コース形状のほかに、オーバルトラックは、1周のコース距離によっても分類されています。1周1マイル以下のオーバルトラックが「ショートトラック」、1マイル~2マイルまでのコースが「インターミディエイトトラック」、そして2マイル以上のコースは「スーパースピードウェイ」と3つに区別されます。 「ショートトラック」は「ショートオーバル」とも呼ばれ、ドライバーは毎周毎ターンごとにブレーキングをしながらの走行を強いられ、マシン同士の接触も多く見られます。1周が0.533マイルのブリストル・モーター・スピードウェイや0.526マイルのマーティンスビル・スピードウェイは、毎戦マシン同士の接触でクラッシュが多く発生するコースとしても有名で、それがNASCAR観戦の醍醐味であり、ショートトラックの魅力だというファンもいるほどです。 一方、「インターミディエイトトラック」は「ハイスピードオーバル」という別名が示すとおり、走行中は常にアクセル全開。NASCARマシンの本来のスピードを実感することができます。さらにコース距離の長い「スーパースピードウェイ」は「インターミディエイトトラック」以上のスピードが出るのですが、さすがにそこまでスピードが出ると危険なので、今ではエンジンの吸気口にリストリクタープレートと呼ばれる部品が取り付けられ、エンジンの出力が制限されます。この規則はデイトナとタラデガのレース時のみ適用され、このデイトナとタラデガでシーズンそれぞれ2戦ずつ、計4戦行われるレースだけは別名「リストリクタープレートレース」と呼ばれています。 リストリクタープレートによって、出場すべてのマシンのエンジン出力はほぼイコールになるため、レースは常に20~30台が一団となり、毎周のように激しく順位が入れ替わる大激戦となります。ただし、同じ「スーパースピードウェイ」でも1周2.5マイルのポコノ・レースウェイだけは、ターンの角度がきついことでスピードがそれほど上がらないため、リストリクタープレートを装着せずにレースを行っています。 |