阪口選手執念のポールポジションも実らず
シーズンも押し迫った第6戦。北海道の十勝スピードウェイはすでに秋の風が吹き、実際に最高気温が20℃に満たない日が続いていたという。湿度も低くヒンヤリとした十勝スピードウェイに集結した、プロフェッショナルシリーズのエントリーは28台。
しかしこの涼しい空気とは裏腹に、プロフェッショナルシリーズのチャンピオン争いは大詰めを迎えている。ここまの5レース全てで上位入賞を果たしポイントリーダーである#1谷口信輝選手は、93ポイントで他を大きくリードしている。2位の#906阪口良平選手は67ポイントで、全戦でポイントを獲得しているもの優勝はしていない。3位の#97近藤翼選手は49ポイントで、ここで1ポイントでも獲得しないとチャンピオンの可能性が消える。
このレースで谷口選手が優勝すればチャンピオンが決まる。それ以外にも、ランキング上位選手の結果によっては、谷口選手が阪口選手よりも前でゴールすれば、決まるケースもある。阪口選手としては、何としても谷口選手の前でゴールしたいところだ。しかしそうした背水の陣の時こそ、本当の強さが出る。
厚い曇り空の下、タイヤを温めるのに2周を費やす選手もいたほどの低い路面温度で行われた予選は、#34佐々木雅弘選手、#17織戸学選手、#369平中克幸選手とトップタイムが更新されるなか、#30青木孝行選手がただひとり1分35秒台を記録する。
予選後半にアタックすることを決めていたのは谷口選手。青木選手を上回るタイムをマークし、ポールポジション獲得といういつものパターンとなった・・・かに見えた。しかしその直後、阪口選手が谷口選手を0.202秒上回り、見事に逆転した。
執念のポールスタートで決勝を迎えた阪口選手。しかし、スタートでのホイールスピンにより谷口選手、青木選手にオーバーテイクを許し、3位に順位を落してしまう。ライバル阪口選手との間に青木選手が入ったことで、谷口選手としては余裕のレース展開に見えた。
だが1周目で2.101秒もの大きな差を作った谷口選手も、少しずつ青木選手に迫られていく。4周終了時点では0.803秒に、8周終了時点では0.317秒とぴったり後ろに付く。青木選手は何度もチャンスを伺い、ファイナルラップまで0.2秒以下という接近戦が続いたものの、オーバーテイクは難しく、谷口選手が逃げ切り優勝。
この優勝によって、残り2戦を残し早くも谷口選手が2015プロフェッショナルシリーズのシリーズチャンピオンに決定した。
阪口選手はレース後半、#202蒲生尚弥選手に抜かれ、4位に。また地元の声援を受けた平中選手は、今シーズン最上位の5位でレースを終えた。
決勝結果 プロフェッショナル
- Rank
- Driver
- Car name
- Total time
- Gap
-
- 1位
- #1 谷口 信輝
- KTMS 86
- 22'52.332
- -
-
- 2位
- #30 青木 孝行
- ケーエムエスADVAN86R
- 22'52.526
- +0.194
-
- 3位
- #202 蒲生 尚弥
- ASICS Blue 86R
- 22'53.370
- +1.038
-
- 4位
- #906 阪口 良平
- AREA86倉敷
- 22'53.550
- +1.218
-
- 5位
- #369 平中 克幸
- GY RACING 86
- 22'55.575
- +3.243
フェリーで神戸から参戦!遠征の楽しみを聞いてみた
86/BRZ Raceが始まった2013年から、3年連続でフェリーで十勝へと遠征してきた#557大西隆生選手。オートバックスカラーの目立つカラーリングのマシンを神戸から、舞鶴から小樽までの新日本海フェリーを利用し、自走で十勝まで走らせている。勤務しているオートバックスを閉店時間後に出て、帯広のホテルに到着するのは約28時間後くらいだという。自分で走って来るからこそ、途中の小旅行を楽しみ、地産のモノを楽しむこともできる。
「フェリーを利用するのは、やっぱり予算の関係ですね。キャリアで運ぶとお金がかかるので。基本的にヒマです(笑)。何もすることがないので、車載カメラの映像を見たりして、ぼんやりして過ごしています。フェリーでは携帯電話が圏外でつながらないので、会社から電話がかかってくることがないし、そういう意味では日常から離れてリフレッシュできるのがメリットですね。またナンバー付きレースですから遠方でも自走が基本だと思います。その分レースでもぶつけないよう気を付けますしね。」
86/BRZ Raceのもうひとつの楽しみ方
今回は「WEB観戦招待券」を持参すると入場が無料になるほか、特設の屋台では十勝のグルメとして「牛スジカレー&炙り豚丼」サービスが実施され、香ばしい臭いに多くの人が並んだ。また前戦に引き続き、グリッドキッズを実施。子供たちが自分でグリッドフラッグに思い思いの文字やイラストを入れ、決勝のスターティンググリッドに立ってもらう企画だ。子供たちのハンドメイドのフラッグに、熱いバトルを繰り広げるドライバーも和んでいた。
GR 86/BRZ Race 決勝インカームービー
【左上】1位谷口選手/フロント【右上】2位青木選手/フロント【右下】3位蒲生選手/フロント