Formula Regional Japanese Championship(FRJ)の第3大会(第7戦、第8戦、第9戦)がモビリティリゾートもてぎで行われ、TGR-DC育成ドライバーとして同シリーズに今季より参戦する小山美姫(SUPER LICENSE)が3レースともポールポジションから一度も首位を譲ることなく、後続を大きく引き離しての完全制覇を果たしました。
7月2日(土)、3日(日)の両日、栃木県のモビリティリゾートもてぎでFormula Regional Japanese Championship(FRJ)の第3大会(第7戦、第8戦、第9戦)が行われました。
FRJはFIA-F4の上位に位置するカテゴリーとして、国際自動車連盟(FIA)で制定された規定に則り、2020年より日本国内でJAF地方選としてスタートしたフォーミュラレースシリーズです。未来のトップドライバーを目指す若手のためのステップアップカテゴリでもある同シリーズに、今季はTGR-DC(TOYOTA GAZOO Racing ドライバー・チャレンジ・プログラム)の支援ドライバーとして、小山がフル参戦します。
今季の同シリーズは、全6大会、そのうち5大会は1大会3レース制で行われ(最終戦のみ2レース制)、全17戦でチャンピオンシップが争われます。
小山は4月の開幕大会を2位2回、3位1回の3連続表彰台で終えた後、前大会岡山の第5戦で初優勝。第6戦も連続勝利を挙げ、その勢いに乗って、2週連続での開催となった今大会に乗り込みました。
予選
日本中が猛暑に見舞われたこの週末、会場のモビリティリゾートもてぎでもその例に違わず、2日(土)午前9時の予選開始時点で気温30度を超える暑さとなりました。その中で15分ずつ2回に分けて、予選セッションが開始されました。
予選1回目、小山は他車と同じくセッション開始と共にコースインし、3周目にただ一人1分50秒台に入れ、トップへ浮上。4周目以降もタイムを縮め、6周目には1分50秒398という好タイムを出し、ライバルとの差を広げました。
このセッションラストラップとなった8周目も、1000分の2秒タイムを更新。このセッションのベストタイムで決定される第7戦、セカンドベストタイムで決定される第9戦共に、2位以下をコンマ5秒以上引き離しポールポジションを獲得しました。
10分間のインターバルを経て行われた予選2回目は、ライバル勢がセッション開始と同時に出走したのに対し、3分ほどピット内で待機し、アタックを遅らせる作戦に出ました。
この予選2回目では路面状況の改善等もあってか、ライバル勢も4周目には1分50秒台に入れてきました。小山はそれを上回るペースとなる3周目に早くも1分49秒台に突入。その後も1分49秒台を連発する速さを見せ、2位以下をコンマ7秒以上引き離す圧倒的なタイムで3戦全てポールポジションとなりました。
第7戦決勝
予選終了から2時間ほどのインターバルを置き、午前11時40分より第7戦の決勝レース(16周)が行われました。この時点で気温36度、路面温度も49度と予選よりもさらに暑さが増し、車両やタイヤ、何よりもドライバー自身に厳しいレースとなりました。
ポールポジションの小山はスタートを確実に決め、1周目に2位と1秒の差をつけて戻ってくると、2周目には早くも1分51秒491をマーク。その後も後続との差を一周コンマ5秒近く広げていきました。
7周目には2位との差を3.8秒まで広げましたが、8周目に後方車両が1コーナーでコースアウトし、グラベル上でストップ。これでセーフティカーが導入され、各車両間のマージンはリセットされました。
10周目に再スタートが切られると、小山はこれも上手く決め、再び周回毎に差を広げる展開に。トップ2台が後続を10秒以上離す展開となりましたが、小山は2位を3.5秒引き離してトップチェッカー。前大会から3戦連続の勝利を飾りました。また、この勝利は小山にとってフォーミュラで初のポール・トゥ・ウィンとなりました。
第8戦決勝
2日(土)は2回の予選と2回の決勝が行われるという過密スケジュール。第8戦決勝は第7戦終了から約4時間のインターバルを置き開催されました。この間に空はやや雲がかかり、気温も僅かに下がったものの、それでも気温34度、路面温度43度と厳しいコンディションで、各ドライバーはこの日4度目の走行に臨みました。
FRJは1大会3レースのイベントに3セットのタイヤを使用できます。通常は予選の各セッションで1セットずつ新品タイヤを使用するため、決勝3レースのどれか一回に新品を投入でき、どのレースに新品タイヤを投入するかも大切な戦略となります。小山はライバルの動向を見て、この第8戦に新品タイヤを投入しました。
午後4時25分から16周の決勝レースが予定されていましたが、フォーメーションラップ中にコース上に停まった車両があったため、スタートがディレイとなり、午後4時34分、予定より1周減算の15周でスタートが切られました。
ポールポジションの小山はここでも好スタートで首位をキープし、1周目に2位と2秒近く差をつけると、続く2周目には早くも1分50秒台に突入。その後方では激しい2位争いが繰り広げられて接触が発生しました。その間も小山はペースを崩さず、3周目には2位との差は7秒、4周目には10秒にまで広がりました。
レースが折り返す頃には2位との差は15秒以上になっていましたが、小山は孤独な走りの中でさらにペースを上げ、9周目には自身が2周目にマークしたファステストラップを更新。その後も毎周ファステストラップを更新し、ファイナルラップでは攻めすぎて90度コーナーで僅かにコースオフするシーンも見られましたが、小山は最後まで攻め続けて、2位に24秒もの大差をつけて独走優勝を飾りました。
第9戦決勝
3日(日)も朝から暑くなり、気温33度、路面温度41度と相変わらずの暑さの中で午前9時40分から第9戦決勝(16周)が行われました。
このレースでは、2番手グリッドの車両が温存していた新品タイヤを投入したため、ユーズドタイヤ装着の小山とどのような争いを繰り広げるか注目されました。ポールポジションの小山はここでも好スタートを決めると、1周目に2位と0.8秒の差をつけ、その後も1周ごとに約コンマ5秒ずつ差を広げていきました。
4周目には1分51秒098のファステストラップをマーク。その後も1分51秒台をキープし、着実に後続との差を広げていきました。最終的に小山は2位と約11秒の差をつけてトップチェッカー。酷暑のもてぎを3戦連続ポール・トゥ・ウィンで完全制覇しました。
小山はこれで前大会から5連勝。シーズンの前半戦を終え、ドライバーズランキングでも2位との差を59ポイントと、シリーズチャンピオンへ向けて大きくリードを広げました。