大逆転!ホーム富士でGRスープラ戴冠!
モタスポコラム その28 2021.12.06
ただいま!無事に今シーズン終了です!
富士より帰還。誰もが(⁉)いや、もちろんGRスープラ陣営は諦めてなかったと思いますが、チャンピオン1号車STANLEY NSX-GTの連覇は堅いと思われていた最終戦、既報の通り36号車au TOM'S GR Supraがチャンピオン獲得!という大団円でシーズンの幕を閉じました。おめでとうございます。
レース展開で16ポイント差がひっくり返り大逆転となった最後の戦いは、当初は優勝と共にタイトルまで獲得したので、見ていて何か実感のないまま時が過ぎていき、テレビのライブ中継をご覧になった方はおわかりかと思いますが、ピットのあちこちでお祝いをしていたら、坪井翔選手をお迎えに行くのをみんなが忘れてしまっていたという(笑)。これも今回のエピソードとしてみなさま記憶しておきましょう!今、何度も録画を見直してレースの復習をしております。では、振り返ります。
いつも通りの設営も私は現場が今季最後なので、初日からとても感慨深かったですね。チームのみなさんは、オフにもテストがありますのでこの手慣れた搬入・設営は続きますけどね。
午前中は、このカテゴリーを大いに盛り上げてきた日産GT-RがGT500クラスでは最後ということで、記念撮影をしていました。邪魔しないように端っこで拝みした。来年は車両が変わるということで勇退とのこと。いつか戻って来て欲しい名車ですよ。翼端板のカラーリングは次のクルマでも続くのかな…。長い間、本当に強さを誇り君臨し憎らしいほど(誉め言葉)強いクルマでした。そんな日産勢が来季は新しいクルマでまた戻って来ますから、お疲れさま!カッコよかったぞ!次はお手柔らかに!
今後、SUPER GTも「カーボンニュートラル・フューエル」という呼称であらたな展開が待っています。車種が変わるのはその変化の一部の現れ。環境に対応していく変化は、GT500クラスは、2023年導入を目指していると今秋に発表がありました。新燃料など諸々を含め大いに変化を遂げるSUPER GTが今後も楽しみです。
サーキットは11月末ですから寒かったです。この時期にレースがあるのは昨年に続き異例のこと。陽が暮れるのも早く、西日はまぶしさを増し、マジックアワーの最終コーナー側のピットロードは美しかったです。SUBARUさん、初タイトルのかかった緊張のレースウィーク。タイトルかかったクルマを眺めると緊張しちゃいます。私だけ?(笑)。知り合いのチーフメカさんに声かけられなかったです珍しく。
1号車がピット作業の練習を遅くまでしていたのが印象的。連覇がかかっていますから、最後まで入念に準備。インパクトレンチの音が轟音となって冷たい空気を裂くように響いていました。
昨年と今年は最終戦が富士ですが、来年はまたツインリンクもてぎに戻ります。異例のスケジュールが元に戻るので、何もかも見納めかなと思い、寒かったですがずっと外にいました…。
晴天!金曜日の午後7時に東ゲートがオープン。お客様はサーキットに決勝日まで滞在が可能となりましたが、冬ですので夜は寒かったに違いありません…。小さなテントは観戦の風よけになったかな。富士スピードウェイで24時間レースが復活してから、観戦スタイルが変化して来たのを近年感じますね。そういうしているうちに午前9時、公式練習開始となりました。
GRスープラ勢がホームコースでようやく元気を取り戻しました。前戦で、GRスープラ陣営関係者の悔しがっていたお顔が脳裏をよぎりましたね。じっくり話したんですよね~、レースが終わってから。ただトヨタばかりが勝つわけでもない。他メーカーも沈んでばかりじゃない。結局、負けが込んでからどう動くのかがカギ。レギュレーションの中で出来るわずかなことを頑張り、メーカーの威信にかけても勝ち取る。ポイント差うんぬんよりホームで勝つことが目標だったのか良い感触でスタートです。
先般、WECからの勇退を発表した中嶋一貴選手。今回はテレビで解説の為、現場で取材。古巣のピットでしばし走行を眺め東條エンジニアとお話をされていました。
日中、二日間に渡りイベント広場では、コロナ対策を実施しながらブースの出展が行われましたが、久しぶりにトヨタくま吉くんがお仕事をしていた模様。魔法がとけたようですが、会いたかったですね…。
楽しみにしていたエアレースパイロット室屋義秀選手による「“Challenge for the FUTURE” Yoshi MUROYA × LEXUS Special Flight@ FUJI SPEEDWAY」も2日間開催。富士山をバックに見事なパフォーマンスを披露されていました。
コロナ禍で関係者やチーム関係者、そしてファンの皆様、日本のモータースポーツの火を絶やさないように頑張っているすべての人に「感謝」と「敬意」を表した“スペシャルフライト”との事でした。私は、元気がもらえるスマイルが見たくて飛来するのをピットビルで待ちました。強風で描いた線がみるみる崩れていきましたが、それでもお空でにっこりしていましたね。室屋さん、ありがとうございました!
メディアセンターからピットビルの端っこのGRスープラ陣営まで走っていって走行開始!で、コレ。だいたいこんなことがあると戦績が良いのは昔から。ご存じの方もいらっしゃるかも。情けないけどコレ前兆でしたね。タイトルが久しぶりですから、あれ?って思うも16ポイント差だから厳しいなと。だから前兆に気づいておりませんでした…。
さて予選は、Q1は、1号車の牧野任祐選手がトップで返ってきました。さすがタダスケ…でした。タイトルをどんなに確実視されていても貪欲に戦います当然だけど。そして38号車ZENT CERUMO GR Supra石浦宏明選手が、コンマ2の差で2番手。自信に満ちたお顔でした。そう、そうなのよ石浦くんってこう!と思いました。今季は苦労したので、うれしかったに違いありません。速さを見せてくれて、私もうれしかったです。
Q2は、14号車ENEOS X PRIME GR Supraのピットへ行き山下健太選手を送り出しました。ゆるく、ここまで良い感じです!とコメントをもらっていたので、このゆるさがいつも通りの速い健太と思っていたらやりました、ポールポジション獲得です!
さすがだなとまた言わせてくれました。阿部和也エンジニア、本当にうれしい!と声に出しておっしゃっていましたね。
1号車は、2番手に入りフロントローを獲得。GRスープラ勢が優勝したとしても、どのクルマがトップでチェッカーを受けるかによりますが、6位くらいに入ればタイトル確実と余裕のある状況となりました。あとは、レースは最後まで何が起こるかわからない…に気をつけるだけ。昨年、ご自身たちも2位のはずが、目前でトップの37号車がガス欠でタイトルが転がり込んで来ました。ですので、そのレースは最後まで…は、今更言うまでもないことでした。という訳で今季最後の予選終了。
昨日同様のフライトパフォーマンスの前に、サプライズが加わりました。スーパー耐久シリーズから水素エンジン搭載の「ORC ROOKIE Corolla H2 concept」を佐々木雅弘選手。 NSX(ハイブリッド)を武藤英紀選手、EVレーシングカー 「NISSAN LEAF NISMO RC」をミハエル・クルム氏がドライブと、現在と近未来を担うクルマの登場です。
先頭を「LEXUS LCコンバーチブル」で中嶋一貴選手と今シーズンをもってSUPER GTから引退する星野一樹選手が乗り込みました。そして“ダブル・カズキ”のクルマに坂東正明GTA代表も後部座席に乗り込んでパレードというサプライズが用意されていました。すぐフライトパフォーマンスとウォームアップ走行だったので、ピットビルに行って眺めました。写真、イマイチですが…。
2日目は、お客様を入れたら臨場感が増すかなと思いましたが、いかがでしょうか。とにかく素晴らしいパフォーマンスでした。
ウォームアップ走行時の緊張感がハンパなかったです。いつも通りかもしれませんが、逆に口を開けてぽかーんとしそうになりました。気を取り直して、短い時間で6台をいつも通り見て回りました(何が分かる訳でもないですけどね)。残りの5分は、ポールの14号車とタイトルに絡む36号車と予選3番手の37号車KeePer TOM'S GR Supraのトムスのピット…。最後のチェックですね。エンジニア、トラックエンジニアなどがドライバーからヒアリングをしてタイヤメーカーのエンジニアさん、TCDエンジンエンジニア、シャシメカニックなど全員総出で決勝に備えます。緊急事態がなければ人の出入りも少な目です(笑)。大勢いたら何かトラブルの解消とか新たに起きていたりとか、中の人の動きを見ているとなんとなくわかります。静観するのがセオリーかな。
〇決勝
やはり誰もがNSXでしょうとそんなムード。予選でポールポジションを獲得した14号車の2人もキセキが起きない限り、NSXでしょうと会見で発言するくらい…。 そしてレース前に私、山本尚貴選手にばったり遭遇し、頑張ってと言いました。GRスープラ陣営が優勝は手にするだろうけど、タイトルは厳しいかなと。レース前に、TCDさんが俺らは諦めてないからね!とおっしゃってきて、もうね、結果的にほんとごめんなさいです。彼は短い間で、シーズン中の負けを取り返そうときっと必死だったと思います。当たり前でしょうと怒られました(笑)。すみませんでした!
レースは、ご存じのように、決勝レース中、1号車はタイトル圏内を走行中にGT300クラスのクルマに追突され戦線離脱という悲劇が待っていました。ライバルという事など関係なく、こんな悲しいドラマは誰も望んでいませんでした。ピットへ戻った第2スティント担当の山本選手は、もちろんクルマを降りません。修復作業が終わればコース復帰できるレベルなのかもしれませんが、何か学ぶものを感じましたね。
コースへ戻れたら、最後まで何が起こるかわかりませんので、同じような事が起これば、タイトル争いの権利も復活し振り出しに戻るかもしれませんしね。レース終盤、牧野選手が涙を流しながらモニターを見ているシーンは、他チームの関係者でも胸を打つものがあったと後から言われ、その時はピットに向かって走っていたので、録画で見ましたが確かにうるっときました…。嗚呼…。
そして、36号車のピット。ここからは、あの時はこうだった記録…です(笑)。優勝を目指していましたが、そこへまさかのタイトルがついて来ました。大逆転の大勝となる訳ですが、関口選手がそわそわ(当たり前)。チームの司令塔のみなさんもさすがにタイトルまではと思っていた様子。メカニックたちも、しだいにそわそわから笑顔がこぼれ始めました。
関口選手、ピットの後ろの工具箱の上に座りモニターを眺めます。たまに手を合わせて祈ったり…。ファイナルラップ、メカニックがサインガードに走りました。関口選手、モニターを見たままだったので、「行かないの?」と声をかけたら慌てて降りてコントみたいに足を引きずりながら走って行きました。テレビカメラが狙っていたので、オンエアされると思います。
みんなで祝ったあと、胴上げされる関口選手。次は東條エンジニアの胴上げがピットで始まりました。うんうんうれしいね!あれ?あれあれ?なんか忘れてる?そうです、坪井選手はウィニングランも終わり、パルクフェルメにとっくに到着しているんです。戻ってきたら感動の抱擁をカメラにおさめる為、メディアの方々がスタンバイしています…。でも、ひとりぼっちのチャンピオンが映し出されたまま(笑)。
まあ、36号車も2009年以来の戴冠ですし、2台体制に戻ってからは37号車に先を越されていたのでうれしい訳です。2009年のタイトル獲得直後も実は大きなハプニングがありました。舘信秀総監督の奥様に、覚えてる?とさらっと言ってみたら覚えていました。書けないけど、やはり記憶に残るもんだなと思ってちょっと愉快でした。何はともあれ、シリーズチャンピオン獲得!おめでとうございました。
36号車の吉武聡エンジニア、メカニックのみなさん、おめでとうございます。ピンクのヘアのチーフメカのサミ(金二三)くんは、京都の出身でチームに加入して10年。覚えてますよ初めて現場で見た時のことを(笑)。機敏に動く背の高いコ…は現在も変わらず。以前はスーパーフォーミュラも兼務していました。タイヤ交換速かったね。チーフになって5年目。サミくんがチーフになったのを知った時、ん?何かの間違いだと思いました若すぎて。でも、世代交代も考えた人事ですね。クルマも見てタイヤ交換もしてとマルチな活躍をしています。
若手抜擢は、チームには経験豊富な重鎮もたくさんいて層の厚いチームになったので、これが強さの秘訣なのかなあ。サミくん憧れのチームのチーフになって初タイトル!これは感慨深いでしょうね。GRスープラ陣営、ほかに5台もいて身内だけでもライバル多くて大変。引き続き来季はゼッケン「1」で頑張ってください。
ピンクにして来て、後悔しているということですが、私は写真を探すのに目立って良いです。これも良い思い出になりましたね(笑)。
36号車関口選手は、記者会見でここまで遠回りをして来て、ついにタイトルを獲得したことで、支えてくれた方々に感謝の言葉を述べました。メーカー育成から海外に戦いの場を移し、日本に戻り他メーカーで頑張り、トヨタに復活しました。これだけでも沢山の方が彼を支えたのがよくわかります。
勝利に貪欲で、見ていておもしろいドライバーですが、ストイックな所がぶっきらぼうにも見えることがありました。戦うことは仲良しクラブではないので、彼のスタイルが好きです。苦労を知っているドライバーさんを見ると、どうしても応援したくなってね。彼が15歳くらいの時のこともよく覚えてますね。やーね(笑)。おめでとうございました。
坪井選手は今季元気がなくて本当に心配していました。勝手にそう思っていたのかなと考え直してみましたが、笑顔がだいぶ消えていました。速いドライバーさんなのにGTでは未勝利だったのが不思議。自信持ってどんどん突き進んで行って欲しいですね。
戦いをそう簡単に諦める訳がないので、ちゃんとお花も準備してありました!
最後にチームでワンツーをやってのけました。強すぎですね。2台共にエース。本当におそろしいチームになりましたよ。来季も期待しています!
ドライバーランキング、2位と3位はトップと4ポイント差で同ポイントです。2勝しているので、8号車が2位。1号車山本尚貴選手は、チームメイトの牧野任祐選手が開幕戦を欠場していてポイントが違うので彼だけになります。
笑顔の山本尚貴選手。あんなに悔しい思いをしたのにこんな結末…。ご自身100戦目の記念レースだったんですよね。奥様のツイートを拝見しましたが、悔しさを外に見せない姿も最後までチャンピオンだったなと。パルクフェルメで坪井選手におめでとうと声をかけ、チームへもおめでとうと言いに来たそうです。終わってからの彼のSNSの言動がまた素晴らしかった。全て賛同です。敢えて書きませんけどね。かっこ良すぎです!
そして、トムスの2台の総監督、舘信秀監督は、昨年悔しい思いをしたので、今回の彼らの気持ちがわかるということで粛々と喜びをかみしめたそう。みんなが最後までプロで、いろんな思いが交錯した最終戦、最後に寄せる言葉はありがとうですね。
そして私からも…、2021年無事にシーズン終了です!ありがとうございました!
大谷幸子の近況
書き足りないことがあるので、次に書きます!現場で取材協力をしてくださったみなさま、お世話になりました!今季はいろいろ大変でしたが、たくさんの方に助けられたシーズンでしたありがとうございました!では、また!