鈴鹿サーキットでFIA-F4選手権の第2大会(第4,5,6戦)が行われ、トヨタのスカラシップを受けてのシリーズ参戦2年目となる平良響(TGR-DC Racing School)が今大会の3レース全てを制し、第2戦から5連勝を飾りました。
10月23日(金)から25日(日)にかけて、三重県の鈴鹿サーキットでFIA-F4選手権の第2大会(第4戦、第5戦、第6戦)が行われました。
ジュニアカート等からステップアップするドライバーの育成を目的として2015年から行われている同シリーズ。今季は新型コロナウィルスの影響で開幕が遅れ、各大会毎に3レース、全4大会の計12戦で競われています。
今季の同シリーズには、TGR-DC RS(TOYOTA GAZOO Racing ドライバー・チャレンジプログラム レーシングスクール)のスカラシップドライバーとして、野中誠太(TGR-DC Racing School)、平良響、奥住慈英(TGR-DC Racing School)、清水英志郎(TGR-DC Racing School)の4名が参戦。野中と平良は同シリーズ2年目、共に17歳と若い奥住と清水は今季より本格的なフォーミュラカーレースデビューとなります。
20歳の平良は今月頭に行われた開幕大会(第1,2,3戦)の第2戦で自身初勝利を飾ると、第3戦でも連勝。ドライバーズランキング首位で第2大会に臨みます。
野中も勝利こそまだないものの、開幕大会の3戦中2回の2位を含む3連続表彰台に上り、ランキング2位。第6戦が行われる25日(日)に20歳の誕生日を迎える野中の初勝利が期待されます。
24日(土)午前8時半より予選が行われました。前日までは雨に見舞われた鈴鹿も、この日は朝から好天に恵まれ、気温16度、路面温度17度のコンディションで30分のセッションが開始されました。
32台という多くの車両が一斉にアタックに入る中、計測4周目に平良が2分8秒072をマークしトップに。さらに平良はタイムを詰めて行き、6周目には2分7秒台に入れて見せました。
その直後、130Rでクラッシュが発生し、セッションは赤旗中断。S字でも1台ストップしたため、この2台の回収作業が行われ、予選は残り8分で再開されました。
再開後の僅かなチャンスを狙い各車再コースイン。ここで、中断前はミスがありタイムを伸ばせなかった野中ら数台がベストタイムを更新しました。
平良は再開後のタイム更新こそ無かったものの、唯一の2分7秒台で盤石のポールポジションを獲得。ベストタイムで第4戦、セカンドベストタイムで第5戦のスターティンググリッドが決定されますが、セカンドベストタイムもトップにつけ、第2大会もダブルポール獲得となりました。
セッション再開後にタイムアップを果たした野中は第4戦、第5戦共に7番手。清水は第4戦15番手、第5戦14番手、奥住は第4戦16番手、第5戦15番手からスタートします。
予選終了から約4時間のインターバルを経て、午後12時50分から第4戦の決勝(11周)が行われました。気温は20度に上昇し、秋晴れの過ごしやすい気候の中でレースのスタートが切られました。
ポールポジションの平良は好スタートで首位を堅守。7番手グリッドの野中は、エンジンストールした目の前の車両をかわすと、その後も抜群のダッシュを決めて4位へとジャンプアップを果たしました。
1周目の最終シケインで3台が絡むアクシデントが発生し、セーフティカーが導入。4周終了でセーフティカーが退去し5周目からレースが再開されると、平良はこの再スタートも決め首位を守りました。
その後方では4位の野中が、ライバルと三つ巴のバトルを繰り広げ、ストレートでは3ワイドのバトルの末、3位へと浮上。
その後、首位の平良には、2位の車両が食い下がり、2台は1秒ほどの差で周回を重ねることとなりましたが、それ以上は近づかせず、トップチェッカー。ポール・トゥ・ウィンで3連勝を飾りました。
野中は後続からスリップにつかれるなど猛追を受けましたが凌ぎ切り3位でフィニッシュ。開幕から4戦連続での表彰台獲得となりました。
奥住は16番手スタートから2つ順位を上げて14位フィニッシュ。清水はスタートして間もなく電装系のトラブルに見舞われリタイアに終わりました。
第5戦決勝(11周)も、第4戦終了から3時間ほどでの開催と、FIA-F4参戦者にとっては忙しい一日となりました。直前のSUPER GT予選での遅れが影響し、予定よりも10分遅れの午後4時10分、大きく西に傾いた日差しで完全に日陰となったホームストレートに全車が整列し、レースが開始されました。
ポールポジションの平良はここでもホールショット。野中も4位へと浮上しました。
15番手スタートから清水をかわしひとつポジションを上げていた奥住が、S字コーナーの2つめでコースアウト。コースへと復帰しようとした際に他車と接触し、多重クラッシュが発生しました。
結果的に4台が絡むこととなったこの多重クラッシュによりレースは赤旗中断。車両排除のための長い中断を経て、残り7分でレースは再開されましたが、再開後のセーフティカー走行中にレース規定の30分を経過したため、レースはセーフティカー先導のままチェッカー。赤旗が振られる前の順位でフィニッシュとなりました。
この結果、平良が今季4勝目。野中は4位となり、連続表彰台記録は4でストップ。清水は13位となりました。
明けて25日(日)も朝から快晴。第6戦は第4戦のベストタイムでグリッドが決定されました。平良が最前列2番手、野中5番手。トラブルでリタイアした清水が28番手、奥住は第5戦でのクラッシュによるペナルティで最後尾31番手からのスタートです。
午前9時45分、気温18度、路面温度21度のコンディションで決勝レース(11周)のスタートが切られました。最前列2番手、イン側の平良が好スタートを決め、ポールポジションの車両を抑えてトップで1コーナーへ。その後方では5番手スタートの野中も得意のスタートで3位へとポジションを上げました。
首位平良の後方には、ほぼ同ラップタイムでライバルが追いすがりましたが、3周目にそのライバルがS字でクラッシュ。また、3位を走っていた野中もデグナーでコースアウトし、13位まで大きく順位を落としてしまいました。
2位車両の脱落により、後続との差が4秒と広がり楽になった平良は、その後もじりじりと差を広げていき、約6秒差をつけてトップチェッカー。第2戦から5連勝を飾りました。
13位まで順位を落とした野中は8周目に12位、10周目に11位へと浮上。ポイント圏内の10位を目指し追撃を続けましたが、僅か0.3秒及ばず11位でフィニッシュ。28番手、31番手と後方スタートとなった清水と奥住も着実に順位を上げていきそれぞれ15位、19位でチェッカーを受けました。