開幕目前!SUPER GT公式テストに行って来た! ~岡山国際サーキット現場レポート~
モタスポコラム その72 2024.03.29
目に新しく、あちこちで小さな騒ぎになっていた岡山での公式テスト。今年は特に変化が大きいのでそうなるわね~。毎回驚くんですホントに。こちらは搬入日のピットなど。
他にもあるのですが、このクルマたちは若手ドライバーが参戦する車両。18歳男子もおります。テストのワクワクが開幕までのルーティン。もちろん始まったらもっと多幸感が押し寄せますが、春が迫っているんですよね~。これは何年取材をしてきても私は変わらず。開幕、楽しみじゃないですか?
それまで一生懸命チームのみなさまは準備を重ねていきます。クルマ開発にレーシングスーツやらチームの備品もろもろの新調。開幕には全て“新品”で立ち向かいますので、テストではところどころまだ昨年仕様だったり、レーシングスーツはまだ制作中だったり、ピットの中もパーテーションがないので殺風景。そこはお許しくださいね。
岡山国際サーキットはもともと得意なサーキットでもありますので、順調にこなしていたTGR勢。テストはそれぞれメニューが違いますのでタイムを単純に比較できませんが、まあ順調に越したことはない。という訳で開幕目前のサーキットの様子を振り返ります。桜の開花予想も遅れている今年は、スーパーフォーミュラの開幕戦に続き、やっぱり寒く(やっぱりと言いたくないけど)、雨のサーキットでした。
〇搬入日
岡山県の中国山地の山の中かな、のどかな地域をぬけてサーキットに向かうのですが、ほんとのどかすぎて山道をドライブしていても他のクルマに遭遇することがないのですよ。昨年、初めて宿を取った場所と今年も一緒の兵庫県の街。今回も滞在しました。サーキットまで40分弱と本当に近いんです。大勢の業界人の滞在先は、かなり点在していますがその中でも近い方ですので助かっています。
搬入日朝にトヨタレンタカーへ行き、準備完了。そして出発間際思い出したことが…。そういえば鹿がたくさんいるので走行注意!と昨年言われたんですよね、トランポドライバーさんたちに。昨年はひとり移動で、夜道は恐怖しかなかったので鹿のことを忘れていました。峠を越えるくねくね道が怖いのですよ。理由はシンプル、暗いのが怖いだけ…ここだけ子どもの頃から進化ナシ。見える訳でもありません…何が(笑)。単なる怖がりね。昼間でも怖い時あります。どうしようもない…。
今回、夜帰る時に鹿に遭遇しました。かわいいとか言っている場合ではありません。数頭に3度くらい遭いましたが農作物に被害もありそうですし、ニコニコしている場合ではありませんがかわいかったです。前のクルマがスピードを緩め、鹿が行き去るのを待ちました。そんなのどかな風景が広がる山奥に岡山国際サーキットはあります。サーキットまでの景色は似ていますが、サーキットまでのルートはたくさんありますね。兵庫県の方向からは峠を越えないといけないかな。怖いから他のルートを考えましたが、えらく遠くなるので怖いけど頑張りました。
今回は、ホルモンうどんなどの岡山グルメはゼロでしたが、地元のスーパーなどに行き食材を見たりといった時間はありました。都会の物価高はどこへ?激安スーパーの中でも激安すぎて驚愕な値段。そんなショックもある出張でした。
では、チームごとに振り返ります。
岡山テストは結果だけ言えば36号車が絶好調ですね。山下健太選手が移籍してきましたが、精力的にマシンを走らせているのは彼でした。トムスのクルマに慣れてもらわないと!かな。ずっとタイミングモニターの上位にいて、ドライバーは坪井翔選手に変われどトップ。メーカーテストは非公式なので取材をしておりませんが、状況を伺うとこれまでも順調だったようですね。
ちょっと立ち話をしたら坪井くん、「毎年相方が変わるんですよね~」と好調だけどつれない感じ。最初は大変なのかな。でもこの2人のコンビは過去に全日本F3選手権でも一緒に戦い、健太が2016年にタイトルを獲り一抜けで先にステップアップ、2018年に坪井くんもタイトルを獲ってステップアップしました。知らない仲ではないので、“やりやすい”でしょうね。育成ドライバーのサラブレッドが2人揃いました。サラブレッドとはこのレールに乗るみんなですけどね、育成ドライバーに選出された時点で。これホント最強。何も言うことはないです。
そして、この前スーパーフォーミュラの開幕戦で顔を合わせたばかりにチーフメカたち。チームは、人手不足ということで、スーパーフォーミュラのチーフメカニックのお2人もお手伝いで来ていました。たしかに次のレースは5月だから良いけど、シーズン後半はスーパーフォーミュラもSUPER GTも連続で続くので、あとあときついかもです。でも居ないのでね。どこもスタッフ、メカニックが欲しいというのは変わりなく。業界が人材的に先細らないか心配ではありますね。
今季は、37号車は監督にミハエル・クルムさんが就任。レーシングドライバーでSUPER GTは記憶にある方が多いと思いますが、1994年トムスで全日本F3選手権のチャンピオンになっていますね。おぉ~30年前ですね。チームの技術部門のある御殿場のファクトリーのトップの山田淳さんに伺うと、淳さんは昔から彼のことは知っているからと慣れたもん。メカさんたちはきっと往年のドライバーとしての感覚でしょうね。生まれていないメカたちもかなりおりますね。
36号車の好調さと37号車のギャップが正直気になります。1台はGT500クラスのトップの走りを維持しているのだから、2台体制の強みを活かして頑張って欲しいよね。ガンバですよ。
福住仁嶺選手速いね。岡山では合算だと36号車がトップタイムでしたが、個々に見て行くとトップタイムは仁嶺くんでした!さすがだなと。移籍してから良いところを出しまくっています。レーシングスーツも新しく、見慣れない感じはありますがチームとメーカーの馴染み度は素晴らしいですね。そして、大嶋和也選手と仲良しコンビになっていて嬉しい限りです。速さと大嶋くんの決勝の強さでここも良い感じでいくんじゃないかな~。
豊田大輔チーム代表代行もいらしてましたが、ちょっとだけ伺ったところしっかりチームに馴染んでいるとのことでした。移籍組だから母心で気になって見てしまいますが、プロだし真摯に仕事をし、成績出すことだけ考えれば良いのよね。新生チームとしてこちらも楽しみにしています。仁嶺くん、華々しいデビュー戦になるのか?スーパーフォーミュラの時はそうしたかったとおっしゃっていたので、楽しみにしていますね。
クルマのリバリーが少し明るくなりました。毎年変化がありますが掲出されている「頑張ろう北陸」の文字。これが目に飛び込んできました。フレキシブルに動くマサ監督らしいですね。お話を伺ったらやっぱりマサ監督の仕業(リスペクト)。実際に北陸に行って来られたそうです。石川県の人たちは来て欲しいんだと、被災したから行ったらダメなのではないかと思って欲しくないという声を地元で聞いて来られたとのこと。めちゃチカラこもっていました。相変わらずいろいろお話ししてくれます、いつもありがとうございます。結構、自分のふにゃふにゃな考えが影響を受けて是正されるのですよ。言の葉の力はかなり大きいです。
そして、今年は予選方式に注目です。2人のドライバーのタイムが合算されるという予選フォーマット。台数の少ないヨコハマユーザーには不利と捉え、この方式に監督は異論を唱えていました。もちろん他にも。2度の公式テストを経て開幕戦から投入されるこのシステム。SUPER GTを戦う人たちは本当に頭の良い人たちの集まり(あるドライバーさんの言葉をそのまま流用)。だから、戦うポイントを見つけるのも速い。結局ストラテジーは沢山あるような?まあやってみないとわからないし、今後のサクセスウェイトの影響も鑑みると負荷は変わらないようにも思うし、知識がないので言及はこれだけに留めておきます。
38号車のスポンサーカラーと19号車のスポンサーカラーが同じで、サーキットに到着してから隣と同じ給油タワーとブームを見てみんなで同じすぎると笑っていました。TGR勢のチームのピット割り、ピットの並び順はこの並びのままで1シーズン変わりません。ドライバーがピットインで入るボックスを間違えるのではないかと話していました。テストで慣れたんじゃないかな。プロだしね。
阪口晴南選手は動画では撮れているのですが…、開幕戦で撮りますね。何はともあれヨコハマタイヤの開発も含め、今季も頑張って欲しいです。応援しています!
このビジュアルは過去にタイトルを獲った37号車と間違えそうですねえ。昨年と違いメインスポンサー様が変わりましたのでリバリーがまるっきり変わりました。赤から青、これは衝撃的です。
石浦宏明選手のレーシングスーツ姿に立川祐路監督が「違和感」と。石浦くんは、全日本F3選手権時代の時にスーツにスポンサー様の青が入っていた時以来だそうです。かなり昔ですが、覚えています(笑)。新鮮なスーツですが、落ち着かないご様子。ぴったりすぎたのか気にしていました。多分、お直しかな。一方、チームメイトの大湯都史樹選手は、いつも通りに袖を通しておりましたが、立川祐路監督は、着こなしの問題かなと(笑)。そんな立川監督も今年はドライバーとしてではなく監督ですね。TRDと共に車両開発にも携わっているそうですが、TCDのTRDの人(わかってくれる方いたらうれしい)に見えました。こんなかっこいい裏方いるのかなあ。あ、おりましたね、TRDさん上の方を筆頭にイケメン揃いでした、失礼いたしました。
チームが何か円滑にまわってそうで何よりでした。いつもより笑顔が多く感じたんです。ただ、2日目マシンが止まってしまいましたね…。これは気になるぞ。何年か前の岡山テストでも止まって「早退」と言ってドライバーが先にお帰りになったことがあるのですが、これは良くない。この流れはきっちり断ち切っていきましょう。
スーパーフォーミュラ開幕戦のコラムにも書きましたが、トラックエンジニアが岡島慎太郎エンジニアに変わりました。彼にとっては初めてのGRスープラだと思いますが、終始笑顔も見られてチームにはすっかり馴染みながら仕事を進めている感じでした。学生時代にインターンでこのセルモに来ていたそうで、初めてのチームではないとのこと。そういう意味ではチームに入って行きやすい環境だったようですね。大湯くんともGT300クラスの時に、ライバル陣営で岡島エンジニアと一緒に戦っているので旧知の中です。そんな背景も大湯くんにとっては良かったのではないでしょうか。
何はともあれ、新生セルモに期待です。そういや、石浦くん、立川監督と初めて組んだ時、絶対タイトルを取るコンビとどこかで執筆した記憶が…。新生セルモとして書いたこと思い出しました。あれから時が流れ大湯くんが加入。過去の不振が招いた立川監督の昨年の現役引退。そこまでの流れを大いに断ち切って上昇して行って欲しい。切なる願い。新しいスタッフも増えましたので、歴史を新たに作ってくださいよ。頑張って!
いい感じでタイミングモニターの上位に来ていました。岡山はGRスープラが得意ではありますが39号車はしっかり力をつけてきたと感じるテストでしたね。トップタイムではないけれど、期待大。この体制での初優勝が今季は見られるかも?体制がもろもろ変わることを繰り返していましたが、地に足付けてできるようになったかな。やっぱり時間は必要ですよね。
メカニックがデータエンジニア修行していましたね。体制が少し変わっている感じですね。なんせ岡山はピットが狭いのであまり長居もできずピットを行ったり来たりでちゃんと確認しておりません…開幕で体制を再確認して参ります。トムス以外は1台体制のピットなので私がいると邪魔になるんですよね。
富士テストでもそうでしたが、脇阪監督もチームの好調さは見ていてうれしいのはわかりますね。富士スピードウェイのテストでも初日3番手につけました。着実に、チャンピオン関口雄飛選手のもとで、チーム体制を強化していくと近藤代表が過去におっしゃっていましたが、それがカタチになって来たね。中山雄一選手がしっかり力をつけてきているのも感じます、もうベテランの年だけど。
エンジニアリングの体制が落ちついて、今年は花開く可能性が大。そうなったら、ほら勝ったでしょ?と自慢しますかね。昨年2位まで行ったので監督の泣く姿がみたいですね。泣かないかな。
〇タイヤ戦争
タイヤ戦争は、激化しております。ミシュランタイヤが昨年限りでGT500クラスへの供給を停止しました。GT300クラスへは引き続き行っております。ニスモの2台がブリヂストンタイヤへスイッチしました。6台中、5台ブリヂストンタイヤを履くTGR陣営にとっては強敵現るです。富士でもウェットタイヤのテストを行っておりましたが、ヨコハマタイヤ、ダンロップタイヤも含め、その戦いは激化。開発中ですので、タイヤそのものの写真は撮っておりません。さまざまなトレッドパターンのタイヤがピットに持ち込まれテストしていました。開発者さんたちが時間をかけて解析してこの模様に辿りついたんだろうなあと思うと、なかなか感慨深いんですよね。シーズン入ったら雨の時は、タイヤの模様をご覧になって見てくださいね。
とざっくりな振り返りです。テストの時は、あまりピットに行かないんですよね。何か間違えて撮ったらいけませんしね。という訳で開幕待ち!楽しみだ!
大谷幸子の近況
移動移動の地方レースが続く中、岡山テストの原稿を富士テストで滞在している御殿場市内のホテルで執筆しています。なかなか大変な3週連続、いや全日本ラリーにも行きましたので4週連続の現場は、アウトプットが間に合わない。書いて寝かせて確認したいタイプの私。翌日見ると、あれ?こんなこと書いてる!というパターンと誤植に気づく為に寝かして確認。特にこのコラムは長文ですので時間かかります(笑)。写真もたくさん入れたいし。次は、開幕戦のコラムとなりますので、同じSUPER GTですから、内容を考えないとなあ…。
そうだ、富士テストでFIA-F4のチャンピオンで、今年GT300クラスに参戦する小林利徠斗選手にお目にかかることが出来ました。この春高校を卒業したばかりという18歳。高校生レーサーとしてF4時代は戦い、晴れて2年目でチャンピオンに輝きました。スーパーフォーミュラ・ライツにもトムスから今季参戦しますが、オフテストで早速トップタイムだったようですね。他にもTGR-DCのドライバーはGT300クラスに6人参戦しています。GT500クラスの取材中にも様子がわかればコラムに追加していきますね。
開幕までまだ日にちがありますが、ビッグレースが日本では開催されます。フォーミュラEにF1日本グランプリ。コロナ禍明けで、一気に花開くモータースポーツというムード。国内モータースポーツも盛り上がって参りましょう!ちょっとフォーミュラEにお邪魔して来ますね。では、また!