2010年3月 7日(日)配信

2008年NASCAR特集

第5回 NASCARの聖地、シャーロットを訪ねて その2もっと知りたいNASCARの世界 第5回 NASCARの聖地、シャーロットを訪ねて その2

NASCAR人気を牽引するロウズ・モーター・スピードウェイ
NASCARの魅力を引き出す巨大なコース

  NASCAR産業の中心地、アメリカ南部ノースカロライナ州シャーロット。そのダウンタウンからインターステイト85号線を約15マイルほど北上すると、右手に巨大な建物が見えてきます。これがNASCARの聖地シャーロットの総本山、ロウズ・モーター・スピードウェイです。   ロウズ・モーター・スピードウェイは、1周1.5マイルの距離を持つクアッド・オーバル(Quad-oval=四角い楕円形)のレイアウトで、ターンの傾斜角は最大で24度。1周まるまるフルスロットルで駆け抜けることが可能で、1周の平均スピードは時速約185マイル(=約298km/h)にもなるNASCAR屈指の超高速オーバルコースです。コース幅も広く、コーナリング中にマシン2台が並走する"2ワイド"はもちろん、時には"3ワイド"での高速バトルも展開され、レースがいっそう白熱します。
 1.5マイルのオーバルトラックをグルリと囲む観客席は合計16万7000席とNASCAR開催コース屈指の席数を誇り、インフィールドにはさらに5万人もの観客数を確保できるスペースを保有しています。NASCARの最高峰スプリント・カップのレース開催日には、合計16万人以上がスピードウェイに訪れるというわけで、超満員に膨れ上がった決勝日は見るも圧巻です!

ロウズ・モーター・スピードウェイ薄暮に照明が点灯し始めるレース直前
いまや大人気のナイトレースを初めて実現
1.5マイルのオーバルトラック

 好バトルを演出するコースレイアウトもさることながら、ロウズ・モーター・スピードウェイは1959年のオープン以来、常に時代の最先端の設備を真っ先に導入してきたコースとしてもよく知られています。中でも有名なのが、1992年に現代のNASCARとして初めてナイトレースを導入したことです。1.5マイルのコースの内側と外側の両方に巨大な照明装置を設置して開催されたナイトレースは、いまやNASCARの定番となりましたが、このロウズ・モーター・スピードウェイから始まったナイトレースが、今日のNASCARを単なるレースイベントから"スポーツエンターテイメント"へと押し上げた最たる要因となったことは疑いようもない事実です。  

新しいレース観戦のスタイルを次々と提案

 このほか、1984年にはターン1の外側に40部屋の常設コンドミニアムを建設。つまり、スピードウェイ内に自分の部屋を持つことができるようになったのです。レース開催中に、自分の部屋のリビングから観戦ができるというこの夢のような試みは、全米のみならず世界のレース界から多くの注目を集めました。現在、その部屋数は52室にまで拡大。その後、全米の多くのスピードウェイがこの試みに追従していったのです。
 続く1988年にはグランドスタンド最上階にラグジュアリー・スイートを新設しました。空調の効いた部屋でゴージャスなソファーに座って食事やアルコールを楽しみつつレース観戦ができるこのスイートルームでの観戦スタイルも、その後オーバルレースのトレンドとなっていきました。

グランドスタンド
First Turn Codominiums
NASCARとともに常に時代の最先端に

 そして、現在のロウズ・モーター・スピードウェイという名称もまた、全米のオーバルコースとして初めてネーミングライツ(施設命名権)を、地元ノースカロライナに本拠地を置く米大手ホームセンター、ロウズ社に販売してシャーロット・モーター・スピードウェイという旧称に代わって名づけられたものなのです。
 他にも、1990年に上映され大ヒットを飛ばしたNASCARを題材にしたハリウッド映画『デイズ・オブ・サンダー』の撮影も行われ、数年前に大ヒットしたアニメ映画『カーズ』のプレミア上映会が行われたものここロウズ・モーター・スピードウェイです。常に時代の最先端を走り、NASCARのオーバルコースのトレンドを多く作り出してきたコースなのです。

NASCARオールスターレースの唯一の開催地

 現在、ロウズ・モーター・スピードウェイではNASCARスプリント・カップのレースが年間2回開催されています。伝統の「インディアナポリス500」と同日に開催されるシリーズ最長で有名な600マイルレース、「コカコーラ600」と、シーズン終盤に行われる「バンク・オブ・アメリカ500」の2レースです。他に、「コカコーラ600」の1週間前に優勝賞金100万ドルを賭けて争われる「NASCARオールスターレース」も行われています。全米で、NASCARスプリント・カップがエキシビジョンを含めて3回も行われるのは、NASCARのヘッドクォーターが置かれているデイトナ・インターナショナル・スピードウェイと、ここロウズ・モーター・スピードウェイのみ。NASCARにとって、このスピードウェイがいかに重要な位置を占めているかがわかるかと思います。
  ちなみに、このロウズ・モーター・スピードウェイはトヨタがオフィシャルビークルサプライヤーを務めるサーキットでもあり、同様のサーキットとしては他にはインフィニオン・レースウェイ(カリフォルニア州ソノマ)などがあります。
 レースが行われる週末は、シャーロット一帯がレース一色に染まります。スピードウェイの外側にあるマーチャンダイズエリアはファンであふれ返り、ハイウェイにはスピードウェイに向かう車が何マイルにもわたって列を作るのはシャーロットではお馴染みの光景です。シャーロットっ子自慢のスピードウェイ、それがロウズ・モーター・スピードウェイなのです。

絶好のロケーション ラグジュアリー・スイート マーチャンダイズエリアも大混雑
NASCAR特集 Index
NASCAR特集Index
第1回 NASCARってなあに 第2回 NASCAR人気の秘密
第3回 夢と憧れのスプリント・カップドライバー 第4回 NASCARの聖地、シャーロットを訪ねて その1
第5回 NASCARの聖地、シャーロットを訪ねて その2 第6回 写真で見るNASCARカーの秘密
第7回 2008年シリーズ中盤レビュー 第8回 後半戦の大きな見どころ、The Chaseとは?
第9回 オーバルトラックの秘密 第10回 チェイスを戦うトヨタ・ドライバー
第11回 NASCARを日本で楽しもう 第12回 NASCAR終盤戦、白熱するチャンピオン争い
第13回 チーム・ファクトリー最前線 第14回 トヨタのNASCAR最前線基地、TRD Competition Drive
第15回 2008年シーズンレビュー スプリント・カップ・シリーズ編 第16回 2008年シーズンレビュー ネイションワイド/クラフツマン・トラック・シリーズ編

All photos are courtesy of Toyota Motorsports.