仕様を年間を通じて使用することになった。
一方、エンジンに関してもGT500クラス車両は2014年から2リッターの直列4気筒直噴ターボという新しい規定となり、RI4Aが開発された。これはスーパーフォーミュラ用と基本設計は同じだが、SUPER GT用では吸排気を車輛に適応させた仕様とし"RI4AG"と名付けられた。
SUPER GTでは、これまでエンジンの吸気量を制限するエアリストリクターが使用されていたが、新規定では燃料の流量を制限することでパワーを制限する"燃料流量リストリクター"が採用されている。2015年シーズンは燃料の流量が100kg/h(時間当たり100kg)とされていたが、2016年シーズンは95kg/hと規制が強化される。
そのこともあって、新シーズンの開幕に向けてはエンジン開発によるアップデートは認められている。エンジン開発に当たっては、いかに少ない燃料で高いパワーを引き出すかという燃焼改善技術がテーマとなり、その技術は環境性能向上策として低燃費な市販車用のエンジン開発にも活かされている。