ツインリンクもてぎでFIA-F4選手権の第3大会(第7,8,9戦)が行われ、トヨタのスカラシップを受けてのシリーズ参戦2年目となる平良響(TGR-DC Racing School)が3レース全てで1度も首位の座を譲らずポール・トゥ・ウィンの完全制覇。シリーズ記録タイとなる、第2戦からの8連勝を達成しました。
11月6日(金)から8日(日)にかけて、栃木県のツインリンクもてぎでFIA-F4選手権の第3大会(第7戦、第8戦、第9戦)が行われました。
ジュニアカート等からステップアップするドライバーの育成を目的として2015年から行われている同シリーズ。今季は新型コロナウィルスの影響で10月に開幕。各大会毎に3レース、全4大会の計12戦で戦われており、早くも3大会目を迎えて後半戦に入りました。
今季の同シリーズには、TGR-DC RS(TOYOTA GAZOO Racing ドライバー・チャレンジプログラム レーシングスクール)のスカラシップドライバーとして、野中誠太(TGR-DC Racing School)、平良響、奥住慈英(TGR-DC Racing School)、清水英志郎(TGR-DC Racing School)の4名が参戦。20歳の野中と平良は同シリーズ2年目、共に17歳と若い奥住と清水は今季より本格的なフォーミュラカーレースに参戦しています。
平良は第2戦で自身初勝利を飾ると、続く第3戦、そして第2大会の3レースも全て制し5連勝。2位に大差をつけたドライバーズランキング首位で今大会に臨みました。
7日(土)午前8時20分より30分間の予選が行われました。太陽が顔を覗かせる好天ながら気温11度と肌寒い中、各車はセッション開始と同時にコースイン。33台ものアタックにより混雑するコース上で、じっくりとタイヤを暖め、タイムを更新していきました。
平良は序盤から暫定トップを維持。8周目のアタックでライバルに上回られるも、11周目に1000分の6秒これを更新し、トップタイムを奪還。セカンドベストタイムもトップで、第7戦、第8戦共にポールポジションを獲得しました。
野中はトップ5圏内を狙える位置を僅差で争っていましたが、終盤トラブルに見舞われ早めにピットインしアタック終了。第7戦、第8戦共に8番手。奥住は両レース13番手、清水が18番手となりました。
予選が終了してからわずか2時間弱のインターバルで、午前11時40分より第7戦の決勝レース(13周)が行われました。この間に気温は18度、路面温度は20度まで上昇。ポールポジションの平良は着実にスタートを決め、1コーナーにトップで飛びこみましたが、立ち上がりで僅かにコースオフ。ライバルに並びかけられるも、なんとか抑えきり、首位をキープしました。
1周目、後方でコース上に止まった車両が出たためセーフティカーが導入。4周目に再スタートが切られました。トップの平良は首位を維持。8番手グリッドからスタートした野中は、スタートで2つポジションを上げた後、5周目には5位へ。
レースは7周目に再び後方グループの接触によりセーフティカーが入り、10周目に再スタート。この再スタートも危なげなく決めた平良は残り4周を逃げ切り、ポール・トゥ・ウィンで6勝目を挙げました。
2度目のセーフティカーランからの再スタート時、4位を走行していた車両がスピンしたことで4位へと上がった野中は、その後3位争いを制し、3位でチェッカー。今季5度目の表彰台を獲得しました。
清水は18番手スタートから1周で13位へ、翌周もひとつポジションを上げると、セーフティカーランからの再スタートでもライバルをかわし、10位へ浮上。その後も6台ほどでの激しい順位争いを繰り広げ、10位でフィニッシュ。第3戦以来のポイント獲得を果たしました。
奥住は13番手スタートから1周目に10位まで上げると、その後は9位で周回を重ねましたが、終盤、バトル中の接触でタイヤがパンク。ピットへ戻りレースを終えました。
この日2度目のレースとなる第8戦決勝(13周)は午後3時25分に開始。ここでもポールポジションの平良がスタートを決めましたが、2位の車両も離されることなく、トップ2台が後続を引き離していく展開となりました。
6周目にはまたも後方グループの接触によるセーフティカー導入となりましたが、平良は再スタートを決めると後方とは1秒ほどの差を保ってトップチェッカー。FIA-F4開催初年度に坪井が記録した6連勝を抜く7連勝を達成しました。
8番手スタートの野中はスタートで5位へとジャンプアップ。しかしその後は、新品タイヤを投入したライバル勢との抜きつ抜かれつのバトルを繰り広げることとなり、7位でチェッカーを受けました。
奥住は13番手スタートから1周目に10位へ順位を上げ、最終的に10位でポイント獲得。18番手スタートの清水も奥住に続く11位でフィニッシュしました。
8日(日)も好天に恵まれ、朝から気温はどんどん上昇。午前9時からの第9戦決勝(13周)は、気温、路面温度共に19度というコンディションで開始されました。
第9戦のスターティンググリッドは、前日行われた第7戦のベストラップで決定され、平良がポールポジション。野中が6番手、奥住、清水は12,13番手からのスタートとなりました。
平良はこのレースも盤石なスタートを決めると、途中出されたセーフティカーからの再スタートも決め、2位との差を1.5秒ほどに保ったまま危なげなくトップチェッカーを受けました。これで平良は、FIA-F4シリーズでの記録となる8連勝に並びました。
野中は6番手スタートから1周目に5位、11周目に4位へと順位を上げてフィニッシュ。奥住は12番手スタートから1周目に9位に上がると、トップ10圏内でのバトルを繰り広げ、9位でポイント獲得を果たしました。清水は13番手スタートからひとつポジションを上げたものの、12周目のバトルでコースアウトを強いられ、14位でレースを終えました。
今大会の結果、TGR-DC Racing Schoolは最終戦を待たずしてチームタイトルを確定。TGR-DC Racing Schoolとしての参戦1年目でのチームタイトル、トヨタの育成チームとしてはFIA-F4初年度の2015年以来のタイトル獲得となりました。