シリーズ後半戦の主役へ、初代チャンピオンと若手注目株が名乗り
標高900mに位置するオートポリスは、山間部ゆえに天候が急変しやすく、また霧に悩まされることもある。しかし86/BRZ Race第5戦が行われた8月1日~2日の週末は、雲ひとつない晴天となり、太陽が近くに感じるほど強い日差しがサーキット全体を焦がしていた。
プロフェッショナルシリーズのエントリーは31台。やはり年間を通じてフル参戦するチームがほとんどだからだろう。その数は他のサーキットと比較してそれほど減っていない。
2015年シーズンも、後半戦に突入。ここまで圧倒的な強さを見せるチャンピオン#1谷口信輝選手が3勝、ベテラン#60服部尚貴選手が1勝となった。今シーズンから新たにシリーズ参戦を始めた#906阪口良平選手、#770山田英二選手、#34佐々木雅弘選手は、十分な速さを見せているものの、勝利には届いていない。
後半戦はどのような展開になるのか?? それを占う意味でも重要なレースとなった。
予選、#7山野直也選手が先頭にコースインすると、その最初のアタックで山野選手が予想を上回るトップタイムをマーク。次々とライバルがアタックをするものの、山野選手には届かず。満を持して登場した谷口選手も3位に終わり、山野選手のポールポジションが確定した。
決勝レースでも山野選手らしい走りを披露。ポールポジションからスタートを決め、2位争いが激化する中で、トップを独走。レース中盤にはペースを落す余裕を見せ、見事な勝利を挙げた。2013年第5戦の十勝スピードウェイ以来、2年ぶりの勝利は、ポール・トゥ・ウィンしかもファステストラップという完全勝利となった。
熱いバトルを繰り広げたのは2位争いだった。予選2位の#557大西隆生選手がスタートで遅れたのを、3位スタートの谷口選手が見逃すはずはなく、並んだままで第1コーナーへと進入。その隙を#97近藤翼選手が突き、谷口選手のインを刺す。その結果2位に近藤選手、3位が大西選手、勢いを落した谷口選手は服部尚貴選手にも抜かれ、5位へとポジションをダウンしてしまった。
しかし谷口選手がランキングトップの意地を見せ、4周目に服部選手、6周目に大西選手を捕らえて3位へ復帰。そして近藤選手との攻防戦が始まる。激しく迫る谷口選手を、ギリギリで抑える近藤選手。その争いはチェッカーフラッグまで続いたが、この争いは近藤選手が制した。
初代チャンピオンである山野選手の復活によって、シリーズ後半戦は新たな局面を迎えた。注目の第6戦は8月23日、北海道の十勝スピードウェイで開催される。
決勝結果 プロフェッショナル
- Rank
- Driver
- Car name
- Total time
- Gap
-
- 1位
- #7 山野 直也
- CABANA P.MU 86
- 22'38.504
- -
-
- 2位
- #97 近藤 翼
- 神奈川トヨタ☆DTEC86R
- 22'45.762
- +7.258
-
- 3位
- #1 谷口 信輝
- KTMS 86
- 22'46.385
- +7.881
-
- 4位
- #906 阪口 良平
- AREA86倉敷
- 22'46.750
- +8.246
-
- 5位
- #557 大西 隆生
- オートバックスG786ポテンザ
- 22'48.459
- +9.955
あえてプロフェッショナルシリーズを選んだドライバーたちに注目
今シーズンから2つのシリーズに分かれた86/BRZ Race。クラブマンシリーズにはプロドライバーは参加できないが、逆にプロフェッショナルシリーズには制限がない。つまりアマチュアドライバーでも、望めばプロと戦えるのだ。今回はそんな2人のドライバーを紹介しよう。
#5後藤比東至選手は、記念すべき2013年の86/BRZ Raceの開幕戦でポールポジションを獲得したドライバーだ。レース経験は豊富で、昨シーズンもプロドライバーと対等に戦ってきた。あえてプロフェッショナルシリーズを選択したのは、自分のスキルアップを目指しているからだ。プロドライバーと同じレースで戦うからこそ、得るものがある。
今回は予選22位からスタートし、激しいバトルを繰り広げながら21位でゴール。結果だけみれば厳しく見えるが、結果が全てではない。プロにチャレンジし続けることに意義があるのだ。
#81井上尚志選手もまた、あえてプロフェッショナルシリーズへ参戦している。その理由は単純明快「やっぱりプロドライバーと戦って、勝ちたいですよね」。前戦のスポーツランドSUGOではトップ10入りを狙える予選順位を獲得したものの、1周目にアクシデントに巻き込まれてしまい、リタイヤとなった。大きく損傷したマシンの修復には時間がかかると判断し、急遽ニューマシンを仕立てて、今回のオートポリスに望んだ。
新車ということで硬さが残るのか、予選は24位。巻き返しを決意して望んだ決勝レース、1周目のヘアピン進入で後続車から追突されてしまい、2戦連続のリタイヤとなった。「これもレースなんですよ、仕方ないですね」と諦めモードだったが、しかし次戦でのリベンジを期待してみよう。
GR 86/BRZ Race 決勝インカームービー
【左上】2位近藤選手/フロント・【右上】3位谷口選手/フロント【右下】3位谷口選手/リア